今回は非経口薬についてです。
この分野は、経口薬との違いを整理して覚えることが大切です。
超時短で終わらせたい人は、このマインドマップとページ最下部のまとめのところだけは押さえておきましょう。
Contents
非経口薬のポイント
ポイントは、
- 初回通過効果を受けるか
→非経口は基本受けない。腹腔内注射、直腸上部は受けるので注意。 - 各投与部位の特徴
- 有名な薬
の3点です。
注射剤:腹腔内注射は肝初回通過効果を受ける
注射剤に関しては、実務分野で主に扱いますが、薬剤分野で覚えておいてほしい点は、
ポイント
腹腔内注射は門脈に入るので、肝初回通過効果を受けます。
注射剤は、直接体の中に薬を入れるので、吸収は速いです。なので、吸収をおそめたり、持続させたい時に、リポソーム化や徐放化などで調節します。詳しくは製剤分野で扱います。
直腸:座薬は奥に入れすぎない
直腸は上中下に分かれています。
ポイント
ポイントは、中・下部は下大静脈→全身循環に流入するため、肝初回効果を受けません。
座薬を奥に押し込みすぎ(10cm以上とか)、直腸上部に行くと、上直腸静脈→門脈→肝臓で、肝初回通過効果を受けてしまいます。
余裕がある人は、吸収促進剤のカプリン酸を覚えておきましょう。細胞間隙を開き、薬の吸収を良くします。
皮膚:経皮吸収の特徴
以前は、皮膚の局所作用を目的に使われていましたが、
全身作用を目的にテープ材が使われることが多くなっています。
有名どころとしては、ニトログリセリン、ツロブテロール、フェンタニルなどがテープ材としてよく使われています。
経皮のメリット
経口にはないメリットがあります。
- 初回通過効果がない
- 持続的な薬効発現
- 副作用が出たらすぐに中止できる
経皮吸収は角質層通過がメインルート
経皮吸収のメインルートは、角質層を通過するルートです。
毛根などの付属器や細胞間ルートもありますが、割合は少ないです。
角質層はバリア機能を担っており、経皮吸収の関門になっています。
そのバリア機能を緩めてあげるのが密封療法(ODT)です。
外用薬を塗布した後、ラップで覆うことで、角質層の水分量が増し、柔らかくなり、薬が吸収されやすくなります。
肺からの吸収
肺は、効率よくガス交換をするために、表面積が大きく、小腸と同じくらいの広さがあり、上皮細胞も薄いので、吸収に有利です。
肺からの吸収のポイント
ポイントは、二つ。
- 初回通過効果を受けない
- 粒子径0.5~1μmが吸収される
粒子径0.5~1μmが吸収される
気道はふるいように、粒子をトラップし、異物を排出する役目があります。
- 粒子径が大きいものはゴミとして、線毛が排出
- 粒子径が小さいものは、定着せずに、空気と一緒に外に出る
そのため、全身作用を目的とした場合、径=0.5〜1μmが肺胞の上皮細胞を通過し、吸収されます。
気管支の局所作用を目的とした喘息の吸入剤の径は「1μm〜だった」と紐づけて覚えられます。
口腔粘膜からの吸収
口腔粘膜からの吸収といえば、狭心症や心筋梗塞を起こした時のニトログリセリンの舌下錠が有名です。
口腔粘膜は小腸よりも粘膜が薄く、吸収が速く、肝初回通過効果を受けないことをおさえておきましょう。
鼻粘膜からの吸収
これも、肝初回通過効果を受けません。
上皮細胞が細かいので、分子量が大きいデスモプレシンなどの薬も吸収されやすい特徴があります。
まとめ
非経口薬は経口薬との対比が大切です。
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【薬剤師国家試験:薬剤】経口薬の吸収過程と影響因子を薬物動態や相互作用に繋がるように解説。
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経口薬と違い、非経口薬は肝初回通過効果を受けにくいですが、
落とし穴は、腹腔内注射と直腸上部は門脈→肝初回通過効果を受けるので、注意しましょう。
部位別の特徴は、
- 皮膚では、角質層通過がメインルートになり、密封療法で吸収↑
- 直腸の下部と中部は初回通過効果を受けない
- 肺では、粒子径が0.5~1μmが沈着→吸収される
これくらい覚えておけば、最低限の得点できます。