重要なのは何?
本記事の内容
脂肪酸合成はマロニルCoAが炭素を2個ずつ伸ばす反応
国家試験で大切なポイントを押さえながら反応を解説
Contents
脂肪酸合成を分かりやすく解説
脂肪酸の合成はアセチルCoAにマロニルCoAが、C2を付加していく反応を繰り返すことでできます。
脂肪酸合成は細胞質ゾル(サイトゾル)で起こります。
材料はアセチルCoAとNADPHです。
脂肪酸合成の勉強のポイント
細胞酸合成を勉強するときのポイントは
アセチルCoAはマトリックスから細胞質ゾルへ移動
アセチルCoAはマロニルCoAになり、Cを2個ずつ付加
を押さえましょう。
脂肪酸合成は3ステップで考える
脂肪酸合成は
の3段階で起こります。
①アセチルCoAがサイトゾルにでる
脂肪酸合成はサイトゾル(細胞質ゾル)で起こります。
材料はアセチルCoAなので、マトリックス内から細胞質ゾルに出ていく必要があります。
(アセチルCoAはTCA回路回路やβ酸化で大活躍していたのを思い出しましょう。両方ともマトリックス内で起こります)
アセチルCoAはミトコンドリア膜を通過できないので、オキサロ酢酸と縮合してクエン酸になります。
(この反応はクエン酸回路の最初の反応)
クエン酸は細胞質ゾルへ出ると、アセチルCoAとオキサロ酢酸に戻ります。
アセチルCoAは脂肪酸合成に使われ、オキサロ酢酸はリンゴ酸→ピルビン酸となります。
その際にNADPHを産生します。
NADPHは合成反応の途中で還元で使用されます。
主にペントースリン酸回路から得ることができますが、このオキサロ酢酸からできることも知っておくと、知識が定着しやすいと思います。
②アセチルCoA→マロニルCoAになる
脂肪酸合成をスタートさせるにはマロニルCoAになる必要があります。
アセチルCoAカルボキシラーゼにより、カルボキシ基が導入され、マロニルCoAができます。
このアセチルCoAカルボキシラーゼによる反応はATP,Mn²⁺、ビオチンが必要です。
③脂肪酸合成はCが2個ずつくっつく反応
準備ができたので、いよいよCをのばしていきます。
炭素が2個単位ずつ(マロニルCoA由来)、伸長中の鎖について付加する反応を繰り返します。
マロニルCoAがつくときにCO₂が出ていくのでC2ずつ伸長されます。
この伸長反応には脂肪酸シンターゼが必要です。
国試的にはこれくらいざっくりでOKです。
理解を深めるためにもう少し詳しく見てみます。
(めんどくさい人はこれより下は見なくてもOK)
実際には直接アセチルCoAとマロニルCoAは反応しません。
アセチルCoAとマロニルCoAのアセチル基がアシルキャリアータンパク質(ACP)に移されます。
このACPは脂肪酸シンターゼの一部です。
アセチルCoAの方は更に別のタンパク質にアセチル基が移動します。
ここでやっと縮合反応が起こりC2が付加します。
あとは還元、脱水、還元を繰り返し1サイクルが終了します。
できたブチリルACPが1サイクル目のアセチルACPの役割をします。
これを繰り返すことで脂肪酸は最大でC16のパルミチン酸まで伸びます。
哺乳類では脂肪酸シンターゼがこれ以上長い脂肪酸を作れないためです。
C16以上の脂肪酸を作る場合にはパルミチン酸を修飾することで長鎖の脂肪酸をつくることになります。
脂肪酸に2重結合を作るにはO₂とNADPH、デサチュラーゼが必要
不飽和脂肪酸を合成するには
- 分子状酸素
- NADPH
- デサチュラーゼ(不飽和化酵素)
が必要です。
哺乳類では脂肪酸のカルボキシ基側から9番目以降の炭素には2重結合を作ることができません。
そのためリノール酸やリノレン酸は必須脂肪酸になります。
まとめ
ポイント
- 脂肪酸合成はβ酸化の逆反応ではない
- クエン酸が細胞質ゾルにでてアセチルCoAとオキサロ酢酸になる
- マロニルCoAが付加していくことで炭素が2個ずつ伸びていく
- 不飽和脂肪酸にはO₂,NADPH,デサチュラーゼが必要
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