食中毒

細菌性食中毒を分かりやすく解説【薬剤師国家試験対策】

細菌性食中毒は

  • 毒素型
  • 感染型(感染侵入型、生体内毒素型)

の3つに大きくわけられます。

この違いを理解して、個々の細菌の特徴を押さえましょう。

また、細菌の分類や特徴を理解するのにグラム染色は重要です。

わからない方はグラム染色のまとめページを確認しましょう。

毒素型

毒素型は食品中で菌が増殖し、産生された毒素を食品と一緒に摂取することで起こる食中毒です。潜伏期間は短めです。

毒素型の細菌は

黄色いボウズにせふれ

  • 黄色:黄色ブドウ球菌
  • ボウズ:ボツリヌス菌
  • セフレ:セレウス菌

ゴロで覚えましょう。

 

黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌は学名はstaphylococcus aureusです。

グラム陽性球菌化膿巣に存在します。手に傷がある人が素手で調理すると、食品が汚染され、食中毒につながります。

増殖した菌は食品中でエンテロトキシンという耐熱性の毒素を産生します。そのため加熱調理でも予防はできないので汚染したら廃棄するしか有りません。感染すると激しい嘔吐が起こりますが、潜伏期間は3時間位と短いです。

 

ボツリヌス菌

細菌性 食中毒 ボツリヌス

ボツリヌス菌はグラム陽性桿菌です。嫌気性菌で耐熱芽胞を形成します。嫌気性菌なので真空パックになっている食品が原因で食中毒を起こします。

食品中でボツリヌストキシンという毒素を産生します。菌自体は耐熱芽胞を形成するので熱に強いですが、毒素は熱に弱いです。ボツリヌストキシンは神経毒で発症数は少ないですが致死率は高いです。今は抗毒素療法が導入されて致死率は下がっています。

はちみつに含有されており乳児が摂取すると腸管内で菌が増殖して毒素を産生し乳児ボツリヌス症を発症します。(乳児では大人の腸内環境と異なるので菌が増殖しやすいため)便秘や筋力低下といった症状が出ます。

 

セレウス菌

セレウス菌は毒素型と生体内毒素型の両方の作用で食中毒を起こします。グラム陽性桿菌で耐熱芽胞を形成します。

毒素は2種類あります。

  • 食品内毒素→耐熱性の嘔吐毒
  • 生体内毒素→下痢型のエンテロトキシン

 

感染侵入型

感染侵入型は食品とともに菌を摂取し、腸管で菌が増殖した後に腸組織に侵入することで感染が成立します。毒素を産生しないのが特徴です。

サルモネラカンピロバクターを押さえましょう。

 

サルモネラ

サルモネラはグラム陰性の通性嫌気性桿菌です。原因食品は動物の糞尿により汚染された食肉や鶏卵です。(サルモネラ→動物で関連付けましょう)

加熱調理により予防することができます。

 

カンピロバクター

カンピロバクター 細菌性 食中毒

学名はCampylobacter jejuni といいます。

細菌性食中毒の発生件数、患者数ともに一番多い食中毒です。感染に必要な菌が100程度と少なく感染力が強いです。

グラム陰性桿菌で、らせん状をしており鞭毛を持っています。動物の腸管内に存在します。そのため、汚染された食肉(特に鶏肉)や水、牛レバーの生食が原因で食中毒を起こします。

症状は下痢や腹痛、頭痛などです。ギランバレー症候群という多発性神経炎をおこすこともあります。

潜伏期間は2~7日と長いです。

予防には加熱調理が有効です。乾燥にも弱いため、トリの卵などは殻が乾燥しているので発症リスクは低いです。

 

低温でも増殖できるリステリアとエルシニア・エンテロコリチカ

リステリアとエルシニア・エンテロコリチカは低温(4℃以下)でも増殖できます。

リステリアは重症化することはまれですが、妊婦や高齢者では注意が必要です。

 

 

生体内毒素型

生体内毒素型は、細菌を食品と摂取して、増殖し、腸内で毒素を産生することで食中毒を起こします。

ちセーター

  • う:ウェルシュ菌
  • ち:腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌
  • せ:セレウス菌

腸管出血性大腸菌は下痢性大腸菌のところでまとめます。セレウス菌は毒素型の方にあります。

下痢性大腸菌はこちら↓

 

腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオは”エン”がポイントです。

  • 腸エン→塩(好塩菌)
  • 腸炎→熱(耐熱毒)

で関連付けましょう。

腸炎ビブリオは好塩菌で、海水の塩濃度(3.5%)で増殖します。水温が上昇すると急激に増殖するので夏場の海釣りは注意です。原因は海産魚介類からの1次汚染と海産物から汚染した調理器具を介した2次汚染があります。

腸炎ビブリオの毒素は耐熱性の溶血毒です。血液を含む寒天培地で腸炎ビブリオを培養すると、溶血現象を起こし集落の周りに溶血環を形成します。これを神奈川現象と言います。

予防には低温保存、真水洗浄、加熱処理が有効です。

 

ウェルシュ菌

細菌性 食中毒 ウェルシュ菌 生体内毒素型

ウェルシュ菌は、clostridium perfringens といいます。ウェルシュ菌は2つの感染経路があります。

1つ目が食品を摂取することによる感染です。

ウェルシュ菌はグラム陽性桿菌で嫌気性菌です。また芽胞を形成し耐熱のため学校給食のような大型鍋で作られるカレーやシチューなどが原因になります。(耐熱かつ、鍋底には酸素がないため)

そのため1件あたりの患者数が多いのも特徴です。腸管で増殖したウェルシュ菌はエンテロトキシンを産生し、下痢や腹痛などの症状が出ます。潜伏期間はだいたい10時間ほどです。

2つ目は創傷部からの感染です。ウェルシュ菌は海や土壌など自然界に幅広く存在する菌です。そのため創傷部に土中のウェルシュ菌が感染することがあります。感染するとα毒素を産生し皮下でガスを産生し筋肉を腐らせます(ガス壊疽)

覚え方のポイントはウェルシュー(←ここ)です。

  • チュー→シチューなどの学校給食を食べて腸内で毒素
  • シュー(ガスが抜けるような感じ)→ガス壊疽

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