医薬品医療機器等法(薬機法)

国際的な治験の取り組み(ICH・CTD・ブリッジング試験・国際共同治験)とドラッグラグ【薬剤師国家試験】

治験の内容(第1相〜第3相)とGCP省令の話が続きましたが、この記事では臨床試験パートの最後のテーマ、「国際的な取り組み」について見ていきます。薬は世界中で使われるものなのに、各国がバラバラなルールで治験を行っていたら非効率ですよね。そこで生まれたのが、これから紹介する国際的なしくみです。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。

マインドマップで見る「臨床試験」の全体像

臨床試験の全体像マインドマップ(治験の定義・法的規制・国際的な取り組み・臨床試験の内容)
臨床試験の全体像マインドマップ(治験の定義・法的規制・国際的な取り組み・臨床試験の内容)

なぜ国際的なルールが必要になったのか

製薬企業が薬を各国で販売しようとすると、国ごとに重複した試験を何度も行わなければならない、という問題がありました。資源もお金ももったいないですよね。そこで、外国の臨床データを利用できるようにしようという流れの中で生まれたのが「医薬品規制調和国際会議(ICH)」です。

具体例で考えるICHのすごさ

たとえば、薬の安定性試験や長期保存試験は、英国では1年、米国では3年というように、国によって基準がバラバラだったとします。英国で試験をした後、米国でもう一度3年かけて試験をやり直す……というのは非効率です。

ICHは、こうした試験について「このガイドラインでやりましょう」という国際的な基準を作り、そのガイドラインに沿って行われた試験結果であれば、同意した国の承認申請データとして使えるようにしました。これによって、海外の臨床データを利用できるようになったのがICHの大きな意義です。

CTD:申請資料のフォーマットを統一

ICHに付随して、承認申請の資料の書き方(どの順番で何を書くか)もバラバラだった状態から、ひな形が作られました。これがCTD(Common Technical Document)です。CTDによって各国での申請資料のフォーマットが統一され、申請作業がスムーズになりました。

ブリッジング試験:民族差を確認する

ICHやCTDによって海外の臨床データを利用できるようになったとはいえ、「日本人と海外の人で、薬の効き方に民族差はないのか?」という懸念は残ります。そこで行われるのがブリッジング試験です。海外の治験データをそのまま使っても問題ないかどうかを、追加の試験で確認するものです。

国際共同治験とドラッグラグの解消

最後が国際共同治験です。同じプロトコル・同じ評価項目など、同一条件のもとで世界同時に治験を行う方法で、各国が別々に治験を行う必要がなくなります。

この国際共同治験によって解消が期待されているのが「ドラッグラグ」です。ドラッグラグとは、海外ですでに承認されている薬が、日本で承認されるまでに時間がかかってしまう問題のことです。国際共同治験であれば世界同時に承認申請へ進めるため、このラグの解消につながります。

まとめ

国際的な取り組みは、①ICH(規制の国際的な調和)→②CTD(申請資料フォーマットの統一)→③ブリッジング試験(民族差の確認)→④国際共同治験(世界同時の治験・ドラッグラグ解消)、という流れで押さえておくと整理しやすくなります。それぞれ「何のために」生まれたしくみなのかを意識しておくと、単なる略語の暗記から抜け出せるはずです。

これで臨床試験パートは一通り終わりです。次回からは、治験の法的規制の中でも特にボリュームの大きい「GCP省令(治験を行うための基準)」について、準備・管理・実施の3つの基準に分けて詳しく整理していきます。

法規を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。

法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。

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