薬局について、販売について、製造販売業・製造業についてと見てきて、いよいよ薬機法の中でも大きなテーマである「医薬品等の開発」に入っていきます。製造販売承認は、個々の製品の品質・有効性・安全性を審査して品目ごとに厚生労働大臣が認めるものでしたが、その承認を得るために製薬企業が何をしているのか、というのが今回からのテーマです。この記事ではまず、開発の入り口である「非臨床試験」について整理していきます。
この記事は「医薬品等の開発」シリーズの1本目です。治験(臨床試験)やGCP省令については、続く記事で詳しく扱っていきます。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
マインドマップで見る「医薬品等の開発」の全体像

医薬品等の開発、大きな流れは3段階
医薬品等の開発は、大きく分けると次の3段階で進みます。
- 非臨床試験(この記事のテーマ)
- 臨床試験(治験)
- 製造販売承認 → 市販後の承認後の制度
まず動物などを使って安全性を確かめる非臨床試験を行い、それをクリアしたものだけがヒトを対象とする臨床試験(治験)に進みます。そして治験の結果をもとに製造販売承認を受け、市販された後も承認後の制度で継続的にチェックされる、という流れです。
医薬品の品質管理の基準には「GLP・GCP・GMP/GQP・GVP・GPSP」という似た省令がいくつも出てきて混乱しやすいところですが、どの段階に対応する基準なのかを図で見ておくと整理しやすくなります。

非臨床試験に対応するのが、この記事で扱うGLPです。それでは、非臨床試験の中身を見ていきましょう。
非臨床試験とは何か
非臨床試験とは、ヒトに投与する前に動物などを使って行う試験のことです。大きく分けると次の4つがあります。
- 薬物動態試験
- 安定性試験
- 薬理試験
- 毒性試験
このうち薬剤師国家試験でよく問われるのは、太字にした薬理試験と毒性試験の2つです。
非臨床試験を見るときに持っておいてほしい視点が1つあります。それは、「効くか効かないか」よりも「害があるかどうか」が大切だということです。この視点を持って中身を見ていくと、国試で問われるポイントとも重なってくるので、意識しながら読み進めてみてください。
薬理試験は3種類
薬理試験は、次の3つの試験から成り立っています。
①効力を裏付ける試験(旧・薬効薬理試験)
治療標的に対する薬理作用を確認する試験です。「この薬は本当に治療効果があるのか」をここでチェックします。
②副次的薬理試験
治療標的に関連しない薬理作用を調べる試験です。メインの作用以外に、どんな作用があるのかを確認します。
③安全性薬理試験
治療用量、またはそれ以上の量にさらされたときに、望ましくない薬理作用がないかを検討する試験です。多量に使ってみたときに危険な副作用が出ないか、というチェックですね。
安全性薬理試験の中でも特に重要なのが「コアバッテリー試験」です。中枢神経系など生命維持に重要な器官への影響を見る試験で、必ず遵守しなければならないと定められています。
毒性試験は2種類
毒性試験は、大きく分けて次の2つです。
- 一般毒性試験:通常の毒性を調べる試験
- 特殊毒性試験:発がん性や生殖毒性など、特殊な毒性について調べる試験
この毒性試験(および安全性薬理試験の一部)は、これから説明するGLPの遵守が必要という点を押さえておきましょう。
GLPとは何か
GLPは Good Laboratory Practice の略で、厚生労働省令として定められている基準です。臨床試験(治験)に進む前の非臨床試験の段階で、重要な情報を十分に確保し、試験の信頼性を確保するために、この省令に従って試験を行う必要があります。
適用範囲は先ほど触れた「安全性薬理試験の一部」と「毒性試験」です。
GLP省令には、安全性・信頼性を確保するための組織体制についても定めがあります。特に重要なのが、信頼性保証部門の担当者は、試験に従事する者以外の者でなければならないという規定です。つまり、「試験をする側」と「調査・監督する側」を分けなさい、ということですね。

図にある登場人物を整理すると、次のようになります。
- 運営管理者:試験施設全体を管理する責任者。信頼性保証部門責任者を指名し、試験側には試験責任者を指名する
- 信頼性保証部門責任者:試験責任者・試験従事者を調査し、信頼性が担保されているかを運営管理者に報告する(試験に従事していない人であることが必須)
- 試験責任者:試験従事者を指導し、報告を受けて運営管理者に報告する
- 試験従事者:実際に試験を行い、試験責任者に報告する
「指名」「報告」「調査」の矢印がどちら向きか、というところが国試では狙われやすいポイントなので、この図のイメージで覚えておくと整理しやすいです。
まとめ
非臨床試験は、ヒトに投与する前段階として「効くかどうか」より「害がないかどうか」を確認するプロセスです。薬理試験(効力を裏付ける試験・副次的薬理試験・安全性薬理試験)と毒性試験(一般毒性試験・特殊毒性試験)の中身、そして試験の信頼性を確保するGLPの組織体制、この3点を押さえておけば非臨床試験のパートは大丈夫です。
次回は、非臨床試験をクリアした後にいよいよヒトを対象に行われる「治験(臨床試験)」について見ていきます。
法規を、1枚の地図として頭に入れませんか
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