そんな人向けの記事です。
この分野は自律神経系(交感神経、副交感神経)の作用がわかっていれば楽勝です。
なんの受容体がどこに付いているかを図で理解するだけです。
例えば、「平滑筋に付いているβ受容体を刺激すると弛緩するから過活動膀胱の治療に使う」といった感じで治療薬と疾患が結び付けられます。
自律神経系の作用がよくわからない人は、次のページを参考にしてみてください。
(↑Gタンパク共役型は動画の20分~23分の部分です)
この記事で書かれている内容をさっくり動画でも説明しています。↓
ではさっそく膀胱の構造と受容体をみてみましょう
膀胱の構造と受容体
覚えるのはこの3つだけです。
- 膀胱は平滑筋。受容体はM₃,β₂,β₃受容体。
- 外尿道括約筋は骨格筋。β₂受容体がある。
- 男性の場合:前立腺が尿道を囲むように存在しており、α₁受容体が収縮拡張を支配。
イメージとしては、
交感神経は戦う時に活発になるので、その時におしっこ行きたくなっちゃったら困りますよね。
なので、交感神経刺激で膀胱は緩みます。
逆に副交感神経優位となる夜間や休んでいるときは、膀胱が収縮、外尿道括約筋が緩んでおもらしをしてしまいます。
ここまで覚えれば、治療薬として何が使えるかがわかっていきます。
治療薬
過活動膀胱は膀胱が収縮して過度に尿を押し出してしまう疾患です。
頻尿、遺尿症(おもらし)、夜尿症、腹圧性尿失禁が該当します。
排尿障害は膀胱がきちんと収縮してくれなかったり、前立腺肥大で尿道が押しつぶされて尿が出にくくなっている状態です。
膀胱部分
膀胱は平滑筋なのでM₃受容体(Gq)を刺激すると収縮、β受容体(Gs)を刺激すると拡張します。
なので過活動膀胱には
- M受容体の遮断薬
プロピベリン、オキシブチニン - β受容体の刺激薬
β₂:クレンブテロール
β₃:ミラベグロン、ビベグロン(2018年にでた新しい薬です)
(ミラベグロンはミ=3、べ=βで覚えましょう)
を用います。
もう一つ、膀胱平滑筋を直接弛緩させるフラボキサートがあります。
排尿障害には
- M受容体の刺激薬
コリン作動:ベタネコール
ChE阻害:ネオスチグミン
を使います。(β受容体の遮断薬は使われていません。)
前立腺部分
α₁受容体は膀胱と尿道の境と前立腺に付いています。
交感神経が刺激されると前立腺を締めて尿が出にくくなります。
また、前立腺自体が男性ホルモンによって加齢とともに肥大していきます。
前立腺肥大症の詳しい病態はこちらにまとめてあるので確認してください。
治療薬
排尿障害の治療薬として前立腺肥大症に使われます。
α₁受容体遮断薬
全身のα₁受容体に効く非選択的な薬と尿道選択的な薬があります
非選択的なものには
- テラゾシン、プラゾシン、ウラピジル
(ゴロ:寺の裏でプラトニック・ラブ)
尿道選択的なものには
- タムスロシン、シロドシン、ナフトピジル
(ゴロ:たむろしてるシロートなぶる)
↑尿道にたむろしている尿を追い出す感じですかね
があります。
男性ホルモン抑制薬
この分類には、Ⅰ:アンドロゲン受容体を塞ぐ薬と Ⅱ:アンドロゲンの生成を抑える薬があります。
- 抗アンドロゲン薬
クロルマジノン、アリルエストラジオール - 5α還元酵素阻害薬
デュタステリド
(アンドロゲンの生成酵素を阻害します。ハゲ薬としても使われています。)
PDEⅤ阻害薬
勃起不全治療薬などでも使われているタダラフィルが、2014年に前立腺肥大の排尿障害への適応が追加になっているので合わせて覚えましょう。
外尿道括約筋部分
外尿道括約筋は骨格筋なので、もらすのを我慢する時に自分の意志で力を入れられる筋肉です。
β₂受容体(Gs)が骨格筋に付いているので刺激で締められます。β₂受容体刺激なので先程出てきたクレンブテロールを用います。
まとめ
ポイント
- 自律神経系を抑えるのがファーストステップ
- 頻尿と排尿障害は受容体の位置をおさえる
- 前立腺肥大症は病態とセットで抑える
存在する受容体を覚えてしまえば、作用がわかります。
国家試験の間違い選択肢で「ベタネコールは過活動膀胱に用いる」と出てきても、
ベタネコール=コリン作動薬→M₃受容体(Gq)刺激→膀胱平滑筋収縮
だからこの選択肢は間違い!と考えられるようになります。
過活動膀胱、排尿障害の機序が理解できたら、自分で図が書けるか白紙の紙に書き出してみましょう。
書けるまで一旦やったら、後でその紙を見て復習してみましょう。