泌尿器の薬

利尿薬は図で覚える!を分かりやすく解説【薬剤師国家試験】

利尿薬のマインドマップ まとめ 一覧 分類

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勉強のポイント

まずは尿細管の構造と部位の名前を覚えましょう。どこになんの交換系やチャネルがあるか。

次に各系統の利尿薬はそのどこを抑えれば機序の部分はおしまいです。

あとは各系統の薬の名前と機序からみた特徴を紐づけしましょう。

尿細管の構造

利尿薬 尿細管 受容体 構造

尿細管利尿薬

利尿薬 作用機序 一覧  交換系 場所

Na⁺⇔K⁺交換系よりも上流に作用する利尿薬には全て低K血症があります。Na⁺⇔K⁺交換系とその周辺に作用する薬には抗アルドステロン薬やNa⁺チャネル遮断薬がありますが、逆に高カリウム血症の副作用があります。

余談ですが、身体は「Naは欲しいがKはいらない」「Caは欲しいがPはいらない」という組み合わせのイメージを持っていおくと色んな所で使えると思います。

炭酸脱水素酵素阻害薬

「~ゾラミド」と語尾につきます。アセタゾラミドを覚えてください。

Na⁺⇔H⁺交換系を阻害します。尿細管内にNa⁺が多くなり、浸透圧↑→尿細管内に水を引き込み利尿作用示します。

副作用は低K血症です。Na⁺が多くなるので遠位尿細管のNa⁺⇔K⁺交換系が促進しK⁺の排泄が促進します。また、H⁺が排出されにくくなるので代謝性アシドーシスになりやすいです。

ループ系

語尾は「~タニド」、「~セミド」です。フロセミド、トラセミド、ブメタニドを覚えておきましょう。

ヘレン係蹄上行脚にあるNa⁺、K⁺、Cl⁻の共輸送系を阻害するため、Na⁺が多くなり、浸透圧↑→尿細管内に水を引き込み利尿作用示します。

副作用はこちらも低K血症です。トラセミドだけは後で出てくるアルドステロン受容体の遮断作用も持っているので、他のループ系よりも低K血症を起こしにくくなっています。

その他の副作用として、尿細管への分泌阻害があり、高尿酸血症の副作用と、抗菌薬(アミノグリコシド系とセフェム系)の血中濃度が上がってしまいます。

チアジド系

語尾は「~チアジド」です。ヒドロクロロチアジドやトリクロルメチアジドなどがあります。

また、チアジド系に類似している薬が2つあります。インダパミドメフルシドです。チアジド系は~チアジドと付いていて簡単にわかってしまうので、国試ではこの2つがよく出ます。

作用は遠位尿細管のNa⁺-Cl⁻共輸送系を阻害です。

カリウム保持性利尿薬

遠位尿細管~集合管にある Na⁺⇔K⁺の交換を止めます。Na⁺が吸収されずK⁺は排出されません。K⁺よりNa⁺の方が圧倒的に多いので、尿の浸透圧が高くなり利尿作用を示します。

Kが排出されないので、カリウム保持性利尿薬と呼ばれます。副作用は高カリウム血症です。

Naチャネル遮断薬

薬はトリアムテレンのみ覚えてください。

尿細管側に発現しているNa⁺チャネル抑えてNa⁺の動きを止め、Na⁺⇔K⁺の交換系を抑制します。

抗アルドステロン薬

抗アルドステロン薬は、利尿薬分野だけでなく様々な分野に関わってきます。

例えば、漢方の副作用で有名な偽アルドステロン症も甘草のなかにアルドステロンに似た成分が入っています。そのため、アルドステロンの作用のKの排出が促進されて低K血症を引き起こすことがあります。

また、レニン-アンギオテンシン系に関わるβ刺激薬やACE・ARBなどもアルドステロンの分泌を促進するので、同じ作用点に関わっています。 抗アルドステロン薬を理解すると、関連分野で覚えることが減りますのでここはしっかり抑えてください!

薬理作用

尿の再吸収の過程を考えてみましょう。再吸収をする時、尿細管上皮細胞を通過して血管に入ります。

アルドステロン受容体は、尿細管上皮細胞に発現しており尿細管側のNa⁺チャネルやK⁺チャネル、血管側のNa⁺⇔K⁺交換系を促進する作用があります。

抗アルドステロン薬は、アルドステロンと受容体を取り合うことでNa⁺⇔K⁺の交換を止め、Na⁺で尿の浸透圧を高め利尿作用を示します。

スピロノラクトン、カンレノ酸、エプレレノンを覚えてください。

副作用は高カリウム血症と、女性化乳房があります。(これは抗アルドステロン薬自体にエストロゲン様作用があるためです。)

 

バソプレシン受容体遮断薬

バソプレシンV₂受容体遮断薬と拮抗します。語尾は「~バプタン」です。バソプレシン受容体にフタ(プタ)をするイメージで覚えましょう。薬はトルバプタンのみです。

V₂受容体は集合管に発現しています。ホルモンであるバソプレシンは、V₂受容体を刺激し水を選択的に吸収します。この作用を抑えるのがトルバプタンです。

この機序を理解すると尿崩症の分野が楽になります。

ANP製剤

薬はカルペリチドをおぼえましょう。この薬は心不全でもでてきましたね。

心房から分泌されるペプチドです。血管平滑筋と腎のANP受容体を刺激し、cGMPの生成↑→血管拡張、利尿作用を示します。

糸球体利尿薬

今までの薬は全て尿細管に作用する薬を扱ってきました。いかに再吸収を減らして尿量を多くするかを目標にしてきましたが、

糸球体利尿薬ではそのそもの腎血流量を増やして利尿することを目的にしています。

薬はイソソルビドとD-マンニトールのみで機序も同じです。

さて、利尿の機序ですがこれらの薬を投与すると、組織に広がらず血管内に留まります。血管内の浸透圧が高まるので全身から水分を血管内に戻してまわります。

そして、尿細管では再吸収されないので尿細管内の浸透圧が上がり、利尿作用を示します。また、浸透圧は水中の粒の数に比例するので、同じ浸透圧を保つにはイソソルビドが入った分、Na⁺の数は減ります。結果、Na⁺の再吸収も減ります。

 

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