医薬品医療機器等法(薬機法)

薬局の定義・開設許可・管理者の義務を薬機法から整理【薬剤師国家試験】

総則が終わったので、ここからは医薬品の流通・供給の仕組みに入ります。

流れとしては、一番川下(末端)にある薬局から出発して、そこから3〜4記事かけて川上(製造側)へさかのぼっていきます。いきなり製造販売業の話から始めると抽象的すぎて迷子になるので、まずは一番イメージしやすい薬局から手をつける、という順番です。

薬局のパートで扱うのは、①薬局の開設(定義・名称・開設許可)、②薬局の管理(管理者とその義務)、③開設者の遵守事項の3つです。国試では「管理者の義務なのか、開設者の義務なのか」を入れ替えた選択肢がよく出るので、そこを意識しながら読んでみてください。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。

マインドマップで見る「薬局について」

薬機法 薬局についてのマインドマップ(薬局の開設・薬局の管理・開設者の遵守事項)
薬機法 薬局についてのマインドマップ(薬局の開設・薬局の管理・開設者の遵守事項)

右上が薬局の開設、中央が薬局の管理、左が開設者の遵守事項です。

薬局の定義

まず定義から。条文はこうなっています。

薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務並びに、薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所(医薬品の販売業を併せ行う場合には、その場所を含む)

もともとは前半の「調剤の業務を行う場所」だけでした。令和元年の改正で後半が追加されたのがポイントです。

追加されたのは次の2つです。

  • 薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所
  • 医薬品の販売業を併せ行うのに必要な場所を含む

つまり法律上、薬局は「調剤する場所」から「調剤し、情報提供と指導まで行う場所」に定義が広がりました。対人業務が定義そのものに書き込まれた改正、という理解でいいと思います。

そしてもう1つ、定義で必ず押さえるところ。

病院・診療所の調剤所は「薬局」に含まれない

「薬局」という名称

  • 原則:薬局の開設許可を受けた薬局でなければ、「○○薬局」という名称を使えません
  • 例外:病院・診療所内の調剤所は、慣例として「○○薬局」と称することができます

薬局の開設許可

誰の許可か

都道府県知事等の許可です(保健所を設置する市・特別区ではその長)。

ここで、医療法の診療所と比べておくと整理しやすくなります。診療所は、臨床研修等修了医師が開設する場合は届出、そうでない場合は許可、と分かれていました。一方、薬局はすべて許可です。「薬局は全部許可。診療所のほうが特殊」と覚えておきましょう。

更新は6年ごと

薬局の開設許可は6年ごとに更新です。

法規では「5年」と「6年」がやたらと出てくるので、ここで覚え方を作っておきます。

系統 更新
販売系(薬局開設許可、店舗販売業、配置販売業、卸売販売業、医療機器の販売業) 6年
製造系(製造販売業許可、製造業許可) 5年

販売系は6年、製造系は5年。 この先の記事でもずっと使う対比なので、ここで頭に入れてしまってください。

開設許可の3つの要件

  1. 構造設備基準 ── 調剤室の面積など。細かい数値は国試ではほとんど問われていません
  2. 業務体制の基準 ── 調剤に従事する薬剤師の員数。処方箋1日あたり40枚につき薬剤師1人
  3. 申請者の資格 ── 欠格事由のある者には許可を与えないことがある(薬事関連法規の違反者、麻薬等の中毒者など)

このうち一番出るのは2番の「処方箋40枚に薬剤師1人」です。病院・診療所の定義と開設手続き、薬剤師の人員基準で扱った医療法の員数の計算とは割る数が違うので、混ぜないように注意してください。薬局は40枚に1人です。

薬局の管理 ── 管理者とその義務

管理者と開設者は別物

  • 管理者:その薬局を管理する人で、薬剤師でなければならない
  • 開設者:薬剤師でなくてもよい

ここは必ず区別してください。開設者は法人でも、薬剤師以外の個人でも構いません。

管理者は原則として兼業禁止

管理者は、原則としてその薬局以外の場所で業として薬事に関する実務に従事してはいけません。例外は、学校薬剤師など、都道府県知事等の許可を受けた場合です。

管理者の義務(4つ)

