何がポイントかわからないし、勉強の仕方がわからない
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本記事の内容
そもそも解糖系って?
解糖系の抑えるべきポイント3つ
重要ポイントの覚え方
解糖系はグルコースからピルビン酸を作る反応
どんな反応?
「解糖系→クエン酸回路→電子伝達系」の1連の流れの最初の段階です。
最終的に電子伝達系で大量のATPをGETするための、準備段階になります。
解糖系は細胞質ゾルにあり、反応は
グルコース+2ADP+2NAD⁺+2Pi→2ピルビン酸+2ATP+2NADH+2H⁺+2H₂O
で表せます。
グルコース(C6)から2分子のピルビン酸(C3)を作る反応です。
最終的に2ATPが生成します。
途中でできるNADHが、電子伝達系でATPの大量生産に貢献します。
覚えるポイントは3つ
図を見ると複雑そうですが、抑えるべきポイントは3つです。
不可逆反応
基質レベルのリン酸化
リンゴ酸-アスパラギン酸シャトル
それでは各反応を見ていきましょう!
解糖系の各反応
①グルコース→グルコース-6-リン酸
1番はじめの反応です。
不可逆反応、ATPを消費がポイントです。
解糖系はATPを産生するためのシステムですがこの段階では先にATPを投資して、後により多くのATPを得ます。
ヘキソキナーゼにより起こります。
ヘキソース(6炭糖)+キナーゼ(リン酸化酵素)=ヘキソキナーゼなので
グルコース(6炭糖)をリン酸化する酵素ということです。
グルコースの6番目のCがリン酸化されるのでグルコース6-リン酸ができます。
②グルコース6-リン酸→フルクトース-6-リン酸
2つ目の反応はグルコース6-リン酸→フルクトース-6-リン酸への異性化です。
異性化とは分子構造の異なるものに変化させることです。異性化を触媒するのがイソメラーゼです。
具体的には↓のような反応がおきてます。
③フルクトース-6-リン酸→フルクトース1.6-ビスリン酸
最初の反応と同じく不可逆反応、ATPを消費がポイントです。
ホスホフルクトキナーゼによって起こります。
ホスホ→リン酸化
フルクト→フルクトース
キナーゼ→リン酸化
つまりリン酸化されたフルクトースを更にリン酸化するということです。
④フルクトース1,6-ビスリン酸→ジヒドロキシアセトンリン酸、グリセルアルデヒド3リン酸
この反応でC6→C3へ変化します。
フルクトース-1.6ビスリン酸が切れて、ジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒド3-リン酸になります。
このときの反応をアルドール開裂といい、有機化学でも出てくる反応です。
アルドラーゼにより触媒されます。
⑤ジヒドロキシアセトンリン酸↔グリセルアルデヒド-3-リン酸
解糖系に組み込まれていくのはグリセルアルデヒド3-リン酸です。
ジヒドロキシアセトンリン酸がホスホトリオースイソメラーゼにより変換され、2分子のグリセルアデヒド3-リン酸ができます。
2分子のグリセルアデヒド3-リン酸ができることで、このあとATPとピルビン酸が2分子ずつできることになります。
ホスホトリオースイソメラーゼは
ホスホ→リン酸化
トリオース→3炭糖
イソメラーゼ→異性化
リン酸化されてる3炭糖を異性化してますね。
⑥グリセルアルデヒド3-リン酸→1,3-ビスホスホグリセリン酸
この反応では、NADHとH+ができます。
NADHは電子伝達系でATP生成に利用されますが、ミトコンドリア膜を通過できません。
そのためリンゴ酸-アスパラギン酸シャトルを利用します。
脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)が触媒します。グリセルアルデヒドからHをNAD⁺にわたす役割をしてます。
⑦1,3ビスホスホグリセリン酸→3-ホスホグリセリン酸
ホスホグリセリンキナーゼで基質レベルのリン酸化が行われます。
基質レベルのリン酸化はADPにリン酸がくっついてATPができることです。
1,3-ビスホスホグリセリン酸からリン酸基が取れてADP→ATPになります。
この反応では反応前後でリン酸が取れているように見えますが、キナーゼによりリン酸化されているのはADPとなります。
リン酸が1つ取れているので頭文字が「1,3-ビスホス~→3-ホスホ」になっているで覚えればOKです。
このあと
⑧3-ホスホグリセリン酸→2-ホスホグリセリン酸
⑨2-ホスホグリセリン酸→ホスホエノールピルビン酸
と反応が続きますが,国家試験的には重要でないので飛ばします。
⑩ホスホエノールピルビン酸→ピルビン酸
最後の反応です。不可逆反応、基質レベルのリン酸化がポイントです。
ピルビン酸キナーゼが触媒します。
この反応もキナーゼによりADPがリン酸化されATPができます。
最終的に①~⑩の反応を通してグルコースから2つのピルビン酸ができます。
リンゴ酸シャトルはNADHを運ぶシステム
⑥グリセルアルデヒド3-リン酸→1,3-ビスホスホグリセリン酸でできたNADHはミトコンドリアの膜を通れません。
そのため、リンゴ酸-アスパラギン酸シャトルでミトコンドリア内へ入り、電子伝達系で利用されATPを作り出します。
図のようにリンゴ酸がミトコンドリア膜を通れることを利用し、リンゴ酸とオキサロ酢酸の変換時にNADHをミトコンドリア内で生成します。
嫌気性下では乳酸ができる
解糖系は基本的に好気性条件下でおこっています。
嫌気性下ではピルビン酸が乳酸になリます。
⑥グリセルアルデヒド3-リン酸→1,3-ビスホスホグリセリン酸の反応と共役して、NAD+を再生します。
ポイントの覚え方
1つずつ反応を説明しましたが、
めんどくさい!
という人は3つだけ押さえましょう。
基本的に~キナーゼが関わる反応を抑えます。
何キナーゼかは、推測できるので細かく覚える必要はありません。
キナーゼの前に反応物と似たよう名前がついてます。 (最後の反応ならピルビン酸できるからピルビン酸キナーゼみたいな)
不可逆反応 ①③⑩
不可逆反応は、
最初と最後の反応+③フルクトース-6-リン酸→フルクトース1.6-ビスリン酸
(③はこれだけ頭文字フルクトース→フルクトースで変わらないとおぼえてました)
ATPが関わる反応 ①③⑦⑩
ATPが関わる反応は、
不可逆反応+⑦1,3ビスホスホグリセリン酸→3-ホスホグリセリン酸
リン酸が1つ取れているので頭文字が「1,3-ビスホス~→3-ホスホ」になっているで覚えればOK
基質レベルのリン酸化 ⑦⑩
基質レベルのリン酸化はATP関連反応の後半2つです。
ATPを作る反応なのでわかりやすいはず。
解糖系で作られたピルビン酸は次は酸化的脱炭酸反応に進んでいきます。↓
次は酸化的脱炭酸反応を確認していきましょう!