女性ホルモンは
- 卵胞ホルモン
- 黄体ホルモン
に分けられます。
それぞれの作用と特徴を抑えましょう。
卵胞ホルモン
卵胞ホルモン(エストロゲン)の中にも種類がありますが活性の順は
エストラジオール>エストロン>エストリオール
となります。
卵胞から主に分泌されるのはエストラジオールです。
エストロゲンの作用は
- 子宮内膜の増殖
- FSHの分泌抑制
- 骨吸収抑制
- オキシトシンに対する子宮筋の感受性増大
です。
エストロゲン薬はエストロゲンの血中濃度をあげることで生じる負のフィードバックを利用しています。
これにより
- アンドロゲン濃度の低下による前立腺がんの治療
- FSH濃度の低下による避妊
として利用されます。
副作用には血栓症があります。
薬は主に合成品で
エチニルエストラジオール(経口)とエストラジオール安息香酸エステル(注射)があります。
前立腺がんに使用されるのはエチニルエストラジオールです。
経口避妊薬としてエストロゲンを使用する場合には黄体ホルモンと併用します。
抗エストロゲン薬
抗エストロゲン薬は大きく分けて
- 受容体遮断薬
- 合成阻害薬
の2種類です。
受容体遮断薬
受容体遮断薬は~キシフェンと語尾につく薬です。
- クロミフェン
- トレミフェン
- タモキシフェン
が該当します。
クロミフェンは視床下部のエストロゲン受容体をブロックすることで、①負のフィードバックを抑制します。
脳がエストロゲン濃度が低いと感じ、
②Gn-RHの分泌を促し
③FSHやLHの分泌を促進し
④排卵を促します。
タモキシフェンやトレミフェンは乳がん組織にあるエストロゲン受容体と競合阻害することで、抗エストロゲン作用を示します。クロミフェンと比べると、性腺刺激ホルモンの分泌は上昇しにくいです。
タモキシフェンは子宮内膜のエストロゲン受容体に刺激作用を示し、子宮体がんや子宮肉腫を起こす場合があるので注意が必要です。
トレミフェンは閉経後乳がんにのみ適応があるので注意しましょう。(理由は明確ではありませんが申請しなかっただけのようです。)
SERM
SERMは語尾に~キシフェンが付きます。
具体的にはラロキシフェン、バゼドキシフェンです。
作用機序は
- 骨には作動薬(エストロゲン様作用)
- 乳、子宮には遮断薬
として働きます。
骨には作動薬として働くため、乳がんや子宮体がんのリスクは少なく骨量を上げることができます。
適応は閉経後骨粗鬆症です。
合成阻害薬
エストロゲンの合成阻害薬は語尾に~トロゾールと付きます。
アナストロゾール、レトロゾールです。
エストラジオールはテストステロンにアロマターゼが働いて合成されます。アロマターゼを阻害することでエストラジオールの合成を抑制するのがアナストロゾールとレトロゾールです。
適応は閉経後乳がんです。
黄体ホルモン
黄体ホルモンはプロゲステロンです。
黄体ホルモンの作用には
- LH分泌の抑制→排卵抑制
- 基礎体温の上昇
- 子宮内膜の増殖期から分泌機への移行
- オキシトシンに対する感受性の低下
があります。
合成品としては
- メドロキシプロゲステロン
- ノルエチステロン
- クロルマジノン
- アリルエストレノール
- ダナゾール
があります。
黄体ホルモン製剤の適応には
- 避妊薬
- 前立腺肥大症、前立腺がん
- 子宮内膜症、乳腺症
があります。
前立腺肥大症、前立腺がんでは、抗アンドロゲン作用が大事です。
抗アンドロゲン作用があるのは
- クロルマジノン
- アリルエストレノール
- ダナゾール
の3種類です。
覚え方は
きみ、まじありえないんだな
- きみ:黄体ホルモン
- マジ:クロルマジノン
- あり:アリルエストレノール
- だな:ダナゾール
です。
クロルマジノンは高濃度でアンドロゲン受容体上で拮抗することで抗アンドロゲン作用を示します。低濃度では黄体ホルモンの作用を示し不妊症に使用されます。
避妊薬
避妊薬、いわゆるピルはエストロゲンとプロゲステロンを組み合わせて使用します。
作用は排卵抑制と精子の侵入防止です。負のフィードバックを利用したものです。
主にエストロゲンによるFSH、プロゲステロンによるLHの分泌抑制で排卵を抑制します。
副作用には血栓症、高血圧、うつなどがあります。
そのため血栓症のリスクが高い人やエストロゲン依存性のがんなどの患者には禁忌です。
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