勉強のポイント
細菌性肺炎は、様々な原因菌により引き起こされます。
国試で聞かれやすい原因菌ごとにその特徴と治療方法を整理していきましょう。
肺炎球菌性
肺炎球菌は市中肺炎の起因菌として最も多い菌です。
治療にはペニシリン系の薬剤が使用されます。また、予防として、高齢者やCOPDなどの患者には肺炎球菌ワクチンの摂取が推奨されています。
ブドウ球菌性
耐性菌が問題となるMRSAが該当します。
MRSAは、methicillin‐resistant Staphylococcus aureus(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の略称です。
ブドウ球菌と性質は同じですが耐性遺伝子を持つことで、抗生物質が効きにくくなります。
院内肺炎の原因になります。
MRSAで使用される薬剤はゴロで覚えましょう。
リゾートバンコク アールグレイでティータイム
シゾート:リネゾリド
バンコク:バンコマイシン
アール:アルベカシン
ティー:テイコプラニン
ム:ムピロシン
ムピロシンに関しては、鼻の中にいるMRSAの除菌をする目的で使用します。
MRSA発症リスクが高い人や、医療従事者などが使っています。
緑膿菌性
緑膿菌性は日和見感染を起こすので健常人で起こることはあまりないです。
多剤耐性緑膿菌(MDRP)が細菌は問題となっています。
第一選択薬はピペラシリンです。
アミノグリコシド系のアミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、トブラマイシンも使用可能です。
アミノグリコシド系で緑膿菌に効く薬はゴロで覚えましょう。
アミとゲンタ、とぶかな
アミ:アミカシン
ゲンタ:ゲンタマイシン
飛ぶ:トブラマイシン
かな:カナマイシン
で覚えましょう。
アミノグリコシド系は第8神経障害(難聴やめまい)、腎障害に注意が必要です。
ニューキノロン系も使用しますが副作用に光線過敏症があります。
レジオネラ
レジオネラは貯水槽で増殖し、集団感染の原因になります。
温泉などで発見されることがあります。
治療にはニューキノロン系とクラリスロマイシンを使用します。
レジを新しいクラスにおく
レジ:レジオネラ
新しい:NEW=ニューキノロン系
クラス:クラリスロマイシン
で覚えましょう。
またレジオネラは細胞内寄生菌です。そのためベータラクタム系が無効です。
マイコプラズマ
マイコプラズマの特徴は健常人でも発症することです。
好発年齢は小児から成人(5歳~25歳)です。
乾性咳や発熱などが認められます。
マイコプラズマは細胞壁を持ちません。
そのため壁に作用するβ-ラクタム系抗生物質は無効です。治療にはマクロライド系を使います。
マイコプラズマとマクロライドの頭文字のマで覚えましょう。
クラミジア
クラミジアは偏性細胞内寄生菌で、ペプチドグリカンがないのが特徴です。
治療には膜透過性のよい、マクロライド系やテトラサイクリン系、ニューキノロン系が使用されます。
マクロライド系やテトラサイクリン系は膜透過性が良い=肝代謝型のものが多いです。
リケッチア
クラミジアと同じく偏性細胞内寄生菌です。クラミジアと違うのはエネルギー産生系を持つことです。
リケッチアはダニなどを介して感染を起こします。
治療には膜透過性の良いテトラサイクリン系を使用します。