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ペントースリン酸回路を図で分かりやすく解説【薬剤師国家試験】

薬学生
そろそろエネルギー代謝も終わりだー
ペントースリン酸回路ってNADPH作るんだよね。
他の経路とも関わりあるの?

本記事の内容

ペントースリン酸回路の役割

解答系のバイパスをしている

全体の流れは酸化的反応(前半)と非酸化的反応(後半)に分けて考える

ペントースリン酸回路を図で分かりやすく解説

ペントースリン酸回路は、

NADPHとリボース5-リン酸を作る経路です。

NADPHは体内で還元剤リボース5-リン酸は核酸の材料として重要です。

核酸が代謝されるとNH₃ができるので尿素回路にも繋がります。

経路はグルコース6-リン酸から始まり、最終的にグリセルアルデヒド3-リン酸、フルクトース6-リン酸(解糖系の中間代謝物)ができるので解糖系のバイパスになってます。

この経路全体は前半、後半に分けて考えると理解しやすいです。

他の経路とのつながりや、ざっくりとした流れを知っていると理解が深まります。

 

この記事では

  • ペントースリン酸回路の役割
  • 解答系のバイパスをしている
  • 全体の流れは酸化的反応(前半)と非酸化的反応(後半)に分けて考える

の3つを中心に解説します。

 

ペントースリン酸回路の役割

ペントースリン酸回路は

NHDPH:還元剤として重要!

リボース5-リン酸:核酸合成の材料

を作ることが目的です。

NADPHを作る理由

NADPHは還元剤としてとても重要です。
特に、エネルギー代謝では、脂質の合成で必須となります。

NADPHは他にも

精巣、副腎皮質:ステロイドホルモン合成

赤血球:還元型グルタチオンの生成

に関わります。

 

赤血球はペントースリン酸回路からのNADPHに依存してます。

そのため後述するグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼが欠損していると、溶血性貧血の原因になります。

 

 

+ なぜ溶血性貧血になるのか理由を知りたい人はチェック

赤血球内には還元型グルタチオンが存在してます。

活性酸素などが赤血球膜を酸化しようとしますが、還元型グルタチオンが変わりに酸化され、酸化型グルタチオンになることで赤血球を守ります。

グルタチオンが赤血球を酸化反応から守るためには還元型に戻る必要があります。

そこで登場するのがNADPHです。

NADPHは還元剤なのでグルタチオンは還元型に戻ります。

ペントースリン酸回路の最初の反応でグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼが出てきます。
この酵素が欠損していると、NADPHが産生されないので赤血球は酸化ストレスにさらされます。そのため、赤血球の寿命が短くなったり、溶血に繋がります。

 

※NADPHとNADHは似てますが別物です。注意しましょう。

 

リボース5-リン酸を作る理由

リボース5-リン酸は核酸の材料になります。

ヌクレオチドの合成に必要なホスホリボシルピロリン酸(PRPP)はリボース5-リン酸をもとに作られます。

ヌクレオチドは代謝されるとアンモニアを生じます。

アンモニアを処理するために尿素回路へ繋がって行きます。
(尿素回路に関してはまた別のページでまとめます。)

ペントースリン酸回路と尿素回路の繋がりを覚えておくと理解が深まります!

 

ペントースリン酸回路は酸化的反応と非酸化的に分けると簡単

ざっくりと経路を見ていきましょう。
(各反応は覚える必要無いです。ただざっくりこんなこと起きてるんだ-と知っておくと、理解しやすいです。)

経路全体は2つに分けられます。

前半:酸化的反応→酸化還元反応でNADPH作るぞー

後半:非酸化的反応→炭素骨格組み替えて、リボースと解糖系の中間体つくるよー

こんなイメージです。

 

前半は酸化的反応を通してNADPHを作ります。

グルコース6-リン酸からリブロース5-リン酸をつくる過程で2回NADPHができます。

できたNADPHは脂肪酸合成などの還元的同化反応に利用されます。

最初のグルコース6-リン酸から6-ホスホグルコノラクトンを作る反応にはグルコース6-リン酸デヒドロゲナーゼが必要です。
これが欠損すると先に説明しましたが溶血性貧血の原因になります。

 

後半は非酸化的反応が続きます。

後半は非酸化的反応で、炭素骨格を組み替える反応が起きます。

リブロース5-リン酸からリボース5-リン酸とキシルロース5-リン酸が最初にできます。

このあと炭素骨格を組み替える反応が続き最終的に、
フルクトース6-リン酸、グリセルアルデヒド3-リン酸ができます。

リボース5-リン酸は核酸合成で利用されます。

フルクトース6-リン酸、グリセルアルデヒド3-リン酸は解糖系の中間体で、このあとグルコース6-リン酸に変換されます。

 

解答系のバイパス

解糖系ペントースリン酸回路の繋がりはざっくり↑の感じ。

 

グルコース6-リン酸から始まり、最終的に

  • フルクトース6-リン酸
  • グリセルアルデヒド3-リン酸

ができます。

解答系のバイパス(側路)だとわかります。

この2つが解糖系における中間代謝物だったことを思い出しましょう。

 

 

まとめ

ポイント

  • ペントースリン酸回路はNADPHとリボース5-リン酸作る経路
  • 最終的にフルクトース6-リン酸とグリセルアルデヒド3-リン酸ができて、解糖系のバイパスになってる
  • 全体の流れは酸化的反応(前半)と非酸化的反応(後半)に分けて考える
  • NADPHは脂肪酸合成、リボース5-リン酸は核酸合成で尿素回路につながっていく

次はグリコーゲン合成を見ていきましょう!

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