生物

アミノ酸代謝:窒素代謝(尿素回路)を図とゴロで分かりやすく解説

薬学生
アミノ酸代謝ってなんか苦手意識あるんだよね...
尿素回路とどうつながるのかな??

 

本記事の内容

アミノ酸代謝の勉強の仕方

アミノ基転移反応と酸化的脱アミノのながれ

肝臓以外のアンモニアの輸送方法

尿素回路のながれ

 

アミノ酸代謝は窒素と炭素骨格にわけて考えるとわかりやすいよ!
このページでは窒素代謝を解説しますね。

アミノ酸代謝をわかりやすく解説

アミノ酸代謝は

アミノ基の窒素

炭素骨格

を分けて考えていきましょう。

 

イメージとしては最初にアミノ酸内の窒素を代謝し、残った炭素骨格を各アミノ酸ごとに異なる経路で代謝します。

(アミノ酸からエネルギー取り出すにもアミノ基ついてて厄介だから、先に窒素とっちゃお!という感じ)

 

このページでは窒素代謝を解説していきます。

 

窒素代謝は

アミノ基転移反応

酸化的脱アミノ反応

の2つの反応があります。

 

ざっくりいうと

アミノ基転移反応でアミノ基をグルタミン酸に集めて、酸化的脱アミノでアンモニア遊離させて尿素回路で尿素へ

という流れです。

 

まず基本となる

アミノ基転移反応→酸化的脱アミノ反応を見ます。

次に各組織の窒素がどのように肝臓へおくられるか。

最後に尿素回路を見ていきましょう!

※炭素骨格の代謝は他のページでまとめます。

 

アミノ基転移反応は新しいアミノ酸つくる反応

アミノ基転移反応は、アミノ酸とαケト酸との間でアミノ基を転移させ、新しいアミノ酸とα-ケト酸をつくる反応です。

反応にはアミノ基転移酵素(アミノトランスフェラーゼ)ピリドキサールリン酸(PLP)が必要です。

α-ケト酸は↑のような一般式で表せます。

アミノ酸には対応するα-ケト酸があり、
アミノ基転移反応でそれぞれ対応するアミノ酸とα-ケト酸になります。

 

例えば

アミノ酸 α-ケト酸
グルタミン酸 α-ケトグルタル酸
アラニン ピルビン酸
アスパラギン酸 オキサロ酢酸

のように対応しています。

図の通り、アラニンのアミノ基がα-ケトグルタル酸に移ると、グルタミン酸になります。
アラニンは対応するα-ケト酸(ピルビン酸)になります。

このときに使われるアミノトランスフェラーゼはALTです。

 

アスパラギン酸もアミノ基をα-ケトグルタル酸に移しグルタミン酸ができます。
アスパラギン酸は対応するα-ケト酸(オキサロ酢酸)になります。

アスパラギン酸との間でのアミノ基のやり取りはASTという酵素が利用されます。

※AST/ALTは肝機能の指標で使われることは知っておきましょう。

 

アミノ基転移反応でアミノ基はグルタミン酸に集められます

生じたαケト酸はこのあと代謝骨格代謝を受けることになります。

 

グルタミン酸は次に酸化的脱アミノ反応へ移ります。

 

酸化的脱アミノ反応はアンモニアを遊離させる

 グルタミン酸は肝臓で、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)によりα-ケトグルタル酸とアンモニアを生成します。

このときに補酵素としてNAD⁺が使われ、酸化的脱アミノされます。

できたアンモニアは尿素回路に入り尿素に変換されます。

 

各組織のアンモニアはグルタミンで肝臓へ移動

最終的に窒素を無毒化することが目的なので、

アンモニア(窒素)は尿素回路が起こる肝臓へ移動する必要があります。

 

肝臓以外のアンモニアを肝臓へ送る方法がグルタミンです。

グルタミン酸にNH₄⁺がグルタミンシンテターゼ(合成酵素)でくっつくとグルタミンになります。
(グルタミンはNH₄⁺が2つあるので効率的にNが運べるのがイメージできますね)

 

グルタミンは血中を通して肝臓に送られます。

肝臓に着いたグルタミンは,グルタミナーゼという酵素でグルタミン酸に戻ります。

このときNH₄⁺を放出します。

 

グルタミン酸は酸化的脱アミノによりα-ケトグルタル酸になり、もうひとつNH₄⁺を出します。

これの2つのNH₄⁺は尿素回路に入っていきます。

 

筋肉からもグルコース-アラニン回路を使って窒素が肝臓に送られてます。

グルコース-アラニン回路の詳細は省きますが、肝臓に着いたアラニンはアミノ基転移反応でピルビン酸とグルタミン酸を作ります。

このグルタミン酸が酸化的脱アミノ反応でNH₄⁺を出します。

 

グルコース-アラニン回路はこちらで確認

 

 

アンモニアは尿素回路へ

 酸化的脱アミノ反応や、グルタミン→グルタミン酸の反応で生じたNH₄は尿素回路で尿素となり無毒化されます。

①カルバモイルリン酸の生成

尿素回路のスタートはカルバモイルリン酸の生成です。

酸化的脱アミノ反応や、グルタミン→グルタミン酸の反応で生じたアンモニアとCO₂、ATPが反応してカルバモイルリン酸が生じます。

この反応が尿素回路での律速段階になります。

 

②カルバモイルリン酸+オルニチン→シトルリン

カルバモイルリン酸はオルニチンと反応してシトルリンになります。

ここまでの反応はミトコンドリアで起こります。

シトルリンはこのあと細胞質(サイトゾル)に運ばれます

 

③シトルリン+アスパラギン酸→アルギニノコハク酸

シトルリンはサイトゾルへ移動すると、アスパラギン酸と反応してアルギニノコハク酸になります。

この反応でアスパラギン酸由来のもう一つの窒素が導入されます。

 

④アルギニノコハク酸→アルギニン

アルギニノコハク酸は開裂してアルギニンとフマル酸を生成します。

(フマル酸がTCA回路の中間体だったことが思い出せる人はエネルギー代謝の初心者脱却です!)

 

⑤アルギニン→尿素+オルニチン

アルギニンが加水分解され、尿素オルニチンとなり、尿素回路が1周します。

尿素は尿中に排泄され窒素代謝が終了します。

オルニチンは再びミトコンドリアに戻り尿素回路で利用されます。

 

覚え方はお菓子あるにょ

尿素回路はゴロで覚えましょう

お菓子あるニョ

お:オルニチン
か:カルバモイルリン酸
し:シトルリン
あ:アスパラギン酸
ある:アルギニノコハク酸
ある:アルギニン
にょ:尿素

 

尿素回路とTCA回路のつながり

これは覚えなくて大丈夫ですが知っておくと理解が深まります。

④アルギニノコハク酸→アルギニン+フマル酸の反応に戻ります。

フマル酸はTCA回路の中間体でした。

④の反応でできたフマル酸はTCA回路の回路でオキサロ酢酸になります。

オキサロ酢酸はアミノ基転移反応でアスパラギン酸に変換するので、③のアスパラギン酸を供給することができます。

 

まとめ

ポイント

アミノ酸の窒素は尿素回路で尿素にされて無毒化

アミノ酸の窒素はアミノ基転移反応でグルタミン酸に集まる

グルタミン酸の酸化的脱アミノ反応でNH₃が遊離する

尿素回路はゴロ「お菓子あるにょ」で覚える

-生物

© 2024 マインドマップ薬学 Powered by AFFINGER5