勉強のポイント
血友病を一言で表すと
「劣性遺伝でフィブリン血栓ができにくい疾患」です。
まず①止血の流れの障害箇所を確認して、次に②原因の遺伝子について見ていきましょう。
治療は、足りない凝固因子を補充するのが基本です。
止血の流れの障害箇所
図の右上の方。「プロトロンビン→トロンビン」になる方法は、2通りあります。
一方は内因系、他方は外因系。
血友病は内因系因子の8 or 9因子 が塞がれフィブリン血栓が作られにくくなる疾患です。
ここはよく聞かれるので内因系・外因系因子はゴロで覚えておきましょう。↓
内因系凝固因子のゴロは「胃にいいクッパはない」
外因系凝固因子のゴロは「外人プロ並み」
です。
ということは検査は?
おわかりの通り、内因系がだめになっているので、
APTT(内因系からフィブリン血栓ができるまでの時間)は長くなります。
外因系を介するPTは不変で、
出血時間(血小板血栓で出血止まる時間)も、もちろん不変です。
血友病AとB
血友病でだめになる因子には8,9があると述べました。どっちがだめになっているかで分類分けがされています。
- 内因系凝固因子の8がだめになっているのが血友病A
- 内因系凝固因子の9がだめになっているのが血友病B
治療はの基本は足りないものを補うだけ
- 血友病Aは8因子がないので、第8因子製剤を静注
- 血友病Bは9因子がないので、第9因子製剤を静注すれば良いです。
追加で覚えておいてほしいのが血友病Aで使うデスモプレシン静注です。
抗利尿ホルモンのデスモプレシンは血管内皮細胞から第8因子を放出促進させる作用もあるため、血友病Aで使用されます。
利尿薬でバソプレシン受容体拮抗薬のトルバプタンなどありましたが、その逆の作用です。なので血圧上昇、水分貯留などの副作用があります。
原因は劣勢遺伝
血友病は男児に発症しやすいと言われますが、理由は以下のとおりです。
血友病遺伝子は性染色体のX遺伝子の中に入っています。
血友病遺伝子は劣性遺伝子なので正常遺伝子Xと血友病遺伝子X’があったらXが優勢なので発症しません。
(上図の母親と女児のパターン)
女性はX染色体を2つ持っているので、血友病にかかりにくくなります。
男性は、X染色体とY染色体を持っているのでX染色体は一つしかありません。
そのため確率的に血友病にかかりやすくなります。