代謝系疾患

糖尿病 前半 分かりやすく解説【薬剤師国家試験】

 

糖尿病 概要 pdf

勉強のポイント

糖尿病は、病態分野も薬理分野もやることはほとんど同じなので一緒に勉強したほうが効率的です。糖尿病でメインに聞かれるところは経口糖尿病です。

診断基準、合併症はさらっとやって、経口糖尿病薬の機序と薬名を覚えてしまいましょう。

今回は範囲が広いため、全体像と薬の2回に分けて掲載します。

診断基準

診断基準は4つあります。

検査 基準値
空腹時血糖 126~mg/dl
72g糖負荷2時間試験 200〜mg/dl
随時血糖 200〜mg/dl
ヘモグロビンA1c(HbA1c) 6.5%〜
    一つでも当てはまれば糖尿病というわけではなく、組み合わせで判断します。国試的には検査名と数字だけ覚えておけばいいです。
  •  HbA1cについて
    <HbA1cが有用な理由>
    この中で最も有用とされているのがHbA1cです。ヘモグロビンが高い血糖にさらされ続けると徐々にヘモグロビンに糖鎖が付きます。それを測るのがHbA1cの試験です。赤血球の寿命が3ヶ月くらいなので、1,2ヶ月前の血糖の状態が推測できます。 そのため、血糖値と違い 検査前に食事を抜いてもHbA1c値は変わらないので有用な検査結果が得られます。

補足ですが、検査値の覚え方として、体温と合わせると覚えやすいです。

体温はは37℃〜微熱として扱われます。HbA1cも尿酸値も約7〜です。病態では、明らかな異常値が出るので検査値はおおよその値を覚えておけばいいです。

合併症

血糖が高い状態が続くと、血管など様々な場所に影響が出ます。これが糖尿病の怖いところです。

  • 目の微小血管に表れると網膜症に。
  • 腎臓に表れると腎症やアルブミン尿症から高血圧、浮腫に。
  • 神経に作用すると神経痛(痺れ)、自律神経障害などに。
  • 尿路などに表れると感染症に。

上記のような合併症が出ます。

合併症の治療薬

神経症:しびれ

健康時には、グルコースはグルコース6リン酸→ピルビン酸の流れで代謝されますが

高血糖では、グルコース→ソルビトールに代謝され、神経内に蓄積します。これがしびれの原因です。

エパレルスタットはグルコース→ソルビトールの代謝酵素のアルドース還元酵素を阻害して神経症を改善します。

そのほかの神経症の薬はメキシレチンデュロキセチンを覚えておきましょう。

  • メキシレチン
    抗不整脈薬でも出てきました。Naチャネル遮断作用を使って知覚神経を麻痺させてしびれや自発痛を感じなくさせます。
  • デュロキセチン
    抗うつ薬SNRIで、脳から痛みを抑えるシグナルを強くします。(下降性抑制経路の賦活)

腎症

ACE,ARBを使って腎を保護します。糖尿病性腎症にはACE,ARBを使うことがわかっていれば国試は大丈夫です。イミダプリル、ロサルタンが糖尿病性腎症に対する適応を持っています。

糖尿病薬治療薬

糖尿病はインスリンが足りず、血糖が高い状態です。

1型糖尿病は膵臓でインスリンが作れないのでインスリンの注射が必要です。

インスリン製剤は

  • リスプロ=即効性→食後に打つ
  • グラルギン=持続性→基礎分泌として打つ

とだけ分かればいいです。

2型糖尿病の場合はインスリンの分泌低下やインスリン抵抗性によってインスリンが足りないか、効果が発揮できていない状態です。インスリンは注射しか無いですが、二型の場合は経口で使える薬があるのでそちらを使います。(毎日注射とか嫌ですもんね。)

経口糖尿病薬

経口糖尿病薬は、

  • まずは図で、インスリン分泌の流れと薬の作用点を理解し、
  • その次にそれぞれの薬で聞かれることを抑えていきましょう。

インスリン分泌の流れ

糖尿病 インスリン分泌の流れと薬の作用機序

炭水化物はグルコース(Glu)まで分解されて吸収されます。膵臓のβ細胞に入ったグルコースはエネルギー代謝でATPになります。ATPが細胞内に増えると、ATP依存性K⁺チャネルが閉じ、細胞内[Ca]が上がり細胞興奮が起こりインスリンが分泌されます。

分泌されたインスリンは筋肉などでインスリン受容体を刺激し、グルコース輸送体(GLUT4)を細胞表面に移動させて血中のグルコースを取り込みます。

以上のことを踏まえて経口糖尿病薬を見ていきましょう。↓

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