第二相反応の抱合反応をゴロと図で分かりやすく解説
第Ⅱ相反応の抱合反応についてまとめます。
抱合反応は供与体を必ず抑えましょう!
(供与体と異物の組み合わせがよくわからない人は先に↓の概要を確認)
抱合反応は全部で5つ(+ロダン反応、メチル抱合)があります。
概要をこちらにまとめてあるので、こちらも確認しておきましょう。
グルクロン酸抱合
グルクロン酸抱合の供与体はUDP- α-D-グルクロン酸です。
グルクロン酸抱合は王道型(男が女にアタック)で、かついろいろな基質(水酸基、アミノ基、カルボキシ基など)と反応します。
グルクロン酸抱合ではUDP- α-D-グルクロン酸がUDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)という酵素によって基質(異物)と反応します。
必ず抑えておくことは2点です。
- 生成物はすべてβ結合し、β-グルクロニド(グルクロン酸抱合体)となる
- 酵素は肝臓のミクロソーム画分に多く分布している
グルクロン酸抱合体は胆汁に排泄され、腸内細菌のβ-グルクロニダーゼにより、抱合体が外れることで再び吸収されます。
これを腸肝循環と言います。詳しくはこちらを参照してください。
また新生児ではグルクロン酸抱合活性が低いことも知っておきましょう(成人の1/100くらい)
硫酸抱合
硫酸抱合も王道パターンです。
供与体は活性硫酸(PAPS)です。
水酸基とアミノ基と主に反応し、活性硫酸(PAPS)のS原子を求核的にアタックします。
活性硫酸は無機硫酸(H₂SO₄)とATPから酵素的な反応で作ることができます。
アセチル抱合
アセチル抱合も王道パターンです。
供与体はアセチルCoAです。
アセチル抱合は水溶性が下がる反応です。(メチル抱合も)
主にアミノ基や水酸基と反応します。
アセチルトランスフェラーゼ(NAT)によりアセチル化を受けます。
アセチルトランスフェラーゼにはNAT1、NAT2と分子種が存在します。
NAT2はイソニアジドのアセチル化に関与します。このアセチル化には遺伝的多型があります。
日本人ではこのアセチル化能が高い人が多く、欧米人では逆に低い人が多いのが特徴です。
アミノ酸抱合(グリシン抱合)
アミノ酸抱合(グリシン抱合)はグリシン(たまにグルタミン)が供与体となります。
ヒトの場合は主にグリシンが使われるので、グリシン抱合と呼ばれます。
アミノ酸抱合は草食系男子パータンです。(女が男にアタックするやつ)
安息香酸の反応を例に見てみます。
アミノ酸抱合における異物(基質)はカルボキシ基です。
安息香酸にATP存在下でCoAと反応させるとベンゾイルCoAができます。
ベンゾイルCoAにグリシンが反応して馬尿酸を生じます。馬尿酸はトルエンの暴露指標となります。
グルタチオン抱合
グルタチオン反応は悪い男に惹かれるです。
グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)によりハロゲン化合物やエポキシドが抱合反応を受けます。
基質の電子密度が低いところを狙って攻撃します。
グルタチオンの反応を例に見てみましょう。
グルタチオンはグリシン、システイン、グルタミン酸の3つのアミノ酸を持ちます。
ハロゲンやエポキシドなどの悪いやつをメインに電子密度が低いところを狙って攻撃します。
グルタチオン抱合体になったあとは加水分解を受けてグルタミン酸とグリシンが取れます。(2つのグが取れるよ!)
これによりできるのがシステイン抱合体です。
ここまでの反応がグルタチオン抱合です。
この先はアセチル抱合を受けてメルカプルツール酸となり尿中排泄されます。
一連の流れはゴロで覚えましょう!
狂ったSを焦って埋めるか
狂った:グルタチオン抱合
S:システイン
焦って:N- アセチル化
埋めるか:メルカプツール酸
ロダン反応
ロダン反応とメチル反応はこんなのあったな-程度に頭の片隅に入れておきましょう。
ロダン合成(チオシアン合成)はシアンの解毒に関わります。
ロダネーゼ(硫黄転移酵素)により、シアン化物イオン(CN-)がチオシアン酸イオン(SCN-←低毒性)に変換され無毒化される反応です。
メチル抱合
メチル抱合はS-アデノシルメチオニンが供与体です。
カテコールアミン類で見られる反応です。
アセチル抱合と同じく水溶性が下がる反応です。