虚血性心疾患:心筋梗塞、狭心症の違いはこれだけ

      2018/05/23

虚血性心疾患のマインドマップ

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勉強の進め方

虚血性心疾患って漢字は難しいですが、要は心臓が動くのに必要な酸素が足りない!ってことです。

そして、狭心症と心筋梗塞は両方とも心臓を動かす酸素が足りない状態です。

違いは心筋細胞が壊死したかどうかだけ。

狭心症はまだ壊死していません。

一方、心筋梗塞では心筋細胞が酸素不足で壊死してしまいます。細胞が壊死すると内容物が血中に放出され検査値に現れます。

いきなり病態のような話になってしまいましたが、それはこの分野は病態メインで勉強したほうが効率がいいからなんです!

薬理の勉強って、いくつかのタイプの作用機序を学んでから個々の薬を覚えるって流れですよね。

虚血性心疾患の場合、同じ狭心症の薬でもこっちの型の狭心症には使えるが、そっちには使えない!ということが起きてしまうんですね。疾患の原因がわかれば簡単に納得できるんですが。なので、この薬はこっちの型に使える/使えないを覚えるよりも

最初に病態を学んだ上でそれに対しての薬を当てはめていくほうが効率がいいです。

ということで病態をみてから、それに使う薬を扱っていきたいと思います。

まず冠血管の構造

心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割を担っていますが、冠血管はそのポンプにエネルギーを供給するパイプラインです。

冠(かんむり)と名がつくように心臓の外側に王冠のように取り巻いています。

また、冠血管にはβ₂受容体(Gs)がたくさんあるので、交感神経興奮で冠血管の平滑筋は緩んで冠血管は拡張し、心臓にたくさん酸素を供給できます。

狭心症

狭心症は冠血管が細くなり十分な血液(酸素)が心筋細胞に供給できず、心筋が酸欠を起こした状態です。胸痛自体は数分で終わります。(心筋梗塞では数時間)

発作時には硝酸薬を

発作時には冠血管を拡げる硝酸薬を投与します。剤形は速効性のある舌下錠や舌下スプレーが使われます。

薬品はニトログリセリン,硝酸イソソルビドとニコランジルを覚えてください。

作用機序は

硝酸薬から供給されたNOがグアニル酸シクラーゼを活性化し、GTPからのcGMP生成が増え、血管平滑筋が弛緩します。

その結果、

  • 後負荷(全身に送り出す力)↓→酸素消費↓
  • 末梢静脈が拡張→静脈還流量↓→前負荷↓→酸素消費↓
  • 太い冠血管を拡張→酸素供給量↑

これらの作用は3つの薬全てに当てはまります。

ニコランジルは上記の作用に追加で細い冠血管まで拡張します。

この作用は

ATP感受性K⁺チャネルを開口→K⁺流出→細胞興奮収まる(過分極)→冠血管拡張

の流れです。国試でもここまで聞かれるのでニコランジルの+αの作用も覚えておきましょう。

二種類の狭心症

冠血管の細くなり方が2種類あり、狭心症も二種類に分けられます。

  • 動脈硬化から生じる労作性狭心症(≒安定型狭心症)
  • 冠血管のれん縮から生じる安静型狭心症(不安定型狭心症)

労作性狭心症

この原因は血管の管にできたコレステロールの塊(アテローム)が冠血管を細くして心筋が酸欠になることです。

そのため運動(労作)するとたくさんの酸素が必要になり、結果的に酸素供給が間に合わなくなります。激しく運動をしなければ発作は起きないので安定型狭心症とも呼ばれると覚えておきましょう。

β遮断薬

酸素消費を少なくしてやればいいので、β遮断薬を使って心臓を抑えます。β₂受容体遮断→冠血管収縮も起きますが、それでも心臓を抑えたほうが効果が高いです。

「~ロール」が語尾に付く薬になります。(プロプラノロールやアテノロール、メトプロロール、ビソプロロールなどですが~ロールだけ覚えておけばいいです。)

β遮断薬は次の安静型狭心症には使えません。理由を見ていきましょう。↓

安静型狭心症

Caブロッカーを使います。

労作性は動いた時に発作が起きやすいですが、安静型は安静時に起きやすいです。普段はなんともないのに突如なるので不安定型狭心症とも呼ばれます。

原因は冠血管のれん縮です。れん縮とは痙攣性の収縮のことです。れん縮により冠血管の平滑筋が痙攣し急に狭くなり発作が起きます。夜間に寝ている時に起きやすいのですが、夜は副交感神経が優位です。そのため冠血管のβ₂受容体が刺激されず、冠血管が収縮しやすくなります。

ここまで聞くとβ遮断薬が安静型狭心症には適さないことがわかりますね。β遮断薬を使ってしまうと冠血管がさらに細くなってしまうからです。

なのでCaブロッカーを使いβます。

病態の分野でたまに聞かれるのですが、異型狭心症というものがあります。これは安静型狭心症の一種で、発作時に心電図のST部分が上昇する狭心症です。

心筋梗塞

心筋梗塞の勉強のポイントは

発症の流れ、急性期の症状、慢性期の治療、検査法です。

発症の流れ

「冠血管の動脈硬化」+「血栓」 で、冠血管が詰まって発症します。

急性期の症状

発症すると激しい胸痛が起こり、心筋が壊死し、心筋の内容物が流出します。それがAST、LDH、CK、トロポニンTです。

  • 胸痛が起きるために鎮痛薬のモルヒネを。
  • 血栓を溶かすために血栓溶解薬のアルテプラーゼを。
  • 続発する不整脈のために、心室性の頻脈にはリドカイン徐脈にはアトロピンを使います。

 

慢性期(再発予防)

基本治療

動脈硬化と血栓が問題なので、慢性期(再発予防)では生活習慣の改善血栓の予防(抗血小板薬)を使って治療します。

PCI(冠血管にステントを入れ拡げる手術)を行った患者はステント部分に血栓ができやすいため「アスピリン+クロピドグレル」のように抗血小板薬を二剤併用で使います。

血液サラサラ系の薬には抗血小板薬と抗凝固薬があります。今回メインで使うのは抗血小板薬です。血液系でやりますが、血栓のでき始めを叩きたいので一次血栓を止める抗血小板薬を使っています。

脂質異常症合併時

虚血性心疾患の既往歴のある人のコレステロールの目標値はかなり厳しくなっています。

脂質異常症の診断基準はLDLコレステロールで140~ですが、虚血性心疾患の既往歴のある患者の目標値は100以下です。

検査

検査には血液検査心電図の変化心エコー検査があります。

血液検査

心筋梗塞は狭心症と違い、一部の心筋細胞が壊死してしまっています。そのため、血液検査では心筋細胞の内容物が確認されます。AST、LDH、CK、トロポニンTを覚えてください。

心電図の変化

心筋梗塞を起こすと時間でグラフが変化していきます。発症からの時間と心電図の特徴をマッチさせて覚えましょう。

T波が高くなる→ST上昇→異常なQ波→冠状T波

 - 循環器系, 薬理

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