今回は自律神経系の交感神経に作用する薬について解説します。
ポイントは
ポイント
- どの薬剤がどの受容体に作用するか
- 受容体から作用と副作用が連想できる
- 各薬剤の特徴
です。
基本的にはゴロで各薬剤の受容体への選択性は覚えられるので、一緒に勉強していきましょう。
Contents
アドレナリン作動薬は直接型、間接型、混合型の3種類がある
交感神経薬にはアドレナリン作動薬と抗アドレナリン薬があります。
先にアドレナリン作動薬を見ていきます。
アドレナリン作動薬には3種類あります。
直接形:アドレナリンα β受容体を直接刺激
間接型:ノルアドレナリンの放出促進
混合型:直接型+間接型
最初に直接型を見ていきましょう。
直接型は受容体刺激薬(アゴニスト)
直接型は受容体刺激薬です。
各薬物によって結合しやすい受容体のサブタイプに違いがあります。
この選択性の違いにより出現する作用が異なります。
そのためまずはどの薬剤がどの受容体に作用するか覚えましょう。
アドレナリンα β受容体刺激薬
アドレナリンとノルアドレナリンがあります。
両方とも内因性カテコールアミンです。
カテコールアミン類の特徴として
- MOA COMTで不活化される→作用時間が短い
- 消化管で不活性化(MAO,COMT)→経口投与が無効
- 血液脳関門を通過しないため中枢作用がほとんどない
があります。
アドレナリンは副腎髄質からホルモンとして分泌されα、βに作用します。
現れる作用は
α1→血管収縮(皮膚や腎臓、腹部内臓など)
β2→血管拡張(冠動脈、肺、骨格筋)
β1→心拍数、心収縮力↑
β2→気管支拡張
があります。
ノルアドレナリンはβ2作用がとても弱い(β1はあるが心機能亢進作用は弱い)ので主にα1が現れます。
そのため血管が収縮します。
また動脈へのβ2作用がほばないのでアドレナリン反転がありません。
アドレナリンとノルアドレナリンは、投与経路が限られていること、作用持続時間が短いこと、受容体の選択性が低いことから使用は限られています。
しかし、アドレナリン受容体のもともとのリガンドであることから作用は強力で即効性があります。
そのため
アドレナリン:心肺蘇生時、気管支痙攣、アナフィラキシーショック、
ノルアドレナリン:敗血症性ショック
で適応があります。
アドレナリン反転
アドレナリンの単独投与するとα1とβ1の昇圧作用がβ2の降圧作用を上回ることで血圧が上昇します。
α1受容体遮断薬(フェントラミンとか)を前投与するとα受容体の作用が打ち消されてβ2による降圧作用が強くなります。
結果として血圧が下がります。
これをアドレナリン反転と言います。
アドレナリン作動薬の構造活性
アドレナリンとノルアドレナリンの作用は構造活性からもわかるのでついでに見てみましょう。
交感神経作動薬の基本的な構造はβ−フェニルエチルアミンです。
アドレナリン作動薬の構造活性はまとめると↑な感じです。
構造活性の特徴は
- 芳香環とアミノ基の間の炭素数が2個の時最強の活性
- 芳香環の3、4位にOHがつくとαとβ作用が強くなる→ノルアドレナリン、アドレナリン
- R に置換基のない1級アミンはα受容体に対する選択性が高い→ノルアドレナリン
- RにCH3を導入して2級にするとβ作用が強い→アドレナリン
- 大きな置換基(イソプロピル基)がつくとさらにβ作用が強い→イソプレナリン
- 芳香環に置換機がないアミンはCOMTの作用を受けない、血液脳関門を通過しやすく中枢興奮作用あり→エフェドリン
- α位にメチル基があるとMAO作用を受けにくい→エフェドリン
これらの構造上の違いによりα、βの選択性や特徴に違いが出てくるので余裕があれば押さえておきましょう。
アドレナリンα1受容体刺激薬
α1受容体刺激薬はゴロで覚えましょう。
フナの目はみどり
フ:フェニレフリン
ナ:ナファゾリン
目:アイ→α1
みどり:ミドドリン
α1刺激で
血管収縮→血圧上昇、充血改善
瞳孔散大筋収縮→散瞳
の作用があります。
非選択的β刺激
イソプレナリン、イソクスプリンの2種類です。β1とβ2の両方を刺激します。
β1→心臓→収縮力、心拍数↑
β2→血管拡張、気管支拡張
β2→子宮弛緩
β2刺激は骨格筋に作用するので振戦の副作用があります。
β1受容体刺激薬
ドブタミン、デノパミンがあります。
β1→心臓→収縮力、心拍数↑
心不全で使用されます。
β2受容体刺激薬
β2受容体刺激薬はたくさんありますが、覚え方は「動物+テロール」です。
トリメトキノール(鳥)
サルブタモール(サル、ブタ)
テルブタリン(豚)
と名前の中に動物がいます。
あとは基本語尾に〜テロールが付きます。
※例外でリトドリンがあるのでこれは覚えましょう!
