そもそもどうやってできてるの?
他の経路との関わりって??
あーよくわからん!
本記事の内容
- ケトン体の役割と代謝を解説
- 図とゴロで全体像を分かりやすく解説
- ケトン体と糖尿病の関係を解説
Contents
ケトン体を分かりやすく解説
ケトン体の全体像は↑の青枠のところです。
今回はこの青枠部分の流れを理解するのがゴールです。
結局、ケトン体というのは
「飢餓時にグルコース使えないけど、なんとかエネルギー源作って肝外に送りたい!」
ということで、利用される第2のエネルギー源です。
要は、グルコースの代用品です。
脂肪酸として蓄えれらているエネルギーをそのまま使えればいいですが、
脂肪酸の形では各組織に移行できません。
(血液脳関門とか通過できない!)
そのためケトン体を経由しておくります。
ケトン体は脂肪酸のβ酸化から生じたアセチルCoAから作られます。
各組織に行くとアセチルCoAに戻り、TCA(クエン酸)回路に入りエネルギーを生み出すというのが一連の流れです。
飢餓時にとても重要な役割をするケトン体ですが、たくさんできるとケトアシードシスを引き起こすので注意が必要です。
勉強のポイント
ポイント
- ケトン体はグルコースの代わりにどのように利用されるのか
- アセチルCoAの供給源はTGとケト原性アミノ酸の2つある
- なぜアセチルCoAはTCA回路を回さないのか
- ケトン体ありすぎるとケトアシドーシス起こる
この4点を中心にケトン体について見ていきましょう!
ケトン体の生成はオキサロ酢酸が不足するため
ケトン体はアセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称です。
ケトン体の3種類は
ゴロ:ひどい汗
ひど:β-ヒドロキシ酪酸
あせ:アセト酢酸、アセトン
で覚えましょう。
ケトン体は飢餓時や絶食時に多く生産されます。
簡単に言えば
エネルギー源となるグルコースが無いから変わりにケトン体使おう!
てことです。
トリグリセリド(TG)として蓄えられていた脂肪酸は、エネルギー供給のためグリセロールと脂肪酸に分解されまます。
グリセロールは糖新生に入ってくのを思い出しましょう
脂肪酸はβ酸化を受けてアセチルCoaを作ります。これも重要なので押さえておきましょう!
アセチルCoAはケトン体になるわけですが、上の図を見ると
β酸化でできたアセチルCoAってクエン酸回路でつかうんじゃなかったの??
と思いませんか?
クエン酸回路が使えない理由があります。
それがオキサロ酢酸の枯渇です。
そもそもグルコースが無いので体内では糖新生をしまくってます。
オキサロ酢酸は糖新生における重要な中間体です。
そのためオキサロ酢酸は体内で枯渇しており、
クエン酸回路の最初の反応オキサロ酢酸+アセチルCoAができないわけです。
クエン酸回路に入れなかったアセチルCoAがケトン体となり、エネルギー源として利用されます。
ケト原生アミノ酸はゴロで覚える
アミノ酸からもアセチルCoAの供給があります。
ケト原生アミノ酸は代謝されてアセチルCoAかアセトアセチルCoAができるものです。
ケト原生アミノ酸はゴロで覚えましょう。
太っちょいけど、ろり
フ :フェニルアラニン
ト :トリプトファン
チョ:チロシン
イ :イソロイシン
ケド:ケト原性
ロ :ロイシン
リ :リジン
ケトン体生成の経路はアセチルCoAの縮合から
ケトン体の生合成は上の図ののとおりです。ざっくりとした流れを頭に入れておけばOK!です。
ケトン体の合成はアセチルCoAの縮合から始まります。
縮合したアセチルCoAはアセトアセチルCoAになります。アセトアセチルCoAに更にアセチルCoAはがくっついてHMG-CoAになります。HMG-CoAからアセト酢酸ができます。
アセト酢酸は2通りに変化します。還元反応を受けるとβ-ヒドロキシ酪酸になります。
アセトンへは自発的な脱炭酸反応により変換します。
ケトン体の利用 脳のエネルギーとして利用する
できたケトン体はエネルギー源として利用されます。
アセトンは呼気中に出ていってしまうのでエネルギー源としては使えません。糖尿病患者で見られる甘いアセトン臭の原因がこれです。
ケトン体は水溶性のため血流を介して肝以外の器官に移動します。
(脂肪酸は脳の血液脳関門通れないから、ケトン体にするとエネルギーとして利用できる)
アセチルCoAに戻りクエン酸回路に取り込まれ、エネルギーを作ります。
なぜ肝以外なのかというと、肝臓ではケトン体をアセチルCoAにするための酵素が無いので利用できないためです。
糖尿病との関係 ケトアシドーシスに注意
ケトン体はエネルギー源として重要な役割をしてますが多いと問題もあります。
それがケトアシドーシスです。
アセト酢酸やβ-ヒドロキシ酢酸は酸です。
高濃度になると血液の緩衝能を超え、血液のpHが下がります。
頑張ってH⁺を尿で排泄しようとしますが、その際にNa⁺やK⁺、水も一緒に排泄されます。
そのため脱水症状が見られます。(←口渇感とか糖尿病で見られる理由!)
先に説明しましたが、ケトン体がたくさんできると呼気中にアセトン臭がします。
これはアセトンが呼気中に逃げ出すからです。
なぜ糖尿病患者ではケトアシドーシスのりスクがあるかというと、
インスリンがうまく働かずグルコースを効率よく利用でき無いからです。
糖がうまく代謝できないのでオキサロ酢酸とアセチルCoAのバランスが崩れケトン体がたくさんできているというわけです。
(せっかくなので糖尿病と絡めて勉強するといいと思います。)
まとめ
ポイント
- ケトン体はグルコースの代わりに利用されるエネルギー源
- オキサロ酢酸が不足するとアセチルCoAがケトン体になる
- ケトン体は各器官でアセチルCoAに戻ってクエン酸回路でエネルギー作る
- 糖尿病患者では糖代謝がうまくいかないからケトン体増えて、ケトアシドーシス起こる