呼吸器系疾患

気管支喘息は病態から!分かりやすく解説【薬剤師国家試験】

 

気管支喘息pdf

病態の本で勉強しましょう

青本などの参考書は薬理と病態で本が分かれいてますが、薬理の本に書いてあることを病態の本の薬の欄に付け足しただけです。
病態がわからないまま薬理をやっていても、理解も深まりません。病態でも同じことをやるので薬理からやるのは時間がもったいないです。

ということで、薬理の本は閉じて、病態の本を開きましょう。

気管支喘息とは

一言で言うと、「気道の平滑筋が狭くなって息が吸いづらい状態」です。

悪化の流れ

気管支喘息は、慢性炎症から始まり、腫れて治ってを繰り返します。その可逆的な状態から、気道リモデリングという不可逆的な状態に移行してしまいます。気道リモデリングになると気道壁が肥厚し、常に気道が狭い状態になってしまいます。不可逆的にならないように日頃の治療が重要です。

慢性炎症⇔気道狭窄→リモデリング気管支喘息 リモデリング 機序 

分類

誘引での分類

気管支喘息のアレルゲンが明らかなものが外因型、アレルゲンが不明なものが内因型です。

外因型

アトピー型とも言います。「アト≒外」で形が似ているのでそこに引っ掛けて覚えましょう。

ハウスダストやダニが原因になることが多いです。'(花粉はアレルゲンにはならないのでご注意ください。)

これらのアレルゲンがⅠ型アレルギーを引き起こし喘息発作を起こすことが多いです。小児喘息は外因型がほとんどです。

内因型

成人の喘息に多く、アレルゲンが不明なものが多いです。

時間での分類

アレルゲンを吸ってからの時間で、即時型と遅発型で分けられます。

即時型喘息はアレルゲンを吸ってから10分くらいで喘息が引き起こされます。
遅発型では好酸球が関与しています。アレルゲンを吸ってから3時間~数日以内に喘息が引き起こされます。

Ⅰ型アレルギーが全ての喘息に関与しているわけではありませんが、
Ⅰ型アレルギーの場合、好塩基球・好酸球がヒスタミンやロイコトリエンなどケミカルメディエーターを放出し即時反応を起こします。ロイコトリエンは好酸球を呼び寄せて遅発型反応を起こします。気管支喘息の即時型、遅発型もすべての原因がⅠ型アレルギーなわけではありませんが、Ⅰ型の機序と紐付けて覚えておくとといいでしょう。

検査

主要な検査が4つあります。ここでも、なぜその検査をやるのか病態と絡めていきましょう。

  1. 血液検査
    Ⅰ型アレルギーの好酸球・IgE抗体の有無をみています。
  2. 喀痰検査
    喀痰中の好酸球が喘息では上がります。
  3. 動脈血ガス検査
    呼吸困難による血液中のCO₂分圧(PaCO₂)をみます。
    呼吸困難で分圧は上昇します。
  4. 呼吸機能検査
    一秒率、一秒量、ピークフローを測定します。言葉の説明は以下で。

呼吸機能検査

まず、肺活量は力を込めて「は~~っ」と息を吐き出したときの空気の量です。

そして、1秒量は肺活量測定のときのはじめの1秒で吐いた空気の量。

1秒率は、1秒量/肺活量 で、はじめの1秒に全体(肺活量)の何割吐き出せたかを測っています。

喘息発作で1秒率、1秒量は低下します。

喘息では、気管支が炎症し狭くなっているので「吸えるけど吐けない」状態が起こります。
ここがどっちかわからなくなる人は、ご自分の首を手で締めてみると実感できると思います。吸えるけど吐きにくくなります。そして吐く時にヒューという音がします。これが喘息でおきる「ぜい鳴」です。
試験中にわからなくなってもこの方法で試してみてください(笑)

また、肺胞も広がりにくくなっているので、肺活量も1秒量も減り、息も吸いにくくなります。

ピークフロー(PEF)というのは家で検査ができる簡易版の1秒率のことです。発作時はピークフローも低下します。

 

喘息の薬は、原則として発作時に使う薬と長期管理で使う薬が違います。
発作時にはすぐに効く薬を、長期管理では炎症を抑え、長く効く薬を用います。

薬の作用の全体像です↓

気管支喘息 リモデリング 薬 作用機序

発作時

短時間作用型β₂刺激薬(吸入)

サルブタモール、プロカテロールを覚えておきましょう。発作時にすぐ効かせるため短時間型を使います。

β₂受容体選択的ではありますが、β₁にも作用します。その点を踏まえて副作用をみてみましょう。

  • 頻脈性不整脈
    心臓のβ₁受容体に作用。
  • 低K血症
    腎臓のβ受容体に作用しレニン-アンギオテンシ系が活性化→尿細管でK排泄↑
  • 振戦
    骨格筋のβ₂受容体に作用し収縮

長期管理

長期管理でのメインターゲットは諸悪の根源ある気管支の炎症です。炎症を止めるなら…ステロイドですね。
なので一番はじめに吸入ステロイドが使われます。

それに、気管支を広げる薬が追加されていきます。テオフィリンやロイコトリエン受容体遮断薬、長時間作用型のβ₂刺激薬、長時間作用型の抗コリンです。

ステロイド

吸入ステロイドとだけ覚えておいて個別の薬の名前は覚えなくていいです。ブデソニド、フルチカゾン、ベクロメタゾンなどありますがそれがステロイドだと分かるだけでOKです。

超頻出が吸入ステロイドの副作用とその予防法です。

  • 嗄声(させい)
    口から吸うので喉にステロイドが張り付きしわがれ声になっていまします。
  • 口腔カンジダ症
    ステロイドの免疫抑制作用で口腔カンジダ症が起こります。

予防法は、ステロイドを吸ったらうがいを必ずするように服薬指導をします。

テオフィリン

テオフィリンの作用機序は、PDE阻害です。cAMPの分解をするPDEを阻害して気管支平滑筋を弛緩→拡張します。

その他、テオフィリンで聞かれることは、相互作用と血中濃度です。いろんな分野に絡めやすいので頻出です。
代謝は主にCYP1A2で、一部はキサンチンオキシダーゼで代謝されます。

血中濃度は5~2Oμg/mlが目標です。かなり少量なので「ちょっと変わっただけで何倍にもなってしまった!」ということがあり得る薬です。(この[5~20μg/ml]が聞かれるんです。覚え方は、テオフィリンなので、「手は5本→両手両足で20本」とおぼえてみしょう。)

量が微量なので

相互作用も慎重に考える必要があります。

CYP1A2はタバコで誘導され多くなります。なので喫煙者にはテオフィリンを多めに投与します。また、テオフィリンは一部キサンチンオキシダーゼで代謝されます。その阻害薬のアロプリノールと併用すると血中濃度が上がってしまうので注意が必要です。

長時間作用型β₂刺激薬

サルメテロール、サルブタモール、ツロブテロールを覚えてください。

副作用は短時間作用型β₂刺激薬と同じです。

抗コリン薬

抗コリン薬はM受容体を遮断して平滑筋を緩めます。長時間作用型の抗コリン薬がチオトロピウムです。

その他の薬

  • 抗アレルギー薬
    ロイコトリエンなどの分泌を抑えます。アレルギーの範囲で詳しく扱います。
  • 抗IgE抗体:オマリズマブ
    IgEを抗体を抑えることで、アレルギー反応を初期で止められます。

 

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