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後天性後天性免疫不全症候群(エイズ)とは??
後天性免疫不全症候群(AIDS)はヒト免疫ウイルス(HIV)の感染によりCD4陽性T細胞が減り、細胞免疫不全を起こすことで日和見感染や脳症などを起こすものを指します。
AIDS指標疾患(23種類ある)のいずれかを合併した際にAIDS発症と定義されています。
HIVとは??
HIVはレトロウイルスです。
レトロウイルスは逆転写酵素をもつRNAウイルスです。HIV自身のインテグラーゼ、プロテアーゼを持ち、ウイルスの増殖に使用します。
HIVの感染経路は
- 血液
- 体液(精液、膣分泌物)
- 母子感染(垂直感染)
です。
HIVの感染、増殖
HIVウイルスの増殖様式を確認します。
細胞に侵入するにはCD4とCCR5の2つの受容体が必要です。
HIVウイルスはCD4陽性リンパ球細胞と出会うと表面上にある1つ目の受容体であるCD4糖蛋白に結合し、次にCCR5に結合します。2つの受容体を介することで細胞内に侵入します。
ウイルスはエンベロープや糖蛋白部位を失い、ウイルス性RNAが放出されます。これが脱核です。
RNAからHIVが持つ逆転写酵素を使いRNA→DNAとなります。
DNAとなったウイルスDNAはインテグラーゼ(ハサミ)という酵素と一緒に核内へ移動します。インテグラーゼはDNAを切断しウイルスDNAがヒトのDNA内に入り込みます。
DNAからRNAが転写されると翻訳によりウイルスタンパクが作られます。この蛋白にプロテアーゼが作用し再びウイルスが作られていきます。
経過
HIV感染後~AIDS発症までのCD4陽性T細胞数とウイルス量の流れを押さえましょう。
急性感染期
感染後ウイルス量がどんどん増えていきます。2週間くらいでかぜ様症状(インフル様症状)がでます。6~8週間後くらいには抗体が産生されます。
無症候期
CD4陽性T細胞とウイルス量に大きな変化が見られず、平衡状態を保つ期間があります。この状態をセットポイントと言います。
無症候期の後、5~10年ほどで少しずつCD4陽性T細胞が減少していくと同時にウイルス量が増加します。
AIDS発症
CD4陽性T細胞が減少し200/mm³以下くらいになると日和見感染やカポジ肉腫、HIV脳症などのAIDS指標疾患を発症し、AIDSとなります。
治療はHAART
AIDSの治療はHAARTと呼ばれる多剤併用療法が基本です。
抗HIV薬を3剤異常併用することで血中HIV-RNA量を検出限界以下に抑え込むことを目的とします。
抗HIV薬には
- CCR5阻害薬
- 逆転写酵素阻害薬
- インテグラーゼ阻害薬
- プロテアーゼ阻害薬
の4パターンがあります。
CCR5阻害薬
CCR5阻害薬にはマラビロクがあります。HIVが細胞内に侵入する際に使うCCR5(CCケモカイン受容体5)に結合することで、ウイルスが細胞内に侵入するのを防ぎます。
逆転写酵素阻害薬
逆転写酵素阻害薬はヌクレオシド系と非ヌクレオシド系があります。
ヌクレオシド系
- ~ブジン(ジドブジン、ラミブジン、サニルブジン)
- ジダノシン
- アバカビル
- エムトリシタビン
がヌクレオシド系薬です。
ポイントはリン酸化です。
3リン酸化体になり逆転写によるRNAからDNAへの合成を競合阻害します。
非ヌクレオシド系はHIV(タイプ1 HIV-1)の逆転写酵素疎水ポケット部分に直接結合することで非競合的に酵素活性を阻害します。
非ヌクレオシド系には
- ネビラビン
- エファビンレンツ
- エトラビリン
- リルビビリン
HIVプロテアーゼ阻害薬
HIVプロテアーゼに結合することでタンパク質の切断や新しいウイルスの形成を阻害します。
- サキナビル
- リトナビル
- インジナビル
- ネルフィナビル
- アタザナビル
- ダルナビル
- ホスアンプレナビル
語尾に~ナビルがつくのが特徴です。
プロテニスのナダル
プロテ:プロテアーゼ阻害
ナダル(ナビル):~ナビル で覚えましょう。
CYP阻害作用が強いので併用薬には注意が必要です。
インテグラーゼ阻害薬
ラルテグラビルはHIVインテグラーゼを阻害することで、HIVゲノムが宿主のゲノムに取り込まれるのを阻害します。
インテグラーゼ阻害薬は~テグラビルが語尾に付きます。