こんな疑問にお答えします。
急性腎不全のキーワードは3型アレルギーです。
これさえ理解すればメカニズムは簡単ですよ!!
本記事の内容
- 急性糸球体腎炎のメカニズム
- 急性糸球体腎炎の原因
- 検査項目
- 治療
- まとめ
急性糸球体腎炎≒溶連菌感染後急性糸球体腎炎
急性糸球体腎炎は細菌、ウイルス、寄生虫など様々な原因があります。
原因の80~90%がA群β溶血性レンサ球菌が原因です。
溶連菌感染後急性糸球体腎炎といいます。
糸球体腎炎の代表的疾患のため溶連菌感染後急性糸球体腎炎=糸球体腎炎と扱われることがあります。
国家試験でも同じです。
急性糸球体腎炎の作用機序
原因
スタートはA群β溶血性連鎖球菌による上気道感染です。
小児に好発します。
扁桃腺炎などの先行感染があった後に症状が出ます。
メカニズムのポイントは3型アレルギー
糸球体腎炎の発生機序は3型アレルギー反応です。
まず腎臓は正常な場合、タンパク質や赤血球をサイズと荷電(チャージ)により濾過しないようになっています。
以下のメカニズムで糸球体腎炎でよく見られる血尿、尿タンパク、浮腫、高血圧が生じます。
上気道感染
A群β溶血性連鎖球菌による、咽頭炎、扁桃炎
3型アレルギー
免疫複合体を形成。糸球体基底膜に沈着。
補体の活性化
活性化した補体により糸球基底膜が損傷(基底膜の網目構造が破壊)
血尿、尿タンパク、浮腫、高血圧
糸球体濾過(GFR)低下→高血圧、浮腫
基底膜損傷でタンパク質や赤血球が透過できる→血尿、尿タンパク
「3型アレルギーの疾患他にあったっけ??」という方はSLEも確認しましょう!!
代表的な3型アレルギー疾患です。
症状
糸球体腎炎の3大主徴は
- 血尿
- 浮腫
- 高血圧
必ずおさえましょう!!
尿タンパクも見られるため、ネフローゼ症候群を起こすこともあります。
頻度としては10%以下です。
ネフローゼ症候群についてわからない方は確認してください!
扁桃腺炎などの先行感染があった後に症状が出ます。
検査値は??
急性糸球体腎炎になると
- ASO(抗ストレプトリジンO抗体)
- ASK(抗ストレプトキナーゼ抗体)
2つの抗体値が上昇します。
ASOは溶連菌が産生する毒素に対する抗体。
ASKは溶連菌がもつ酵素、ストレプトキナーゼに対する抗体です。
この2つの指標は溶連菌感染の診断の参考になる指標です。
血清補体価は低下します。
基底膜を障害するのに、補体が消費されるからです。
糸球体腎炎の治療
食事
治療の基本は食事からです。
- 低たんぱく
- 低塩食
- 高カロリー食
が基本です。
タンパクが多いと分解されたときに尿素がたくさんできます。
尿素を排出するのは腎臓なので負担が大きくなります。
また尿素が多いと検査値のBUNも上昇します。
腎臓の負担軽減とBUNの減少目的で低たんぱく食にします。
低塩食は、浮腫、高血圧の抑制です。
高カロリー食にするのは、エネルギー不足になると体の筋肉などの組織を分解してエネルギーを作り出そうとするからです。
薬物治療
溶連菌の除去
溶連菌に対しては、
- ペニシリン系(アモキシシリン)
- セフェム系
- ニューキノロン系
を使用します。
特にアモキシシリンは溶連菌によく使われます。子供は溶連菌が原因でよく風邪を引きますが、たいていアモキシシリンが処方されます。
またニューキノロン系も使用されます。
「障害は糸球体で起きているんだ!!」
ということで腎に移行する必要があります。
ニューキノロン系は腎排泄型の薬剤なので移行性が良いです。
私は以前、膀胱炎になったことがあったのですがその時はやはりレボフロキサシンでした。
尿路系の感染にはニューキノロン系は頼りになります。
浮腫
腎臓関連における浮腫に対してはループ系利尿薬の
- フロセミド
- トラセミド
がよく使われます。
腎機能が低下するとカリウムの排泄がしづらくなります。
ここにカリウム保持性の利尿薬を使用すると高K血症のリスクが高くなります。
そのためループ系利尿薬を使用します。
各利尿薬の特徴はを確認しましょう!!
高血圧
高血圧にはCaブロッカーのアムロジピンやACE/ARBが使用されます。
特にACE/ARBは腎保護作用があります。
糸球体の出口の血管に輸出細動脈というものがあります。
これを拡張することで糸球体の内圧を下げます。これにより蛋白尿を抑制することができます。
腎保護作用をもつACE/ARBですが、ACEは腎排泄型なので腎機能が低下したときには投与量に注意が必要です。
まとめ
ポイント
- 原因菌はA群β溶血性連鎖球菌
- 糸球体腎炎は3型アレルギーで起こる
- 3大主徴は血尿、浮腫、高血圧
糸球体腎炎はキーワードが多いので国家試験でも頻出です。
流れがわかってしまえば得点源になりますよ!!