医療法

病院・診療所の定義と開設手続き、薬剤師の人員基準【薬剤師国家試験】

医療法の後半に入ります。ここからは病院・診療所と医療提供体制という大きなブロックで、3本に分けて整理していきます。1本目の今回は、病院と診療所は何が違うのかという一番の基本からです。

このパートは数字と手続きが中心で、覚えることは多くありません。そのぶん国試では確実に取りたいところなので、数字の境目と「許可なのか届出なのか」を正確に押さえていきましょう。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。

マインドマップで見る「病院・診療所と医療提供体制」

病院・診療所と医療提供体制のマインドマップ(病院と診療所の定義・開設手続き・管理者・薬剤師の人員基準・機能別の病院の分類)
病院・診療所と医療提供体制のマインドマップ(病院と診療所の定義・開設手続き・管理者・薬剤師の人員基準・機能別の病院の分類)

右側が病院・診療所、左側が医療提供体制の確保です。右側はさらに「病院、診療所」と「機能別の病院の分類」に分かれます。この記事では右上の病院・診療所を扱い、右下の病院の分類は次の記事、左側の医療提供体制はその次の記事で整理します。

病院と診療所の分かれ目は「20」

定義
病院 20人以上の患者を入院させるための施設を有するもの
診療所 患者を入院させる施設を有しないもの、または19人以下の患者を入院させるための施設を有するもの

覚えるべき数字はひとつ、20だけです。20以上なら病院、19以下(ゼロを含む)なら診療所。第107回でも「病院は、20人以上の患者を入院させるための施設を有する」がそのまま正しい選択肢として出題されています。

開設手続き ─ 「許可」か「届出」か

ここがこのパートで一番おもしろく、一番出題されるところです。

開設するもの 開設者 手続き
病院 誰でも 都道府県知事の許可
診療所 臨床研修等修了医師 都道府県知事への届出
診療所 医師でない人 都道府県知事の許可

病院は開設者が誰であっても許可が必要です。一方、診療所は開設する人によって手続きが変わるという点が特徴です。臨床研修を終えた医師が自分で診療所を開くなら届出で足りますが、医師でない人(医療法人や自治体など)が開く場合は許可が要ります。

薬局開設許可との違い

ここは薬局と比べると差がはっきりします。薬局の開設は、誰が開設者であっても許可です。薬剤師が自分で開く場合でも届出では済みません。「医師が自分の診療所を開くときだけ届出でいい」という診療所の扱いが例外的だ、と捉えておくと混同しません。

なお、診療所の所在地が保健所を設置する市または特別区である場合は、届出先が都道府県知事ではなく市長または区長になります。細かい点ですが、条文上はこうなっています。

病院等の管理者は「臨床研修等修了医師」

病院・診療所の管理者は、臨床研修等修了医師でなければならないとされています。開設は医師でない人でもできる(許可を受ければよい)一方で、実際に現場を管理する人は医師でなければならない、という二段構えです。「開設者」と「管理者」は別物なので、ここも区別しておいてください。

薬剤師の人員基準

薬剤師国家試験としては、ここが本題です。

病院、または医師が常時3人以上いる診療所は、原則として専属の薬剤師を置かなければならない

覚えどころは2つです。

「病院なら無条件、診療所は医師が常時3人以上のとき」。診療所に一律で薬剤師の配置が義務づけられているわけではありません。第107回では「診療所は、専任薬剤師を置かなければならない」という選択肢が誤りとして出されています。すべての診療所に義務があるわけではないという点と、「専任」ではなく「専属」という言葉づかいの両方が引っかけになっています。

員数の計算も出題されている

講義では「入院患者数などが関わるが、そこまでは聞かれない」と話していますが、実際には第104回で計算問題が出ています。医療法施行規則に定められた考え方は次のとおりです。

区分 何で割るか
精神病床・療養病床の入院患者数 150
それ以外(一般病床など)の入院患者数 70
外来患者に係る取扱処方箋数 75

これらを合算した数が必要な薬剤師の員数になります。第104回では「一般病床に280人が入院し、外来の取扱処方箋数が150枚である地域医療支援病院(特定機能病院・臨床研究中核病院ではない)」という条件で問われました。

  • 入院:280 ÷ 70 = 4
  • 外来:150 ÷ 75 = 2
  • 合計:6人

割る数の 150 / 70 / 75 を覚えておけば解ける問題です。余裕があればここまで押さえておくと、同じタイプの出題が来たときに取りこぼしません。

まとめ

  • 病院と診療所の境目は20。20人以上入院させられれば病院、19人以下(入院設備なしを含む)なら診療所
  • 開設は、病院=常に許可、診療所=臨床研修等修了医師なら届出・医師以外なら許可。薬局は誰が開設しても許可
  • 管理者は臨床研修等修了医師でなければならない(開設者とは別)
  • 薬剤師の人員基準は、病院または医師が常時3人以上いる診療所に専属の薬剤師。「すべての診療所」でも「専任」でもない
  • 員数の計算は、精神・療養病床÷150、その他の病床÷70、取扱処方箋数÷75を合算

次は地域医療支援病院・特定機能病院・臨床研究中核病院の違いを比較に進みます。名前も要件も似ている3つの病院を、国試の引っかけどころごと整理していきましょう。

法規を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。

法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。

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