慢性腎不全とは?
2019/11/02

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勉強のポイント
慢性腎不全の症状、治療は急性腎不全とほとんど同じです。
急性腎不全のまとめはこちら。
慢性になると二次的に他の症状が出るので、そちらを中心にこのページではまとめます。
慢性腎不全とは?
慢性腎不全は腎の機能が数ヶ月~数年という長い期間をかけて障害された状態のことです。
尿中に出るべきものが排泄されず体内に貯留されるので以下のような症状が出てきます。
糸球体濾過速度の低下による症状
見てわかるとおり急性腎不全と症状は殆ど同じです。
上の表のような症状が出るのですが低Ca血症が2次性副甲状腺機能亢進症を引き起こす理由が分かりづらいと思うでの少し解説します。
低Ca血症になる理由
まず腎不全でなぜ低Ca血症になるかを考えましょう。
腎臓の機能の1つにビタミンdの活性化があります。ビタミンDにはCaの吸収を促す作用があります。
このVdの活性化が行われないと
腸管からのCa吸収↓→血中Ca↓
→Caとリンのバランスを取ろうとPTH(副甲状腺ホルモン)↑↑
→2次性副甲状腺機能亢進症
が引き起こされます。
リンの排泄低下による高リン血症も2次性副甲状腺機能亢進症の一因です。
糸球体が障害されたとき
糸球体の基底膜が破壊された状態のときは蛋白尿や血尿が出ます。
蛋白尿になると低アルブミン血症や浮腫を引き起こします。
腎自体が障害
腎臓自体が障害されると
- エリスロポエチンの生成が低下
- ビタミンD3の活性低下
が起きます。
エリスロポエチンの産生低下になると、赤血球がヘリ、腎性貧血を引き起こします。
ビタミンD3の活性化が低下すると前述した2次性副甲状腺機能症を引き起こすだけでなく、腎性骨異栄養症を起こします。
腎性骨異栄養症は骨に作用して血中のCa濃度を維持しようとした結果骨がもろくなり骨折しやすい状態になることです。
薬物治療は??
体液貯留
体液貯留で起こる高血圧や浮腫にはフロセミドを使います。
利尿薬はいくつか種類がありますがフロセミドが臨床ではよく使用されます。
理由は腎不全になると高カリウム血症にになるのでスピロノラクトンなどのK保持性の利尿薬は避ける必要があります。
サイアザイド系(チアジド系)は無効とされているのでフロセミドを使います。
高K血症
高K血症に使用されるのはポリスチレンスルホン酸Naです。
ポイントは消化管内でK+を吸着して吸収を抑制することです。
高リン血症
高リン血症の薬はゴロで高K血症の薬と覚えましょう。
沈降炭酸Ca、炭酸ランタン、セベラマーも消化管内で食物由来のPと結合します。
沈降炭酸ランタンは沈後と考えて食直後に飲む薬とおぼえましょう。
セベラマーはマーが「前のま」とかんがえて食直前と覚えましょう。
同じ理屈でビキサロマーという高リン血症に使う薬も食直前に服用するので一緒に覚えておきましょう。
その他
- 腎性骨異栄養症
ビタミンD3が低下しているのでそれを補う目的でアルファカルシドール、カルシトリオールを使用します。
- 腎性貧血
エリスロポエチン製剤を使用します。
- 二次副甲状腺機能亢進症
シナカルセトが使用されます。過剰なパラトルモンの分泌を抑制することで透析下での二次副甲状腺機能亢進症の治療に使用されます。
最近では新薬のエボカルセト(オルケディア)も使用されるので国試ででてもおかしくないでしょう。
- 尿毒症
尿毒症には毒素を吸着する目的で吸着炭を使用します。