今回は担体介在輸送について解説します。
ポイント
結論から言うと、下図とミカエリスメンテン式
の意味がわかればOKです。
Contents
担体介在輸送は競合するのでミカエリスメンテン式を使う
担体介在輸送には、能動輸送と促進拡散があります。
そもそも単純拡散との違いは担体(膜にあるタンパク質)を使って栄養素や薬を運ぶ輸送形態であることです。
単純拡散については、こちら↓で解説しています。
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【薬剤師国家試験】単純拡散をわかりやすく解説。単純拡散で通せない物は促進拡散などで通す。
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能動輸送も促進拡散も、担体を使うため、物量が多くなれば競合してスムーズに運べなくなります。
物の量と透過速度の関係を表したのがミカエリスメンテン式です。
ミカエリスメンテン式(Michaelis-Menten式)
能動輸送も促進拡散もミカエリスメンテン式に従います。
ミカエリスメンテン式
V:透過速度 C:濃度 Km:定数
式のポイント
分母のCを大きくしたり小さくしたりして、式を見てみましょう
能動輸送とは濃度勾配に逆らう輸送。
促進拡散とは濃度勾配に従う輸送。
能動輸送と促進拡散はどちらも担体を使って輸送する形態でした。
両者の違いは、
濃度勾配に逆らうか従うかです。全ての分類はここからスタートします。
担体介在輸送の分類分け
能動輸送
能動輸送は濃度勾配に逆らうため、初めにATPが必要
- 一次性能動輸送:ATPを直接利用する
- 二次性能動輸送:間接的にATPを使う
一次性能動輸送で作られたイオンの濃度勾配を使って、アミノ酸などを濃度に逆らって膜透過させる
促進拡散
促進拡散は濃度勾配に従うためATPは使わない。
単純拡散では通過できなかったグルコースなどを濃度勾配に従って膜透過させる。
ここまで理解できたら、物質の膜透過の動きを見て理解しましょう。
担体能動輸送の動きを解説
例として、アミノ酸とジペプチドの膜透過の解説をします。
流れ
- 一次性能動輸送のNa⁺/K⁺-ATPaseがATPを使い小腸上皮細胞内の[Na⁺]↓
- Na⁺の濃度勾配を使い、Na⁺/アミノ酸共輸送系とNa⁺/H⁺逆輸送系が動く
- アミノ酸が膜を透過できた
- H⁺は管腔へ出て管腔側の[H⁺]↑
- H⁺濃度勾配を使い、H⁺/ジペプチド共輸送体でジペプチドが透過
一次能動輸送の特徴と種類
上記の 1. Na⁺/K⁺-ATPaseのように直接ATPを使うのが一次能動輸送です。
一次能動輸送では、P-糖タンパクを確実に覚えてください。
異物排出機構として働き、P-糖タンパクによって薬が排出されてしてしまいます。
認識性が低く、かなりの種類の薬が汲み出されます。
国試でも聞かれたことのある薬を挙げておきます。
系統 | 薬名 |
Ca⁺拮抗薬 | ベラパミル |
免疫抑制剤 | シクロスポリン、タクロリムス |
抗がん剤 | ビンクリスチンビンプラスチン |
その他 | ジゴキシン、キニジン
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二次性能動輸送の特徴と種類
二次性能動輸送は、駆動力としてATPは直接使わずにイオンの濃度勾配を使っています。そして、共輸送系などでアミノ酸などを濃度勾配に逆らって移動させていました。
覚えておいてほしいのは「流れ」の図に出てきた3つです。
- Na⁺/アミノ酸共輸送系
Na⁺とアミノ酸を共に輸送します。
パーキンソンで使うL-Dopaがこの系で輸送されます。 - H⁺/ペプチド共輸送系
高血圧薬のACE阻害薬(カプトプリルなど)、抗菌薬のβラクタム系(セファレキシンやクラリシン)を輸送します。
ごろは、Hなカップル セーフな暮らしで覚えましょう。 - Na⁺/H⁺逆輸送系
小腸管腔にH⁺を排出し濃度勾配を作り出します。
非攪拌水層と相まって、透過膜付近のpHが低く保たれます。pH分配仮説を考える上で重要な要因になる部分です。
促進拡散はグルコースの輸送がポイント
促進拡散は濃度勾配に従って、担体使って輸送する方式でした。
ポイント
二次性能動輸送のSGLT1→促進拡散のGLUT2を覚えておきましょう
- 一次性能動輸送で作られたNa⁺濃度勾配を使い、SGLT1がNa⁺とグルコースを共輸送(グルコースは濃度に逆らって移行)
- 小腸上皮細胞内で高まったグルコースの濃度勾配を使いGLUT2が血管内に運び込む
GLUTファミリーはGLUT1〜7までありますが、全て促進拡散です。
おさえておきたいものは、
- GLUT2:上図の小腸やインスリン分泌細胞にグルコースが入る時にも使う
- GLUT5:フルクトースを輸送する
まとめ
- 担体介在輸送は、ミカエリスメンテン式に従う。
- 能動輸送と促進拡散の違い
濃度勾配に逆らうか、従うか。 - 能動輸送と促進拡散
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