感染症

抗菌薬>タンパク合成阻害系を分かりやすく解説【薬剤師国家試験】

 

抗菌薬 タンパク合成阻害pdf

タンパク合成阻害薬 抗菌薬 作用機序 阻害場所

タンパク合成をする細胞小器官はリボソームですが、細菌と真核生物ではリボソームは異なっています。細菌の場合はリボソームのサイズが30sと50sです。そこを狙って細菌をやっつけます。
どの系統の薬が30sと50sのどちらを阻害するのかが国試では聞かれます。次の「アクマデ君」のゴロを使って覚えましょう。

マクロライド系

大きな(マクロな)環を持っていることからマクロライド系と名付けられました。アクマデ君の「マ」なのでリボソームの50sを阻害します。

薬は、~スロマイシンがつきます。~マイシンだけだとアミノグリコシド系とごっちゃになるので「スロ」がつくのがポイントです。

  • エリスロマイシン
  • クラリスロマイシン
  • アジスロマイシン

の3つのを覚えましょう。
各薬の特徴は、

  • エリスロマイシンはCYP3A4の阻害作用があり、相互作用が多い薬です。
  • クラリスロマイシンもCYP3A4阻害作用があります。尿中排泄されるので尿路感染症によく使われます。
  • アジスロマイシンは特徴的な薬です。錠剤は3日間飲めば1週間効果が続きます。ドライシロップの剤形もあり、こちらは1回飲むだけで1週間効果が持続します。エリスロマイシンやクラリスロマイシンよりもCYP3A4阻害作用が少なく使いやすい薬です。

アミノグリコシド系

アミノグリコシド系の薬はたくさんありますが、全部を覚えようとしないでください。適応疾患(結核とか緑膿菌とか)に対してなんの薬を使うかで覚えたほうが効率がいいです。

  • 結核に使うのはストレプトマイシンカナマイシン
    この2つは吸収が悪いので点滴静注で投与します。カナマイシンを経口で使ってたら、腸に局所で使う感染性腸炎です。
  • 緑膿菌に使うのはゲンタマイシン
    ゲンかつぎで起が良い
  • MRSAにはアルベカシン

国試によく出てくるのもこの4種類くらいです。あとは、聞いたことない薬で~マイシンってついてたらアミノグリコシド系だと分かればOKです。

作用機序

アミノグリコシド系の作用機序は、「アクマデ君」のアなので、リボソーム30sを阻害してタンパク合成阻害をします。

副作用

副作用は腎障害、第八脳神経障害です。この副作用、バンコマイシンとかのグリコペプチド系に似てますよね。違いはレッドネック症候群の有無です。アミノグリコシド系はレッドネック症候群はありません。引掛けで出てくるので注意しましょう。

クロラムフェニコール

アクマデ君のクです。リボソーム50sを阻害します。50sで行われるt-RNAからペプチドをつなげていく過程(ペプチド転移反応)を阻害します。

薬剤の分野では、グルクロン酸抱合から排泄されて腸肝循環しやすい薬としても出てきます。

副作用に再生不良性貧血とグレイ症候群があります。
グレイ症候群は赤ちゃんにクロラムフェニコールを投与すると起こることがあり、その名の通り皮膚が灰色(グレイ)になります。グルクロン酸抱合で排泄されるので、グルクロン酸抱合能が低い赤ちゃんに投与すると血中濃度が高くなりやすいのです。

テトラサイクリン系

テトラサイクリン系はテトラ=4、サイクリン=環 の意味なので4つの環を持っています。

薬の名前には~サイクリンがつきます。テトラサイクリンやミノサイクリングなどです。
薬剤の相互作用の分野でよく聞かれることですが、★金属イオンとキレートを形成して吸収されにくくなります。
第一選択薬になる適応は、マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアです。補足ですが、マイコプラズマのマイコはマイクロが語源で細胞壁も持っておらずとても小さい細菌です。細胞壁がないため細胞壁合成阻害の薬は効果ありません。そのため、タンパク合成阻害のテトラサイクリン系が使われます。

副作用

副作用で有名なものが骨や歯への着色と発育障害があります。そのため乳幼児や妊婦には使えません。これはテトラサイクリン系がカルシウムイオンとキレートしやすい性質があるためです。結びつけて覚えましょう。また、菌交代が起こることがあります。菌交代とは腸の常在菌が抗菌薬にやられて、抗菌薬が効きにくい菌に乗っ取られる状態です。
耐性を持つこともあります。これはRプラスミドで他の菌から薬など異物を排出する機構の遺伝子を受け取って起こります。

 

リンコマイシン系

リンコマイシン、グリンダマイシンを覚えておきましょう。「アクマデ君」の鼻の部分なので50sに効きます。
副作用として偽膜性大腸炎があります。偽膜性大腸炎は、抗菌薬により腸内細菌が殺され、黄色っぽい炎症を引き起こす膜状の物質が大腸を覆います。これは、リンコマイシン系が嫌気性菌によく効くため、空気の殆ど無い腸内で生息する腸内細菌に効果てきめんに効いてしまうからです。

その他:ムピロシン、リネゾリド

ムピロシンもリネゾリドもMRSAに効く希少な薬です。この2つの薬のキーワードはMRSAで、それさえ知っていれば得点できる問題がほとんどです。

参考にMRSAに効く薬のゴロがあるので紹介しておきます。

MRSA 薬 ゴロ バンコマイシン

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