生命現象を担う分子

糖質の種類構造特徴をゴロと図でわかりやすく解説【薬剤師国家試験】

糖質とは

糖類はエネルギー源としてとても重要で3大栄養素の炭水化物(糖質+食物繊維)に含まれています。

一番シンプルな単糖が(CH2O)nで表せるので炭素と水から構成されていることがわかります。

 

単糖の構造

糖質はアルデヒド基、ケト基を持つ多価アルコールで

アルデヒド基→アルドース
ケト基→ケトース

と呼ばれます。
また構成する炭素の数により

5炭糖→ペントース
6炭糖→ヘキソース

と言います。

ペントースの代表例がRNAです。
ヘキソースにはグルコースやガラクトースがあります。

ここからはグルコースを例に構造を見ていきます。

グルコースは鎖状構造と環状構造が平衡する

 グルコースは水中で鎖状構造と環状構造が平衡状態になります。

これは5位の水酸基が1位のアルデヒド基に求核付加反応し、環状ヘミアセタール(環状エーテル)を形成するためです。

できた環状エーテルは6員環構造をしているのでピラノース構造と言います。

5員環の場合はフラノース構造と言います。(フラン環が酸素原子を含む5員環だったことを思い出しましょう)

グルコースの立体異性体は16個ある

立体異性体は不斉炭素の数で決まり2n乗で表せます。

グルコースは不斉炭素が4つなので16個存在します。

代表的な立体異性体を押さえましょう。

エナンチオマー(鏡像異性体)

 鏡像異性体のことをエナンチオマーと言います。
鏡のように向かいあうと同じ配列になりますがD体、L体と区別できます。

見分け方が、鎖状構造式でアルデヒドorケト基から一番遠い不斉炭素にくっつくOHが

右側→D体

左側→L体 (LeftのLで覚えましょう)

となります。
天然に存在する単糖のほとんどがD体になります。

エピマー

エピマーは不斉炭素のうち、ひとつだけ水酸基の位置が異なるものです。

グルコースのエピマーの代表がガラクトースとマンノースです。

上の構造式を見ればわかりますがそれぞれ4番目と2番目のO Hの位置が逆になっています。

覚え方は

ガラクトースのガは4画→4番目のOHが逆

マンノースのマは2画→2番目のOHが逆

で覚えましょう。

ジアステレオマー

ジアステレオマーは立体異性体の中でエナンチオマーでない(鏡像関係にない)ものです。

ちょうどガラクトースとマンノースがジアステレオマーの関係になります。

アノマー

 環状構造を形成する時に新たに不斉炭素ができます。
この炭素をアノマー炭素と言います。
環状の場合、アノマー炭素につくヒドロキシ基の位置によりα配置、β配置と区別できます。

これをアノマーと言います。

 

単糖の特徴

単糖の特徴として変旋光と還元性があります。

変旋光

グルコースのα、β体はそれぞれ旋光度が異なります。

水中ではアノマーが開環して鎖状構造をとり、環状に戻るときにアノマー水酸基の位置が逆転し、αとβが入れ替わることができます。

旋光度が変化していき、α、β体の平衡混合物となると旋光度は一定になります。

この変化を変旋光と言います。

還元性

アルデヒド基、ケト基が還元性を示します。

つまり環状構造の場合にはアノマー水酸基があるかどうかが重要です。

アノマー水酸基がある場合、遊離して鎖状構造を取れるので還元性を示します。
単糖の場合には全て還元性を示すことができます。

2糖類ではアノマー水酸基があるかどうかで還元性の有無が変わるので注意が必要です。

 

単糖の誘導体

 グルコースに酸化、還元反応などが起こることで誘導体ができます。

上の図を参照して欲しいのですが

1位の酸化→グルコン酸(アルドン酸)
6位の酸化→グルクロン酸(ウロン酸)
1位の還元→ソルビトール(糖アルコール)
2位のアミノ基が置換→グルコサミン(アミノ糖)

となります。

このうち還元性があるのがグルコサミンとグルクロン酸になります。

 

二糖類

 二糖類は代表的なものの構成糖と、分解する酵素をゴロで効率よく覚えましょう。

マルトース

まるをぐるぐる、あーいいよ
まる:マルトース
ぐるぐる:グルコース×2
あーいいよ:α1→4

 

ラクトース(乳糖)

ガラクタ培養、らく
ガラクタ:ガラクトース(+グルコース)
培養:β1→4
らく:ラクトース

 

スクロース(ショ糖)(サッカロース)

フルグラ少ない

フル:フルクトース
グラ:グルコース
少:スクロース
ない:還元性、変旋光×

で覚えましょう。

分解酵素は〜ターぜがつきます。。
マルトースはマルターゼ(αーグルコシダーゼ)、ラクトースはラクターゼ(βーガラクトシダーゼ)で分解されます。
これはごろでαかβ結合なのかが分かれば覚えやすいと思います。

多糖類

名前の通り単糖がたくさん繋がったものを多糖類と言います。

多糖類には単一の糖類がつながった単純多糖と複数の糖類がつながった複合多糖があります。

単純多糖(ホモ多糖)

 グルコースだけからなる単純多糖は3種類あります。

植物ではでんぷん(アミロース、アミロペクチン)、動物ではグリコーゲンとして存在しています。

さらにでんぷんは結合に違いにより

アミロース(α1→4)の直鎖
アミロペクチン(α1→4)と(α1→6)の分枝

に分けられます。

グリコーゲンは(α1→4)と(α1→6)の分枝になります。

その他、押さえておきたい単純多糖は↓

セルロース:グルコースがβ1→4の直鎖。水不溶性食物繊維

マンナン:マンノースの直鎖。こんにゃくに含まれる(マンノースとグルコースを含むグルコマンナン(複合多糖)として存在)。難溶だが水溶性食物繊維

ペクチン:果実や野菜に含まれる。水溶性食物繊維。

キチン:真菌の細胞壁を構成成分です。水不溶性食物繊維

 

複合多糖(ヘテログリカン)

 複合多糖は2種以上の単糖からなる多糖です。

特に重要なのが、アミノ糖とウロン酸の繰り返し構造からならグリコサミノグリカンです。
(アミノ糖⚪︎アミノ酸×のひっかけなので注意)

硫酸基やカルボキシ基を持つので負電荷(ポリアニオン)です。

グリコサミノグリカンは様々な細胞の機能に関わっており、組織に含まれます。
また、グリコサミノグリカンは体内でタンパク質と結合したプロテオグリカンを形成します。。

代表的なグリコサミノグリカンは

ヒアルロン酸:眼球の硝子体や関節の潤滑液成分

コンドロイチン硫酸:グルクロン酸、Nーアセチルがラクトサミンの硫酸エステル→結合組織の成分

ヘパリン グルクロン酸、イズロン酸、グルコサミンの硫酸エステル→血液凝固阻止作用

があります。

ヘパリンの構成要素は聞かれやすいのでゴロで覚えましょう。

パリへ、ぐるぐる伊豆流で

パリへ:ヘパリン
グル:グルクロン酸
グル:グルコサミン
伊豆:イズロン酸
流:硫酸エステル

です。

 

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