体性神経

知覚神経(局所麻酔薬)を分かりやすく解説【薬剤師国家試験】

 

今回は薬理分野の局所麻酔薬について勉強します。

局所麻酔薬の勉強のポイントは

ポイント

①局所麻酔薬の効き方の理解
②結合の形(エステル型orアミド型)を見分けられる
③適用箇所(表面or浸潤)がわかる

それでは①の作用機序から見ていきましょう!

局所麻酔薬は細胞内からNaチャネルを遮断

  局所麻酔薬は知覚神経の神経伝達を止めます。

局所麻酔薬は投与されると体内で非イオン型とイオン型が平衡状態になります。
非イオン型は神経細胞膜を通過することができます。

細胞膜を通過した非イオン型薬物は陽イオン型になり内側からNaチャネルを遮断します。

Naイオン流入を抑制することで活動電位の発生が阻害されるので、知覚神経の興奮電動が遮断されます。

ポイントは神経内から止めているということ。

①薬は神経細胞の細胞膜を通れる(分子型)
②陽イオン化(イオン型)できる事

したがって、適度な脂溶性がないといけません。

陽イオンでNa⁺チャネルがブロックできるので、ほとんどの薬は弱塩基性の2,3級アミンです。

炎症部位や胃は酸性に偏っているため、弱塩基性薬はイオン型(BH⁺)になり、神経細胞内に入れず効果が減弱します

 

麻酔の効く順番は「ツオシ」

 局所麻酔薬は知覚神経以外にも、他の抹消神経(自律神経や運動神経)にも作用してしまいます。

細い神経ほど作用しやすいという特徴があります。

順番は自律神経→知覚神経(痛覚→温覚→触覚)→運動神経の順に作用します。

例えば脊髄くも膜下麻酔が切れると徐々に麻酔が切れて
足が動く=運動神経の感覚あり
感触ある=知覚神経の感覚あり
排尿できない→尿閉=自律神経だけ麻酔が効いてる
という場合もあります。

知覚神経の消失順は「ツオシ」で覚えましょう

ツ:痛覚
オ:温覚
シ:触覚

なので麻酔が効いたかは患部を氷などで冷やして確認します。
温度感覚が消失していれば痛覚も消失してるはずっという考え方です。

 

局所麻酔薬の特徴

血管拡張による効果減弱

局所麻酔薬には血管拡張作用を併せ持ったものがあります。

拡張すると速やかに吸収されるので

1局所における薬物濃度が低下→効きづらい
2中毒症状がの原因

のおそれがあります。

そのためアドレナリンやフェニレフリンなどの血管収縮薬が併用されます。

  • 作用の増強
  • 持続時間の延長
  • 全身性副作用の軽減

が期待できます。

また手術部位の止血効果もあります。

高血圧や糖尿病では血圧上昇、血糖上昇のリスクがあるためアドレナリンの併用は禁忌です。

コカインは血管収縮作用を持っているので血管収縮薬の併用は不要です。

p Hの影響

多くの局所麻酔薬が第2、3級アミンの弱塩基です。
酸性部位(胃や感染部位、炎症部位)ではイオン型が多くなるので効果が弱まってしまいます

胃内での使用はpHが低いため効果が弱まってしまいますが

  • オキセサゼイン:弱塩基性だけどイオン化しにくく、強酸性下でも非イオン状態を維持して胃内で作用
  • 安息香酸エチル:酸性薬物。強酸性でも非イオン型でいられる→胃内でOK

は使用が可能です。

2つとも内服で使用できます。

 

麻酔の種類

局所麻酔には5種類ありそれぞれ投与経路、方法が異なります。

国家試験では表面麻酔かそうでないかが見分けられれば大丈夫なのでさっと目を通してもらえればOKです。

表面麻酔→組織浸透性(脂溶性が高い)の良い薬物。塗布、噴霧、内服で使用

ここから↓は注射
浸潤麻酔→内皮、皮下注射
伝達麻酔法→神経幹周囲に注射
脊椎麻酔法→くも膜下腔に注射
硬膜外麻酔法→硬膜外腔

局所麻酔薬はエステル型とアミド型かが重要

2番目のポイントのエステル型とアミド型の違いを見ていきましょう!

局所麻酔薬の基本構造は
「芳香環+中間鎖+アミン」

です。

中間鎖にエルテル結合かアミド結合があるかでエステル型かアミド型に分けられます。

エステル型

エステル型は

  • 血漿コリンエステラーぜで分解されやすい→作用持続時間が短い
  • パラアミノ安息香酸などの代謝物によるアレルギー反応が起こりやすい

という特徴があります。

覚え方は「ラ行が入っている」で覚えましょう。

カイン
オキシブプカイン
テトイカイン
アミノ安息香酸エチ

コカインだけ例外なのでこれは覚えてください。

コカインは特徴的なので少しだけ詳しく見ます。

コカインの特徴は↓

血管収縮作用→収縮薬の併用は不要
中枢作用→精神依存が起こりやすい
組織浸潤性が良い→表面麻酔だけ。毒性が高いので血液で全身いくとあぶない

血管収縮の機序は

交感神経終末のアミントランスポーター阻害でノルアドの再取り込み阻害→ノルアド↑→血管収縮となります。

アミド型

アミド型は

  • コリンエステラーゼで分解されにくい、代謝物ができにくい→安定、アレルギー少ない
  • 肝臓でシップで代謝される

という特徴があります。

アミド型の薬剤の覚え方は『゛』がつくことです。

カイン
オキセサイン
メピカイン
カイン

 

前述しましたがオキセサゼインは胃液内の強酸性でも作用し、内服使用できます
またガストリンの遊離を抑制→間接的に胃酸分泌抑制するという作用も持っています。

 

適用はごろ「青木の子は表面のみ。プロとバカは深い」でサクッと覚える

3つ目のポイントの適用です。

表面麻酔で使われるのか注射で使われるのかごろでサクッと覚えましょう!

ゴロ:アオキの子は表面のみ。プロとバカは深い

で覚えましょう!!

 

まとめ

ポイント

  • 細胞膜を通過した非イオン型薬物は陽イオン型になり内側からNaチャネルを遮断
  • エステル型は「ラ行が入っている」、アミド型は濁点がある
  • 表面麻酔か、注射かは「アオキの子は表面のみ。プロとバカは深い」で覚える

 

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