  1. 従業者を監督する
  2. 構造設備及び医薬品その他の物品を管理する
  3. 薬局開設者に対して必要な意見を「書面で」述べる
  4. 薬局の管理に関する帳簿(薬局管理帳簿)に記載する

3番の「書面で」は比較的新しく追加された部分です。口頭ではなく書面、そして開設者の許可を得る必要はありません(意見を述べるのに上司の許可がいる、では意味がないですよね)。

第110回では「医薬品医療機器等法に基づく薬局管理者の義務はどれか」がそのまま出題され、正解は「従業者を監督しなければならない」と「構造設備及び医薬品その他の物品を管理しなければならない」の2つでした。

誤りの選択肢が秀逸で、次の3つが並んでいます。

  • 前年における総取扱処方箋枚数を都道府県知事に届け出る → これは開設者の義務
  • 薬局開設許可証を見やすい場所に掲示する → これも開設者側の話
  • 開設者に意見を書面に残す場合は、開設者の許可を受けなければならない → 許可は不要

管理者か開設者かを入れ替える、という出題パターンがはっきり見て取れます。

薬局開設者の遵守事項

ここからは開設者の義務です。

項目 内容
書面の保存 要指導医薬品・第一類医薬品を販売したときの書面は2年間保存
処方箋数の届出 前年の総取扱処方箋数を都道府県知事等に届け出る
休廃止等の届出 30日以内(事後でOK)に都道府県知事等に届け出る
薬局情報の提供 薬局機能の情報を知事に届け出て、その情報を薬局で見られるようにする
掲示 薬局の利用に必要な情報のうち厚生労働省令で定める事項を、掲示板により掲示する

いくつか補足します。

総取扱処方箋数の届出は、都道府県がその地域の処方箋の需要を把握するための仕組みです。「なぜ毎年報告させるのか」を知っておくと忘れにくくなります。

薬局情報の提供は、医療法で病院・診療所に対して行っている医療機能情報提供制度と同じことを、薬機法が薬局に対してやっている、という位置づけです。医療法の記事を読んだ人は、そちらと重ねて理解してください。

掲示の中身は、薬局管理者の氏名や勤務している薬剤師の氏名など。患者さんが「いま誰が対応してくれているのか」を確認できるようにするためのものです。

調剤された薬剤の取扱い(法第9条の3・第9条の4)

最後に、対人業務に直結する2つの条文です。

薬剤師に販売又は授与させなければならない

薬局開設者は、処方箋により調剤された薬剤につき、薬剤師に販売又は授与させなければならない

主語が薬局開設者、行為者が薬剤師、という構造です。渡すのは薬剤師、と覚えてください。

情報提供及び指導

薬剤師に、対面により、書面を用いて必要な情報を提供させ、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない

原則は対面です。ただし、現在はパソコンやスマートフォンを用いた方法(オンライン服薬指導)も可能になっています。

まとめ

  • 薬局の定義は、令和元年改正で「情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所」が追加された。病院・診療所の調剤所は薬局に含まれない
  • 名称は原則として開設許可を受けた薬局のみ。病院・診療所内の調剤所は慣例でOK
  • 開設許可は都道府県知事等、6年ごとに更新。販売系は6年、製造系は5年
  • 要件は構造設備基準・業務体制の基準・申請者の資格の3つ。業務体制は処方箋1日40枚につき薬剤師1人
  • 管理者は薬剤師、開設者は薬剤師でなくてよい。管理者は原則兼業禁止
  • 管理者の義務は従業者の監督/構造設備・物品の管理/開設者への意見を書面で述べる/薬局管理帳簿の記帳
  • 開設者の遵守事項は書面2年間保存/前年の総取扱処方箋数の届出/休廃止は30日以内に届出/薬局情報の提供/掲示
  • 調剤された薬剤は薬剤師に販売・授与させる。情報提供・指導は対面が原則(オンラインも可)

次は医薬品・医療機器の販売業の種類と許可(店舗・配置・卸売)を整理です。薬局の隣にある、ドラッグストアや卸の世界に進みます。

動画で学びたい人へ

この内容は、YouTubeの講義動画でも解説しています。該当箇所から再生されます。

法規を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。

法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。

-医薬品医療機器等法(薬機法)

© 2026 マインドマップ薬学 Powered by AFFINGER5