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高血圧治療薬の勉強の手順
血圧に関係する臓器、受容体はたくさんあって何がどうなっているのか混乱してしまいます。
まずは交感神経系から流れを追っていくと、おおざっぱに全体像がみえてきますのでおすすめです。その後に、レニン・アンジオテンシン系とCaブロッカーを勉強すると全体を把握しながら勉強できると思います。
まずは交感神経系!
交感神経終末からノルアドレナリン(NAd)が放出されます。それが、血管のα₁受容体、心臓と腎臓のβ受容体を刺激します。
- α₁受容体は血管平滑筋収縮→血圧↑
- 心臓β受容体は心拍出量↑→血圧↑
- 腎臓β受容体はレニン放出→レニン-アンギオテンシン系を介して血圧↑
図中のα2受容体(Gi共役)は本当は中枢にあります。(ごちゃごちゃするので同じ場所に書いてしまっていますが。)
中枢で交感神経を抑制し血圧↓に働きます。
交感神経系の降圧薬
末梢系のα₁とβ受容体は遮断すれば血圧を下げることができます。
α₁受容体遮断薬
α1受容体遮断薬は、語尾に「~ゾシン」が付きます。ブナゾシン、テラゾシン、ドキサゾシンなど
ウラピジルは~ゾシンが付いていない例外です。
β受容体遮断薬
β受容体遮断薬は、少しめんどくさいです。というのは、3パターンの場合分けが必要だからです。
- β受容体非選択的(β1,2,3全てに効く)か
- β1受容体選択的なのか
- α1とβ受容体に効くのか
自律神経系のページでまとめてあるので参考にしてください。
α₂受容体刺激薬
α₂受容体は中枢系(延髄の血管運動中枢)にあります。α₂はGi共役型なので刺激することで交感神経系を抑制します。
薬はクロニジン、メチルドパを覚えてください。
レニン・アンジオテンシン系
交感神経系の「腎臓のβ受容体→レニン→血圧↑」の流れがありましたが、レニンが作用するのがレニン・アンジオテンシン系という昇圧系になります。
ここではアンギオテンシノーゲンから体液貯留までの流れと、ACE阻害薬の副作用の空咳が重要ポイントになってきます。
まずは流れを見てみましょう。
生命維持のため身体の血流、血圧を保つことはかなり重要です。そのため、体液を排出する腎臓がセンサーになり血流量を監視し、腎の血流量が減ると増やす向きに動きます。その時に使うのが昇圧系のレニン-アンギオテンシン系です。
この系を動かすにはアンギオテンシンⅡという物質が必要なのですが、それを作るためにはレニンとACEという酵素が必要になります。腎は血流量の減少を察知してレニンを放出しレニン・アンジオテンシン系を活発化させます。
アンギオテンシンⅡが作られ、AT1受容体が刺激されると2つの作用を起こします。一つ目は血管収縮作用で血圧を上げます。二つ目は副腎皮質に作用しアルドステロンを放出させます。アルドステロンは、腎の尿細管に水分を再吸収し尿量を減らし体液量を増やします。そうすることで血圧が上昇します。
流れがわかったところで治療薬を見てみましょう。
レニン・アンジオテンシン系の薬
流れを見ると止めるべきところがわかってきます。まず、アンギオテンシンⅡを作らせないようにACEを阻害するのがACE阻害薬(~プリル)とレニン直接阻害薬のアリスキレンです。そして、できてしまったアンギオテンシンⅡをAT1受容体に結合できないように遮断するAT1阻害薬(~サルタン)があります。
歴史的にはACE阻害薬が先に作られました。しかし、副作用として空咳が出てしまったのです。
以前から「炎症に関与するブラジキニンという生体内物質が空咳を起こし、それを分解するのがキニナーゼⅡだ」ということは知られていました。あとでわかったことですが、このACEという酵素はキニナーゼⅡだったのです。そこで製薬会社はACEよりも先のAT1受容体阻害薬(ARB)を開発しました。
利尿薬
レニン・アンジオテンシン系で増えてしまった体液を減らすには利尿薬を使います。
Ca²⁺ブロッカ-
Caブロッカーは
- Ca²⁺チャネルを遮断して血管平滑筋を弛緩させ血圧を下げます。
- 名前は「〜ジピン」です。
その二点だけ押さえておけば高血圧のCaブロッカーではokです。不整脈では心/血管選択性も出てきますがそれはその時に勉強しましょう。