β2刺激作用で気管支拡張、子宮収縮抑制作用が現れます。
クレンブテロールは膀胱排尿筋弛緩作用もあるので腹圧性尿失禁に使用されます。
副作用は
- 振戦
- 動悸
- 低K血症
があるので押さえおきましょう。
β3受容体刺激薬
ミラベグロンとビベグロンです。
ミ→3
で覚えましょう。
β3刺激作用で膀胱排尿筋弛緩します。
そのため蓄膿機能改善、過活動膀胱に適応があります。
間接型
次は間接型です。
メタンフェタミン、アンフェタミン、チラミン、アメジニウムがあります。
ゴロで
目ん玉チラ見したらアメージング
目ん玉:メタンフェタミン
チラ見:チラミン
アメージング:アメジニウム
で覚えましょう。
間接型はノルアドレナリンの遊離を促進して間接的に受容体に作用します。
作用の仕方は3種類で
- ノルアドレナリンの分泌促進
- MAO阻害
- 再取り込み阻害
です。
メタンフェタミンは全ての作用をもち、アメジニウムはMAO阻害と再取り込み阻害作用があります。
その他、特徴としてメタンフェタミン、アンフェタミンは精神依存があります。(身体依存はない)
チラミンは赤ワインやチーズに含まれる化合物でMAOBで分解されやすい特徴があります。
チラミン、メタンフェタミン、アンフェタミンはタキフィラシーを起こすことも抑えましょう。
短時間での反復投与で効果が減少する現象で、受容体数の減少や生体内貯蔵物質の枯渇などが原因とされてます。
混合型
混合型にはエフェドリン、メチルエフェドリン、ドパミン、ドカルパミンがあります。
作用は直接作用である受容体刺激と間接作用のノルアドレナリンの遊離があります。
エフェドリンは麻黄に含まれるアルカロイドです。
β1、β2は受容体刺激作用、α1はノルアドレナリン遊離の間接作用で出現します。(α1への直接刺激もあるらしい)
メチルエフェドリンはメチル基が導入され、エフェドリンよりβ2作用強く他は弱くなっています。
エフェドリンは総合感冒薬に含まれることが多く、心機能亢進作用などがあるのでドーピングで注意が必要です。
ドパミンはノルアドレナリンの前駆物質です。
内因性のカテコールアミンになります。
量によって作用が変わるのが特徴です。
小用量:腎血管のD 1受容体に作用→血管拡張、腎血流量↑
中用量:β1→心拍出量↑
高用量:α1→血管収縮→血圧↑
これらの受容体刺激作用とノルアドレナリン分泌促進作用があるので混合型に分類されます。
ドガルパミンはドパミンのプロドラッグです。ドパミンがカテコールアミンのため経口投与ができないので経口薬への変更時などに有用です。
抗アドレナリン薬
抗アドレナリン薬には受容体遮断薬とアドレナリン作動性神経遮断薬の2種類があります。
まず受容体遮断薬から見ます。
α遮断薬
ゴロで
角はえた変なとらいて、歩いて渡れん
角:麦角系
変な虎:フェントラミン
歩いて渡れん:α遮断
麦角系にはエルゴタミンやエルゴメトリンがあります。
フェントラミンは
α1遮断→血管拡張作用
α2遮断→ノルアドレナリンの遊離促進→β1刺激で心機能亢進
の作用が見られます。
α1遮断薬
α1遮断薬はざっくり血管系と泌尿器系の作用する薬剤があります。
血管系は〜ゾシン+ウラピジルです。
プラゾシン
ブナゾシン
テラぞシン
ウラピジル
ドキサゾシン
尿道系はゴロで
たむろしてたシロートなぶった
タムロ:タムスロシン
シロート:シロドシン
なぶった:ナフトピジル
で覚えましょう。
α1受容体のサブタイプはα1A、α1B、α1Dがあります。
α1B:血管
α1A:前立腺
α1D:膀胱括約筋
に多く存在しています。
尿道系の3種類は血管にあるα1Bへの選択性がないので起立性低血圧のリスク少なく排尿障害に使いやすいです。
β遮断(非選択的)
ちもさんの非公開カルテ見たらプロのピン芸人だった
チモさん:チモロール
非公開:β非選択的
カルテ:カルテオロール
プロの:プロプラノロール
ピン芸人:ピンドロール
で覚えましょう。
作用は
β1遮断→心機能抑制
β2遮断→気管支収縮 SE
選択的β1受容体遮断薬
汗でベタベタソープでめとってベッドイン
汗:アセブトロール
ベタベタ:ベタキソロール
ソープ:ビソプロロール
ベッドイン:β1遮断
+
アテノロール
α1β受容体遮断薬
ゴロで
アベックベジータ、ラベンダーでニップレス
アベック:αβ
ベジータ:カルベジロール
ラベンダー:ラベタロール
ニップレス:ニプラジロール
+アロチノロール
で覚えましょう。
作用は
α1遮断→血管拡張
β1遮断→心機能↓
β2遮断→気管支平滑筋の収縮
アドレナリン作動性神経遮断薬
ノルアドレナリン枯渇薬
ノルアドレナリン枯渇薬にはレセルピンがあります。
不可逆的に小胞モノアミントランスポーターを阻害+シナプス小包へのノルアドレナリンの取り込みを阻害して枯渇させます。
アドレナリンやドパミン、セロトニンなども枯渇するため、抑うつや錐体外路障害などの副作用があります。
α2受容体刺激薬
メチルドパ、クロニジン、グアナベンズの3種類です。
機序は
中枢神経系の血管運動中枢のα2受容体の刺激
末梢神経のシナプス前膜α2受容体の刺激
です。
α2受容体は負のフィードバックでノルアドレナリンに遊離を抑制しますよ。
まとめ
自律神経系の交感神経系薬についてまとめました。
副交感神経系の薬はこちらにまとめてあるので参考にしてください。
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参考副交感神経系の薬をわかりやすく解説【薬剤師国家試験】
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