前回は登録と譲渡手続きを見ました。今回は表示・保管・廃棄・情報提供・事故対応です。
この単元でいちばん出題されるのは、間違いなく容器の表示の色です。「赤地に白色」なのか「白地に赤色」なのか、そして薬機法の毒薬・劇薬とどう違うのか。色の組み合わせだけで1問取れるところなので、ここは絶対に落とさないようにしましょう。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
マインドマップで見る「取扱・保管・管理」

容器・被包の表示
毒物:「医薬用外」+ 赤地に白色で「毒物」

劇物:「医薬用外」+ 白地に赤色で「劇物」

| 「医薬用外」の文字 | 地 | 文字の色 | 文字 | |
|---|---|---|---|---|
| 毒物 | 必要 | 赤 | 白 | 毒物 |
| 劇物 | 必要 | 白 | 赤 | 劇物 |
どちらにも「医薬用外」の文字が必要で、色だけが入れ替わる。この「入れ替え」が、そのまま選択肢の作り方になります。
第110回 問74は、「毒物劇物営業者が行う劇物の容器及び被包への表示について、『医薬用外』の文字に加えて表示する内容として正しいのはどれか」という必須問題でした。選択肢には
- 白地に赤色をもって「劇」の文字
- 白地に黒色をもって「劇」の文字
- 白地に赤色をもって「劇物」の文字 ← 正しい
- 赤地に白色をもって「劇物」の文字
- 白地に黒色をもって「劇物」の文字
が並びます。色だけでなく、「劇」なのか「劇物」なのかまで変えてくるのが厄介なところです。毒劇法は「毒物」「劇物」と2文字、薬機法は「毒」「劇」と1文字、と区別してください。
薬機法の毒薬・劇薬との比較(最重要)
| 法律 | 対象 | 表示 | 文字 |
|---|---|---|---|
| 薬機法 | 毒薬 | 黒地に白枠、白字 | 品名+「毒」 |
| 薬機法 | 劇薬 | 白地に赤枠、赤字 | 品名+「劇」 |
| 毒劇法 | 毒物 | 赤地に白色 | 医薬用外+「毒物」 |
| 毒劇法 | 劇物 | 白地に赤色 | 医薬用外+「劇物」 |
いちばん間違えやすいのは、毒薬(黒地)と毒物(赤地)です。実際、第109回 問146には「毒物及び劇物の容器・被包には『医薬用外』の文字とともに、毒物については黒地に白色で『毒物』の文字、劇物については白地に赤色で『劇物』の文字を表示しなければならない」という選択肢が出ています。劇物のほうは正しいのに、毒物の地の色だけ「黒」にすり替えてある誤りの選択肢です。
「黒は薬機法の毒薬、赤は毒劇法の毒物」。この1行を確実にしてください。薬機法側の表示ルールは毒薬・劇薬の表示ルールと交付制限14歳未満で詳しく扱っています。
解毒剤の記載義務
表示の話でもう1つ、必ず出るのがここです。
解毒剤の名称の記載義務がある品目は、有機リン化合物だけ。 記載する解毒剤はPAM(2-ピリジルアルドキシムメチオダイド)の製剤と硫酸アトロピン(アトロピン硫酸塩水和物)の製剤。
毒物劇物は数え切れないほどありますが、容器に解毒剤名まで書かせるのは有機リン化合物(農薬)だけです。「有機リン → PAMとアトロピン」という薬理でもおなじみの組み合わせが、そのまま法規の条文に出てくる、という珍しいパターンなので覚えやすいはずです。
容器の注意事項

