急性膵炎、慢性膵炎、膵臓ガンを扱います。
国試には、あんまり出ないんでキーワードを抑えていきましょう。
急性膵炎
機序
膵臓は消化酵素やインスリンなどのホルモンを分泌します。消化酵素の代表例はトリプシンです。かなり強力で肉の塊も溶かすほどです。
通常、消化酵素は不活性な状態(トリプシノーゲン)で分泌され、十二指腸で活性化され(トリプシン)、効力を発揮します。
しかし、膵臓が傷ついて膵液が漏れ出し活性化してしまうと、自分の体を肉塊と同じように溶かしてしまいます。
これが急性膵炎の発症機序です。
治療薬
鎮痛薬
膵炎は相当痛いらしいのでペンタゾシン、モルヒネで痛みを取ります。しかし、モルヒネにはOddi括約筋を締める作用があるため、抗コリン薬のアトロピンを併用します。
(胆嚢炎はモルヒネを使うほどではないので、Oddi括約筋収縮作用のないペンタゾシンを用います。Oddi括約筋は迷走神経支配なので副交感神経系です。)
タンパク質分解酵素阻害薬
タンパク質分解酵素をどうにかしないといけないので、タンパク質分解酵素阻害薬のガベキサート、ナファモスタットを使います。
胃酸分泌抑制薬
十二指腸に胃酸が流れ込んでくるとセクレチン、コレシストキニンが分泌され、膵液出すように指令が出るため、胃酸分泌抑制薬も使います。
多量の電解質輸液
炎症で血管透過性が上がり、血管中の水分がなくなり血液が足りなくなるので輸液で補います。
慢性膵炎
アルコールの飲み過ぎや急性膵炎により膵臓が炎症を起こして治ってを繰り返した結果、膵臓が線維化します。
膵臓はインスリンを分泌するので、膵臓が破壊されると糖尿病を合併することが多いです。
食事療法
アルコールが原因なら、禁酒させます。脂肪食も控えるのがいいです。
薬物治療
タンパク酵素阻害薬のカモスタットで膵臓の破壊を抑えます。
胃酸分泌抑制薬のファモチジンやオメプラゾールで消化器系ホルモンのセクレチン、コレシストキニンの分泌を抑え、膵液の分泌を抑えます。
膵がん
膵がんはかなり予後の悪いがんです。5年生存率は2%しかありません。
部位は膵頭部に発症しやすです。
症状
- インスリンが分泌されにくくなるので糖尿病を発症することが多いです。
- 胆管が主要に圧迫されるのでビリルビンが排出されず黄疸が出ます。