薬の生体内運命

【薬剤師国家試験】単純拡散をわかりやすく解説。単純拡散で通せない物は促進拡散などで通す。

単純拡散の全体像と特徴

薬でも栄養素でも生体膜の透過で一番使われている形式が単純拡散です。

絵の具を水に溶かすように自然と拡散される力を使っています。

単純拡散のポイントは2つ

  1. 単純拡散の透過速度はFickの法則に従う
  2. 脂質二重膜は脂っぽいものしか通さない
    • 分子形分率が重要→p H分配仮説

ちなみに、単純拡散では、アミノ酸やグルコースは脂溶性が低いので細胞膜の中には入れません。

そこで必要になるのが、能動輸送や促進拡散です。担体を使って輸送します。

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担体介在輸送:能動輸送と促進拡散をわかりやすく解説。ATP使うかよりも濃度勾配に着目

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単純拡散の勉強の流れ

まず、Fickの法則で基本的な振る舞いを勉強して、

その後に分子の性質についてp H分配仮説を考えていきましょう!

Fickの法則:透過速度は、濃度勾配に比例、膜厚に反比例

試験ではこの式↑を覚えてくれてればいいです。

ポイント

式の読み取り方は

 

 

 

式変形していきなり「K」が出てきました。気になる人のための解説です。読み飛ばして構いません。

分配係数 K について

上記の式で、濃度勾配のところを、(CーC)/L としていますが、細胞液の中よりも脂質二重膜の方が、脂溶性が高く分子にとって居心地が良いため濃度が高くなり実際の濃度勾配は、(C₁ーC₂)になります。

Kは膜/溶媒間の分配係数で、

が成り立っています。

なので、

の変形は、

この式から、透過速度は分配係数にも比例することがわかります。

p H分配仮説

Fickの法則で、基本的な透過の振る舞いはわかりました。

生体膜である脂質二重膜を通れるのは分子形ですが、薬は分子形とイオン形の平衡状態になっています。

と言うことは、その場所のpHによって分子形とイオン形の割合が決まり、薬の透過性、吸収率が変わってくる!と言うのがp H分配仮説の理論です。

薬物のpKaから透過性がわかる

まず、結論だけ言うと

  • 酸性薬物はpKa大きい物質の方が分子形多い→pKa代の方が膜通りやすい
  • 塩基性薬物はpKa小さい物質の方が分子形多い→pKa小の方が膜通りやすい

これが理解できるようになればOKです。

まず、覚えておいてほしいことは、

その場所でのpHの値が薬のpKaと同じ時、分子形とイオン形の存在比が同じ(分子形分率50%)

 

これを念頭に置いてpH/分子形分率のグラフを書いてみると

酸性薬物と塩基性薬物で挙動が違うので、グラフが違います。

 

薬の比較

薬を比べてみると

酸性薬物はpKa大の薬Bが吸収されやすい

塩基性薬物はpKa小の薬アが吸収されやすい

感覚としては以上の図が理解できればOKです。

たまに物理分野で計算問題も出されるので、ヘンダーソンハッセルバルク式はおさえておきましょう。

ヘンダーソンハッセルバルク式

酸性薬物の場合

塩基性薬物の場合

 

参考:式の導出

私は式を暗記するのが苦手なのでなるべく導出をして思い出せるようにしています。

大学受験の化学をやった人なら簡単に導けます。

酢酸を例にやってみましょう。

CH₃COOH⇄CH₃COO⁻+H⁺

この平衡定数がKaで、pHみたいに-logをつけたのがpKaです。

よって

これを弱酸の一般式で書くと

HA⇄A⁻+H⁺

なので

両辺に-logをとると

ー式①

分子分率とは、

ー式②

式①より

これを式②に入れると

酸性薬物の分子分率の完成!

ちなみに弱塩基のpKaイオン形と分子形をひっくり返した形です。

分子分率もpKaとpHをひっくり返して

薬物の脂溶性も膜透過率の目安に

生体膜は脂質二重膜でした。

そのため、脂溶性が高い薬物も生体膜を通りやすく、透過性の目安になります。

 

 

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