クエン酸回路とどう関わってる?
なにがポイント??
本記事の内容
β酸化の概要~覚え方まで図で分かりやすく解説
勉強のポイントは3つ
Contents
β酸化の概要~覚えるべきポイントまで図で分かりやすく解説
脂質はエネルギーの産生と貯蔵に関わる重要な物質です。
脂肪酸からエネルギーを得るための手段がβ酸化です。
β酸化はマトリックス内で起こります。
生成されたNADHとFADH₂、アセチルCoAがクエン酸回路、電子伝達系に入りATPを産生する仕組みです。
クエン酸回路と、電子伝達系を理解しているとβ酸化の理解が簡単です。
3つのポイントを中心に勉強しよう
勉強する際のポイントは
- 脂肪酸のマトリックス内への侵入方法
- β酸化の反応と何が生成されるか
- クエン酸回路と電子伝達系と連携してエネルギー作る
この3つを中心にβ酸化を解説していきます。
まずは脂肪酸を切り離す
そもそも、β酸化を起こすには脂肪酸が必要です。
脂肪酸は体内で、グリセロールとともにトリアシルグリセロール(TG)を構成しています。
トリアシルグリセロール(TG)は脂肪組織内で脂肪酸の貯蔵手段です。
脂肪酸をエネルギーとして利用するには、リパ-ゼを使って加水分解で切り離します。
ここからスタート、脂肪酸を活性化
β酸化は、脂肪酸の活性化からスタートです。
脂肪酸の活性型はアシルCoAです。
アシルCoAになるにはアシルCoAシンテターゼという酵素が必要です。
脂肪酸に補酵素Aがくっつくとできます。
マトリックス内に移動するには足(カルニチン)が必要
β酸化はマトリックス内で起こります。
活性化されたアシルCoAはβ酸化をするのにマトリックス内に移動する必要があります。
アシルCoAは外膜は通れますが、内膜を通ることができません。
そのためカルニチンという助っ人が必要になります。
アシルCoAはアシルカルニチンになり内膜を通れるようになります。
マトリックスに移動したアシルカルニチンはアシル基をCoA-SHにうつすことでアシルCoAに戻ります。
β酸化はCを2個ずつ切っていく反応
ポイントは
- 炭素が2コずつ切れる
- NADH、FADH₂、アセチルCoAができる
β酸化は、カルボキシ基末端からC を2個ずつ切っていく反応です。
β位の炭素が酸化的開裂を起こすのでβ酸化と呼ばれます。
β酸化は4段階で成り立ちます。
- 酸化(FAD)
- 水和
- 酸化(NAD⁺)
- 開裂
β酸化を1回転させるとFADH₂とNADHが1分子ずつとアセチルCoAができます。
脂肪酸自体は2C短くなります。
短くなった脂肪酸は次サイクルでβ酸化を受けます。
できたFADH₂とNADHは電子伝達系へ、
アセチルCoAはクエン酸回路へ入りATPを作り出します。
β酸化から得られるエネルギーはた~くさん
ステアリン酸を例にどれくらいのATPができるのか見てみます。
β酸化でのATP供給源は2つ
- NADH,FADH₂→電子伝達系
- アセチルCoA→クエン酸回路→電子伝達系
炭素数18のステアリン酸がβ酸化を受けると、β酸化は8回転(9ではない!)します。
8回転すると
NADH 8個
FADH₂ 8個
アセチルCoA 9個
9モルのアセチルCoAがクエン酸回路に入ると、
9FADH₂と27NADH、9GTP(ATP)ができます。
(クエン酸回路では1molのアセチルCoAから1FADH₂、3NADH、1GTPができる)
ここまででできた(β酸化由来+クエン酸回路由来)NADHとFADH₂の量は
- FADH₂→8(β酸化)+9(クエン酸回路)=17
- NADH→8(β酸化)+27(クエン酸回路)=35
これが電子伝達系に伝わると
- 17FADH₂×1.5=25.5ATP
- 35NADH×1.5=87.5ATP
これにクエン酸回路でえた9GTP(ATP)を加えると
合計で122ATPもできる計算になります。
(実際にはアシルCoAへの活性化時に2ATPを消費しているので120ATP)
グルコース(C6)1モルでは32ATPが得られます。
ステアリン酸と炭素数を等しくするためにグルコース3分子で考えても
32×3=96が得られる計算です。
同じ炭素数でも脂肪酸のほうが多くのATPがを得られます。
脂肪酸が以下に優れたエネルギー貯蔵物であるかがわかりますね。
まとめ
まとめ
- 脂肪酸はカルニチンの助けを借りてマトリックスへ入る
- β酸化は4段階でNADHを、FADH₂、アセチルCoAを作る
- クエン酸回路と電子伝達系と連携してエネルギー作る