薬機法の「医薬品等の取扱い」に入ります。この単元は、次にやる生物由来製品の特例の土台にもなる大事なところです。今回はそのうち、毒薬・劇薬と処方箋医薬品を扱います。どちらも「売り方・渡し方に制限がかかる医薬品」ですが、制限の中身が違うので、混ぜずに整理していきましょう。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
マインドマップで見る「医薬品等の取扱い」

毒薬・劇薬の表示
まずは表示からです。ここは実物のイメージと言葉での表現の両方を覚えるのがポイントです。国家試験では図ではなく文章で問われるので、「黒地に白枠、白字」のような言い回しに慣れておく必要があります。
毒薬:黒地に白枠、白字

直接の容器または直接の被包に、黒地に白枠、白字をもって、その品名および「毒」の文字を記載する。
劇薬:白地に赤枠、赤字

直接の容器または直接の被包に、白地に赤枠、赤字をもって、その品名および「劇」の文字を記載する。
| 地 | 枠 | 字 | 文字 | |
|---|---|---|---|---|
| 毒薬 | 黒 | 白 | 白 | 毒 |
| 劇薬 | 白 | 赤 | 赤 | 劇 |
毒薬は「黒い背景」、劇薬は「赤い文字」と、色の印象で覚えてしまうのが早いです。国家試験では「毒薬には、白地に赤枠、赤字をもって…」のように毒薬と劇薬の表示を入れ替えた誤りの選択肢が出ますので、必ず両方セットで押さえてください。
譲渡手続き
原則:文書をもらって2年間保存
毒薬・劇薬を譲り渡すときは、譲受人から文書の交付を受ける。譲渡人はその文書を2年間保存する。
文書には品名・数量・使用目的・譲渡年月日、譲受人の氏名・住所・職業などが記載され、譲受人の記名押印または署名が必要です。
例外:文書が要らない場合
毎回毎回文書をやりとりするのは現実的ではないので、譲受人が次に当たる場合は文書の交付が不要です。
- 薬剤師等
- 常時取引関係を有する者
「薬剤師等」とは誰か
この後の処方箋医薬品のところでも出てくる言葉なので、ここで確認しておきます。
薬剤師等 = 薬剤師、薬局開設者、医薬品の製造販売業者・製造業者・販売業者、医師・歯科医師・獣医師 など
要するに「医薬品を扱うことが業務として認められている人たち」です。一般の人ではない、という感覚で押さえておけば十分です。
交付制限:14歳未満には交付禁止
毒薬・劇薬は、14歳未満の者その他安全な取扱いに不安がある者には交付してはならない。
ここが今回いちばん間違えやすいところです。毒物及び劇物取締法にも交付制限がありますが、そちらは18歳未満です。名前が似ているだけで、まったく別の法律の別の規定なので、年齢を取り違えると一発で失点します。
| 法律 | 対象 | 交付制限の年齢 |
|---|---|---|
| 薬機法 | 毒薬・劇薬 | 14歳未満 |
| 毒物及び劇物取締法 | 毒物・劇物 | 18歳未満 |
実際、過去の国家試験でも毒物及び劇物取締法の問題で「毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を18歳未満の者に交付してはならない」という記述が出ています。薬機法は14、毒劇法は18とセットで覚えてしまいましょう。
「子どもに劇薬が処方されたら?」という疑問
ここで引っかかる人が多いところです。たとえば小さなお子さんにステロイド外用薬が処方されることはよくありますが、劇薬に該当するものもあります。14歳未満には交付禁止なのに、どうして渡せるのでしょうか。
答えは、処方箋に基づいて調剤された医薬品は、この規定でいう「医薬品」に該当しないからです。調剤された医薬品として扱われるため、交付制限はかかりません。試験に直接出るところではありませんが、実務のイメージとつながると理解が定着します。
貯蔵・陳列
- 毒薬と劇薬は別々に貯蔵・陳列する
- 毒薬を貯蔵・陳列する場所には鍵をかける
「鍵がかかるのは毒薬だけ」です。劇薬には鍵の要求はありません。ここも入れ替えた選択肢が作りやすいポイントなので、確実に区別してください。
処方箋医薬品の販売制限
ここからは処方箋医薬品の話です。毒薬・劇薬とは別の規制なので、頭を切り替えましょう。
原則
薬局開設者または医薬品の販売業者は、処方箋の交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく処方箋医薬品を販売し、または授与してはならない。
キーワードは「正当な理由なく」です。裏を返せば、正当な理由があれば販売できます。
正当な理由とは
- 大規模災害時に、医師等からの処方箋の交付が困難な場合 など
例外:薬剤師等への販売
条文の中には例外も書かれています。
薬剤師等に販売または授与するときは、この限りではない。
この「薬剤師等」は、毒薬・劇薬の譲渡手続きのところで出てきたのと同じ人たちです。卸売販売業者が薬局に処方箋医薬品を納品できるのも、この例外があるからだと考えるとイメージしやすいでしょう。
記録
販売・授与したときは記録を残し、2年間保存する。
毒薬・劇薬の譲渡文書も2年間でしたね。薬機法の毒薬劇薬・処方箋医薬品はどちらも2年とまとめて覚えておくと、法規全体の「保存期間」を比較するときに役立ちます。
まとめ
- 毒薬=黒地に白枠、白字で品名と「毒」、劇薬=白地に赤枠、赤字で品名と「劇」
- 譲渡は原則譲受人から文書の交付を受け、2年間保存。例外は薬剤師等・常時取引関係を有する者
- 交付制限は14歳未満(毒物及び劇物取締法の18歳未満と混同しない)
- 毒薬と劇薬は別々に貯蔵・陳列し、毒薬の場所には鍵
- 処方箋医薬品は、処方箋の交付を受けた者以外には正当な理由なく販売・授与できない。薬剤師等は例外
- 販売の記録は2年間保存
次は医薬品の表示事項と添付文書電子化(注意事項等情報)のポイントを読んでみてください。同じ「医薬品等の取扱い」の単元の後半にあたる部分です。
法規を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。
法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。