今回から法規の中でも一番のボリュームゾーンである「医薬品医療機器等法」に入っていきます。この法律、正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という長い名前ですが、一般には薬事法、あるいは薬機法と呼ばれることが多いです。この記事ではまず、薬機法が法規の中でどんな位置づけの分野なのか、そしてこれからどんな順番で学んでいくのかという全体マップを押さえておきましょう。
この記事は薬機法シリーズのイントロです。各テーマの詳しい解説記事へのリンクは、この記事の中にまとめてあります。迷ったらここに戻ってきてください。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
薬機法とは何の法律か
正式名称と略称(薬事法との違い)
薬機法の正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。名前の通り、医薬品や医療機器の品質・有効性・安全性を確保するための法律で、以前は「薬事法」という名称でしたが、法改正によって現在の名称に変わりました。「薬事法」と呼ばれることもまだありますが、現在の正式名称・略称は「医薬品医療機器等法(薬機法)」だと覚えておきましょう。
なぜ法規の中で最重要・最頻出の分野なのか
薬機法は、法規という科目の中でも最もボリュームが大きく、最も出題される中心分野です。範囲が広い分、最初に迷子になりやすいところでもあります。だからこそ、個々の条文を覚える前に、まず「全体としてどんな流れで法律ができているか」という地図を持っておくことが、後の学習効率を大きく左右します。
薬機法を学ぶ順番(全体マップ)

薬機法は範囲が広いため、以下の順番で学んでいきます。それぞれが独立した単元というより、「医薬品が患者さんに届くまでの流れ」を上流・下流にたどっていくイメージで見ていくと理解しやすくなります。
①総則(法の目的・医薬品等の定義)から始める理由
最初に学ぶのは総則です。ここで、この法律がそもそも何のためにあるのかという目的、そして「医薬品等」や「指定薬物」といった用語の定義を押さえます。この土台がしっかりしていると、この後に出てくる条文や制度も格段に理解しやすくなるので、遠回りに見えても最初にきちんと押さえておきたいところです。
→ 薬機法の総則:法の目的と医薬品等の定義(日本薬局方・検定・広告規制・血液法) → 医薬品の分類(要指導医薬品・一般用医薬品・医療用医薬品)を国試レベルで整理
②薬局について
総則の次は薬局です。薬局は私たちにとっても薬学生にとっても一番身近な存在ですが、実は調剤だけでなく、OTC医薬品の販売、さらには薬局製造販売医薬品の製造販売まで行っている、いろいろな機能が詰まった場所です。医薬品の流通・供給の仕組みで言えば一番川下(末端)にあたる存在なので、まずここから全体像をつかみます。
③医薬品・医療機器の販売等
薬局の次は、ドラッグストアなどを含めた医薬品・医療機器の販売等について学びます。販売許可がどう分類されているかを整理していくパートです。
→ 医薬品・医療機器の販売業の種類と許可(店舗・配置・卸売)を整理
④製造販売業・製造業・製造販売承認
ここから流通の流れを少し上流(川上)に遡り、製造販売業・製造業・製造販売承認について学びます。誰が何の許可・承認を得て医薬品を世に出しているのか、という仕組みを整理するパートです。
→ 製造販売承認とは?承認と届出の違い・承認拒否事由・審査プロセスを整理 → 製造販売業許可の種類とGQP・GVP・QMS基準 → 製造業許可の基本(外国製造業者の認定・原薬等登録原簿)
⑤医薬品等の開発
さらに上流に遡り、医薬品等の開発について学びます。ここまでで、医薬品等が開発されてから患者さんの手元に届くまでの流通・供給の全体の流れが一通り見えるようになります。
→ 非臨床試験のポイント(薬理試験・毒性試験・GLPの覚え方) → 治験(臨床試験)の定義と第1相〜第3相試験の違い → 国際的な治験の取り組み(ICH・CTD・ブリッジング試験・国際共同治験)とドラッグラグ → GCP省令(治験を行うための基準)とは?治験の準備・管理・実施体制を一気に整理 → 承認後の安全対策(市販直後調査・再審査制度・再評価制度・副作用感染症報告)を時系列で整理
⑥安全性・品質の確保(広告・血液供給体制・取扱い・生物由来製品等の特例)
流通・供給の流れを押さえたら、次は視点を変えて安全性・品質の確保について学びます。ここには、検定(市場に出す前の品質チェック)、医薬品の広告に関するルール、血液製剤の供給体制、医薬品の直接の容器や添付文書に関する取扱い、毒薬・劇薬の取扱い、そして生物由来製品や再生医療等製品の特例といった内容が含まれます。ボリュームとしても多いパートです。
このうち日本薬局方・検定・広告・血液供給体制は、性格が近いので薬機法の総則の記事にまとめて入れてあります。残りは次の3記事で扱います。
→ 毒薬・劇薬の表示ルールと交付制限14歳未満(処方箋医薬品との違いに注意) → 医薬品の表示事項と添付文書電子化(注意事項等情報)のポイント → 生物由来製品・特定生物由来製品の特例と再生医療等製品との比較
最後に、ここまでで扱いきれなかった細かい部分に戻って詰めていく、という流れで薬機法全体を一周します。
まとめ
薬機法は法規の中でも最もボリュームが大きい分野だからこそ、いきなり細部から覚えるのではなく、「総則→薬局→販売等→製造販売業等→開発→安全性・品質確保」という全体の地図を先に頭に入れておくことが大切です。この記事はその地図の役割なので、迷ったらいつでもここに戻ってきてください。次は最初のテーマ、薬機法の総則:法の目的と医薬品等の定義(日本薬局方・検定・広告規制・血液法)から読み進めてみてください。
動画で学びたい人へ
この内容は、YouTubeの講義動画でも解説しています。該当箇所から再生されます。
法規を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。
法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。