この記事では各受容体を分類しながら、作用と覚え方をセットで解説します。
この受容体の働きを理解すれば確実に薬理で得点UPできますよ!
なぜなら薬理では受容体自体の動きや、各論の薬と絡めて薬理作用が問われるからです。
本記事の内容
- イオンチャネル内蔵型
- チロシンキナーゼ関連
- Gタンパク質共役型
細胞内受容体と細胞膜受容体
受容体のある場所は、細胞の中では細胞質と核内、細胞膜にあります。
細胞内の受容体は、何受容体が細胞質なのか、核内なのかがわかればokです。
- 細胞質受容体:活性型ビタミンD₃受容体、ステロイドホルモン受容体
- 核内受容体:テストステロン受容体、甲状腺ホルモン受容体、レチノイン酸受容体
細胞膜受容体がここでのメインパートになります。
細胞膜受容体
細胞膜受容体は構造により3つに分類できます。
- イオンチャネル内蔵型
- チロシンキナーゼ関連型
- Gタンパク共役型
の3つです。
1.イオンチャネル内蔵型
4~5回膜貫通型のチャネルです。
受容体にイオンチャネルが内蔵されており、受容体が刺激されることでイオンチャネルが作動します。
イオンチャネルの種類と受容体の種類の組み合わせを覚えましょう。
Naチャネル
なっちゃん脱いでにこにこ、瞳にNO涙
- なっちゃん:Naチャネル
- 脱いで:脱分極
- ニコニコ:ニコチン受容体(NN、NM)
- 瞳:HT-3受容体
- NO涙:non-NMDA型受容体(←NMDA型でないグルタミン酸受容体)
KチャネルはNaチャネルとほぼ一緒でニコチン受容体がないと覚えれば大丈夫です。
Clチャネル
過労で苦労、頑張っても苦しい
- 過労:過分極
- 苦労:Clチャネル
- 頑張って:GABAA受容体
- 苦しい:グリシン受容体
Caチャネル
母ちゃんの涙
- 母ちゃん:Caチャネル
- 涙:NMDA型受容体
2.チロシンキナーゼ関連型受容体
チロシンキナーゼ関連型受容体は膜1回貫通型受容体です。
- EGFR,
- 〜チニブの受容体
- インスリン受容体
があります。
インスリン受容体
インスリン受容体は構造も含めて聞かれること事があるので、簡単に流れを抑えましょう。
インスリン受容体はα、βユニットが2個ずつくっついた4量体です。
インスリンがα鎖にくっつく
ベータ鎖のチロシンキナーゼが活性化
作用発現に関わるタンパク質がリン酸化される
GLUT4が移動
グルコース輸送担体(GLUT4)が細胞質内から細胞膜に移動
グルコースの細胞内取り込み
という流れで細胞内にグルコースを取り込みます。
Gタンパク共役型
Gタンパク共役型にはGsとGi, Gqの3種類があります。
ここでのポイントは、
ポイント
- どの受容体がどのGタンパクと共役しているか
- Gタンパクが刺激されてからの2通りの機序
この2つです。
GsとGiは真逆なので機序は片方覚えればOKです。
Gqは機序が違うので別個に覚えましょう。
Gs
Gsの共役系はゴロで覚えましょう。
ベタベタじいさん、エッチにあいつのええケツぐるぐるぶつける
- べたべた:β1~β3
- じい:D1
- エッチに:H2
- あいつの:PGI2
- ええけつ:A2
- ぐるぐる:グルカゴン受容体
- ぶつける:V2
機序は
共役系受容体の刺激
アデニル酸シクラーゼの活性化
Gsタンパクを介して、アデニル酸シクラーゼ(AC)の活性化がおこる
細胞内のcyclic AMPが増加
プロテインキナーゼA(PKA)の活性化
プロテインキナーゼA(PKA)の活性化によりβ1→心機能亢進、β2→気管支平滑筋が緩む
Gi
まだまだがんばんべ
- ま:M2
- :α2
- だ:D2
- がんばんべ:GABAB
作用機序はGsの逆とおぼえましょう。
アデニル酸シクラーゼ(AC)が抑制されて、cAMPが減少します。
Gq
あいまいみーはい!あたいたくちゃん
- あい:α1
- まい:M1
- みー:M3
- はい:H1
- あたい:AT1
- たくちゃん:TXA2
共役系受容体の刺激
ホスホリパーゼCの活性化
Gqタンパクを介して、ホスホリパーゼC(PLC)が活性化
PIP₂が分解
IP3 (イノシトール1,4,5-三リン酸)濃度上昇で小胞体からCa²⁺が遊離される
DG(ジアシルグリセロール)濃度上昇でプロテインキナーゼC(PKC)活性化作用発現
α1→末梢血管収縮、M1→胃酸分泌亢進、M3→膀胱平滑筋収縮
過活動膀胱で使われる薬は抗コリン薬のM3受容体遮断薬が多いですよ!
まとめ
ポイント
- Gsタンパク質とイオンチャネルの受容体はゴロで効率的に覚える
- インスリン受容体は構造もセットで覚える
- GsはcAMPが増加でGiは減少、Gqはプロテインキナーゼ活性化する