毒物または劇物の容器として、飲食物の容器として通常使用されるものを使用してはならない。
サラダ油のボトルに硫酸が入っていたら事故になる、という当たり前の話です。当たり前すぎて逆に選択肢で見落とすので、注意してください。
第111回 問147には「毒物劇物営業者は、一般消費者の生活の用に供される毒物又は劇物については、飲食物に通常使用される容器を使用して販売することができる」という誤りの選択肢が出ています。「一般消費者向けなら例外がある」かのように書かれていますが、そんな例外はありません。
貯蔵場所の表示と管理
貯蔵場所の表示には色の規定がない
ここは容器の表示とセットで出されると混乱するところです。
| 表示の内容 | 色の規定 | |
|---|---|---|
| 容器・被包 | 「医薬用外」+「毒物」/「劇物」 | あり(赤地に白色/白地に赤色) |
| 貯蔵場所 | 「医薬用外」+「毒物」/「劇物」 | なし(文字だけでOK) |
貯蔵場所は文字だけ。毒物でも劇物でも同じです。「容器は色あり、置き場は色なし」と覚えてください。
管理
貯蔵設備にはかぎを掛ける。
着色の義務
農業用のものと特定毒物の一部には、着色の義務がある。着色しないと販売できない。
具体的にどの品目を何色にするかは政令で個別に決まっていますが、そこまでは覚えなくて大丈夫です。「着色の義務があるものが存在する」こと、そして対象は農業用と特定毒物の一部であることを押さえておけば十分です。
廃棄
政令で定める技術上の基準に従って廃棄しなければならない。
中和するのか希釈するのか、物質によって方法は違います。中身を覚える必要はなく、「政令で定める技術上の基準に従う」という義務として定められていることだけを押さえておきましょう。
麻薬や覚醒剤のように「知事に届け出て職員の立会いのもと」といった手続きはありません。毒物劇物は医薬品ではないので、管理薬とは考え方が違います。
情報提供:2つの場面を分ける
毒劇法には「情報を渡しなさい」という規定が2つあり、相手も渡すものも違います。混同しやすいので表で整理します。
| 場面 | 相手 | 渡すもの |
|---|---|---|
| 運搬を委託するとき | 運送人 | 毒物劇物の名称や事故の際の応急措置などを記載した書面 |
| 譲渡するとき | 譲受人 | 安全データシート(SDS) |
前者は「運ぶ人が事故に遭ったときに対処できるように」、後者は「使う人が性状と取扱いを理解できるように」。目的が違うから相手も書類も違う、と理解しておけば取り違えません。
事故・盗難の措置
ここは届出先が違うのがポイントです。
| 事態 | 届出先 |
|---|---|
| 飛散・漏出などの事故(不特定または多数の者に保健衛生上の危害が生じるおそれ) | 保健所、警察署または消防機関に直ちに届け出る |
| 盗難・紛失 | 警察署に届け出る |
毒物若しくは劇物が飛散し、漏れ、流れ出し…た場合、直ちに、その旨を保健所、警察署又は消防機関に届け出るとともに、保健衛生上の危害を防止するために必要な応急の措置を講じなければならない。(毒物及び劇物取締法 第17条)
盗難・紛失が警察署だけなのは、「犯罪に使われるとまずい」という趣旨だからです。一方、事故のほうは「人の健康被害」なので保健所が、「火災・危険物」なので消防機関が加わります。理由で分けると覚えやすくなります。
第101回 問145でも「毒物劇物営業者は、その取扱いに係る毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失したときは、直ちに、その旨を警察署に届け出なければならない」が正しい記述として出題されています。
まとめ
- 容器・被包の表示は毒物=「医薬用外」+赤地に白色で「毒物」、劇物=「医薬用外」+白地に赤色で「劇物」
- 薬機法の毒薬は黒地に白枠白字で「毒」。黒は薬機法、赤は毒劇法
- 解毒剤の記載義務があるのは有機リン化合物だけ。PAMと硫酸アトロピン
- 飲食物の容器として通常使用されるものは使えない(一般消費者向けでも例外なし)
- 貯蔵場所の表示には色の規定がなく、文字だけ。貯蔵設備にはかぎを掛ける
- 農業用と特定毒物の一部には着色義務
- 廃棄は政令で定める技術上の基準に従う(届出・立会いの制度はない)
- 情報提供は運搬委託→運送人に書面、譲渡→譲受人にSDS
- 事故は保健所・警察署・消防機関、盗難紛失は警察署
次は法規頻出「保存期間・年数」まとめ(毒物劇物5年・麻薬原則2年など法律ごとの違いを比較)を読んでみてください。ここまでに出てきた年数を、法律をまたいで1枚の表にします。
法規を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。
法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。