下痢性大腸菌は全部で5種類存在します。
- 腸管出血性大腸菌
- 腸管毒素原性大腸菌
- 腸管病原性大腸菌
- 腸管侵入性大腸菌
- 腸管凝集性大腸菌(マインドマップには載せてません。)
まずは腸管出血性大腸菌をよく理解しましょう。ほかは余力があれば知識として持っておきましょう。(略称と下のゴロのキーワードだけで十分)
この範囲は
病気のサルは心臓赤い、ところがどっこい出したベロも赤い
- 病気のサル:病原性→サルモネラ様症状
- 心臓赤い:侵入性→赤痢様症状
- どっこい:毒素原性→コレラ様
- 出したベロも赤い:出血性→ベロ毒素 赤痢菌
これを押さえましょう!
腸管出血性大腸菌
腸管出血性大腸菌は学名がenterohemorrhagic Escherichia coli(EHEC)といいます。
主に生の牛肉(ユッケやレバ刺しなど)を食べることで生体内毒素型の食中毒を起こします。
細菌性食中毒についてはこちらにまとめてあります。
潜伏期間は4~8日位で感染菌量が100個ほどと微量で2次感染(汚染器具の使用やヒト-ヒト感染)が起きやすいです。
毒素はベロ毒素といい赤痢菌が産生する志賀毒素に類似しています。(←めちゃくちゃ大事)
腸管上皮に感染すると、ベロ毒素を産生して大腸をただれさせ、血管壁を破壊し出血を起こします。更にベロ毒素が血液内に入ると血管内皮細胞や腎上皮細胞のタンパク合成を阻害します。
そのため症状は
- 血便
- 腹痛
- 水様性下痢
- 溶血性病毒症症候群(HUS)
があります。
HUSは小児や高齢者で起きやすく、ベロ毒素が血管内皮細胞を破壊することで生じます。溶血性貧血や血小板の減少、急性腎機能障害を特徴とします。
予防には加熱が必要です。
腸管毒素原性大腸菌
entero Toxigenenic E.coli(ETEC)といいます。
コレラ様の下痢をおこし、途上国に旅行へ行った際に見られる旅行者下痢症の原因菌です。
腸管病原性大腸菌
腸管病原性大腸菌はEPECと略されます。
小児での持続性の下痢の原因菌です。サルモネラ様の急性胃腸炎を生じます。
腸管侵入性大腸菌
腸管侵入性大腸菌はEIECと略されます。赤痢に類似した腸炎の原因菌です。
症状は下痢や発熱で重症化すると粘血便が見られます。