勉強のポイント!
不整脈の分野って薬の名前は多いし、上室性・心室性とか聞く場所も覚えなきゃだし、頻脈性・徐脈性とかいろんな要素があってわけわからなくなる分野ですよね。
しかし、こと国家試験に関しては覚えることが多いだけで難しい問題は出ません。設問の選択肢を一つ挙げてみると「リドカインはNa⁺チャネルを遮断し心室性不整脈を抑制する。」って感じで出題されます。
なので、問題を解くためには
- その薬(リドカインとか)はⅠ~Ⅳ類の中のどこに入るのか
- Ⅰ~Ⅳ類は心臓の上側(上室) or 下側(心室)に効くのか
が必要です。
ずばり、ポイントは「上の2つがわかること」と「各薬の+αの知識(例えば、Ⅲ類だけどβ遮断作用もあるとか)」がわかることです。
不整脈は頻脈性と徐脈性がありますが、Ⅰ~Ⅳ類の薬は頻脈性の薬になります。徐脈性の薬は心臓を活性化させるβ刺激薬(イソプレナリン)とムスカリン受容体拮抗薬のアトロピンだけ覚えておけばOKです。
では大枠のⅠ~Ⅳ類についてみていきましょう。
クラス分類Ⅰ~Ⅳ
「なべくうか」で覚えましょう。Ⅰ類がNa⁺チャネル遮断薬、Ⅱ類がβ遮断、Ⅲ類がK⁺チャネル遮断、Ⅳ類がCa²⁺チャネル遮断の意味です。あとで出てきますが、Ⅰ類はさらにⅠ類a・Ⅰ類b、Ⅰ類cに分類分けされます。
そして、上室に効くのか、心室に効くのかという点に関してですが、結論は
- 上室性に効くのがⅣ類とジゴキシン
- 心室性に効くのがⅠ類b群
です。
覚え方はⅠ~Ⅳ類+ジゴキシンの次の真ん中に線を引っ張って↓
文字の下側が重たそうなのがbだけで、上側が重たそうなのってⅣとジゴキシンですよね!
(Ⅰa、ⅠC、Ⅱ、Ⅲは上下均等っぽく見えるので、上室、心室の両方に効きます)ちょっと無理矢理ですが、こんな感じで覚えてみてください。
さて、大枠がわかったところで各分類の薬についてやっていきましょう。ゴロで頑張って覚えてください!
クラスⅠ
Ⅰ類の中に更に3つ分類分けがあります。Ⅰa群,Ⅰb群,Ⅰc群です。膜電位のグラフの特徴がよく聞かれるので、心筋興奮の機序→a,b,cの膜電位のグラフの違い と 薬のゴロ暗記が勉強のポイントになります。
心筋興奮のイオンの動き
細胞は中と外に電位差(膜電位)を作っています。静止しているときは電気的にマイナスに、興奮するとプラスに帯電します。
- Naチャネルが開きNaが流入し電位が上がり興奮開始
- Caチャネルが開きCaが流入+Kが流出で電位が平衡に
- Caチャネルが閉じ流入が止まりKが流出し続ける
- 電位が下がり興奮が終わる
細胞外にはNaイオンが多く、中にはKイオンが多いと習ったと思いますがどっちが どっちか混同することが多い人は下のお話で覚えてみてください。
心筋の興奮についてはこちらにより詳しくまとめてます。
クラスⅠ薬 使用時の膜電位の動き
クラスⅠの薬はすべてNaチャネルを遮断するので立ち上がりが遅くなります。
- Ⅰaは、Naチャネル遮断とKチャネル遮断をするので、立ち上がりが遅くなりますが興奮終了も伸びるので、活動時間が長くなります。
- Ⅰbは、Kチャネルを開放するので唯一の興奮時間の短縮をします。
- ⅠcはNaチャネルのみを遮断します。なので立ち上がりが遅くなるだけです。
ゴロ暗記
Ⅰa
「家のプロは味を気にしーへん。泣く子も黙るシソの味」で覚えましょう!!
これらの薬がⅠaであることがわかることが最優先ですが、+αで突っ込まれるのは、
- シベンゾリン、ジソピラミドは低血糖の副作用が起きること
- さらにジソピラミドは抗コリン作用があるので緑内障禁忌です。
「シ」が付く薬は注意してください!
Kチャネル遮断の機序って、糖尿病薬のSU剤などの機序と同じですよね。だから低血糖が起きる事があると結びつけてみましょう。
Ⅰb
ゴロには入っていませんが、もちろんクラスⅠなのでNaチャネル遮断作用もありますよ!
Ⅰc
クラスⅡ
クラスⅡはβブロッカーです。心臓のβ受容体を遮断することで興奮を抑えます。
Naが入ってきてパッとすぐに反応しないようにします。そうすることで、本当のシグナルのときだけ興奮するよう篩分けできるようになります。
薬の名前は、βブロッカーなので「~ロール」が語尾に付きます。
クラスⅢ
クラスⅢはKチャネル遮断作用を持ちます。が、個性的な薬が多いので+αの作用もしっかり覚えましょう。
薬は3つだけです。
- ニフェカラント
- アミオダロン
クラスⅠ~Ⅳの全ての作用を持っています。他剤無効の時に使います。副作用は間質性肺炎を覚えておきましょう。
- ソタロール
~ロールとつくのでβ作用も持っています。
クラスⅣ
作用はCa遮断です。Caブロッカー(~ジピン)は高血圧でも出てきますよね。高血圧で出てきた薬は主に血管選択的に効く薬でした。頻脈性の不整脈で使ってしまうと心抑制作用が弱く血管弛緩作用が強いので、血圧低下に反応し頻脈が悪化してしまうので適していません。
- ベプリジル(血管選択性)
- ベラパミル(心選択性)
- ジルチアゼム(心選択性)
ベプリジルは血管選択性が強い薬ですが、クラスⅠ、Ⅲ、Ⅳの作用をもつため使われています。血管選択性か、心選択性のどちらかは上のゴロの書いてある位置(汁の上か下か)で思い出してみましょう。