抗がん剤は種類が多いので、分類ごとに整理して覚えましょう。
- アルキル化剤
- 植物アルカロイド
- 抗生物質
- 白金製剤
をこのページではまとめます。
アルキル化剤
アルキル化剤の中には
- マスタード系
- 尿素系
に分けられます。
マスタード系は~ホスファミドと語尾に付きます。例外でブスルファン、メルファランも該当します。
尿素系の薬は語尾に~ムスチンがつきます。
アルキル化剤の覚え方は
ブスな娘がホストとメール
ブス:ブスルファン
娘:ニムスチン、ラニムスチン
ホスト:シクロホスファミド
メール:メルファラン です。
作用機序はDNAのアルキル化です。
主にグアニンに架橋(グアニンのN7位のアルキル化)することでDNAをほどけなくして、細胞増殖を抑えます。
シクロホスファミドやイホスファミドは副作用に出血性膀胱炎があります。
シクロホスファミドはP450によって代謝を受けて代謝物(活性体)とアクロレインという物質に変化します。アクロレインが出血性膀胱炎の原因となります。
メスナは出血性膀胱炎の予防のために使用されます。メスナはアクロレインと結合することで無障害性物質になります。
ニムスチン、ラニムスチンの特徴はBBB(血液脳関門)を通過することがです。水溶性ですが代謝物が脂溶性のためです。そのため脳腫瘍に適応があります。
植物アルカロイド
植物アルカロイドの中には
- タキサン系
- ビンカアルカロイド
- トポイソメラーゼ阻害薬
の3種類があります。
タキサン系
パクリタキセルとドセタキセルがタキサン系です。
作用機序は微小管の重合を促進することで安定化させ、紡錘体の機能を障害して分裂できないようにします。
タキサン系は細胞分裂のG₂~M期(分裂期)に作用をします。
副作用には末梢神経障害、間質性肺炎があります。
ビンカアルカロイド
ビン~という名前のものが多く
- ビンクリスチン
- ビンブラスチン
- ビンデシン
- ビノレルビン
があります。
微小管のチュブリンに結合することで重合を抑制し、紡錘糸の形成を阻害して有糸分裂を抑制します。細胞周期のM期に特異的に作用します。
副作用には末梢神経障害や便秘があります。
トポイソメラーゼ阻害薬
トポイソメラーゼ阻害薬は
- イリノテカン→トポイソメラーゼⅠ(S期)
- エトポシド→トポイソメラーゼⅡ(S~G₂期)
をそれぞれ阻害します。
トポイソメラーゼはDNAが分離、再結合するのに必要な酵素です。これにより細胞分裂を阻害します。
イリノテカンの重大な副作用に下痢があります。
イリノテカンはカルボキシエステラーゼによりSN-38という抗ガン作用を示す物質になります。このSN-38がトポイソメラーゼⅠを阻害することで作用を発揮します。SN-38はUGT1A1によりグルクロン酸抱合を受け排泄されますが、腸内細菌による脱グルクロン酸反応がおこり再びSN-38に変換し副作用で下痢が生じます。
抗生物質
抗生物質で抗がん作用を示すものが
- アントラサイクリン系
- ブレオマイシン
- マイトマイシン です。
アントラサイクリン系
アントラサイクリン系に該当するものはゴロで覚えましょう。
Sな美人に彼氏がドキ✕2
S:S期
美人:~ビシン
彼氏:インターカレーション
どき:副作用で心筋障害
✕2:トポイソメラーゼⅡ阻害
具体的には
- ドキソルビシン
- エピルビシン
- ダウノルビシン
があります。
作用機序はインターカレーションとトポイソメラーゼⅡ阻害作用です。
DNAの塩基対の間に入り込むことをインターカレーションといい、複合体を形成することでDNAポリメラーゼやDNA依存性RNAポリメラーゼを阻害し、DNA,RNAの合成が阻害されます。
アントラサイクリン系の重大な副作用には心筋障害があります。これを予防するために生涯投与量が決定されています。各薬剤に体重や体表面積あたりの生涯投与量が決められているので注意です。
ブレオマイシン
ブレオマイシンは、O₂を活性化すること活性酸素を発生させて非酵素的にDNAを切断します。
ブレオマイシンの特徴もゴロで覚えましょう。
振れよ、切れよ、苦しいよ
振れ:ブレオマイシン
切れよ:DNA切断
苦しい:副作用で間質性肺炎
副作用に間質性肺炎や肺線維症があるのは抑えましょう。
また細胞周期のG₂期、M期に作用します。
マイトマイシン
マイトマイシンは、アルキル化作用でDNA間に架橋構造を作ることでDNAの複製を阻害します。
細胞周期のG₁後半~S期前半の細胞への感受性が高いです。
白金製剤
白金製剤は語尾に~プラチンと付きます。
作用機序はグアニン、アデニンに結合することで白金架橋構造を作ることでDNAの複製やRNAの合成を阻害し、アルキル化薬に似た作用を持ちます。
細胞周期は非特異的に作用します。
副作用には腎毒性とや嘔吐、内耳障害などがあります。
腎毒性の予防には水分補給と利尿薬の投与を行います。嘔吐には5-HT3受容体遮断薬を使用します。
内耳障害は白金製剤以外にも
- アミノグリコシド系
- バンコマイシン
- テイコプラニン
- フロセミド
などで起こります。特にアミノグリコシド系、バンコマイシン、テイコプラニンは第8脳神経障害によるものなので関連して覚えておきましょう。