医療法の最終回です。今回扱うのは医療提供体制の確保、つまり「国と都道府県が、どうやって地域の医療を設計しているか」という話です。
前回までに出てきた地域医療支援病院と特定機能病院が、ここで医療圏の中心にいる病院として再登場します。バラバラに覚えていた病院の分類が、地図の上につながる回です。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
マインドマップで見る「医療提供体制の確保」

左側のブロックが今回の範囲です。上から基本方針 → 医療計画 → 計画項目(医療圏・基準病床数) → 病床機能報告制度と、上から下へ流れる構造になっています。
大枠は「国が方針、都道府県が計画」
まず大きな役割分担をつかんでください。
| 誰が | 何を定めるか |
|---|---|
| 厚生労働大臣 | 基本方針 |
| 都道府県 | 医療計画 |
国が全国共通の方針を示し、都道府県が地域の実情に応じて中身を作る、という2段構えです。ここは「市町村は、基本方針に即し、地域の実情に応じ、医療計画を定める」という誤りの選択肢で出題されたことがあります。医療計画を定めるのは都道府県、と即答できるようにしておいてください。
基本方針(厚生労働大臣)
厚生労働大臣が定める基本方針には、次のような事項が含まれます。
- 医療提供体制の確保のための施策の基本
- 医療提供施設相互間の機能の分担・業務の連携に関すること
- 医療従事者の確保に関すること など
「機能の分担と業務の連携」は、第1回で見た医療法の目的(4つの柱)にも出てきた言葉です。目的に掲げたことを、基本方針と医療計画で実際に落とし込んでいく、という流れになっています。
医療計画(都道府県)
都道府県は、基本方針に即して、かつ地域の実情に応じて医療計画を定めます。計画項目としては次のようなものがあります。
- 医療連携体制における医療提供施設の機能の情報提供の推進
- 居宅等における医療の確保
- 医療圏の設定
- 基準病床数
- 医療従事者の確保に関する事項
1つめの「情報提供の推進」も、目的の4つの柱にあった「患者が医療機関を適切に選べるようにする」の具体化です。診療科・診療時間・設備(MRIがあるかなど)といった情報を公開させる、というイメージで捉えてください。
医療従事者の確保に関する事項が医療計画に含まれるという点は、第111回でそのまま正しい選択肢として出題されています。一方で「地域の人口に応じた薬局数が定められている」といった選択肢は誤りです。医療計画は病床数を設計するものであって、薬局数を割り当てるものではありません。
医療圏 ─ 1次・2次・3次
医療計画の中でも、国試でいちばん問われるのが医療圏です。考え方はシンプルで、患者の生活圏の中で、なるべく医療が完結するようにしたいというものです。

| 医療圏 | 単位 | 中心になる病院 |
|---|---|---|
| 一次医療圏 | 市町村レベル(かかりつけ医) | ― |
| 二次医療圏 | 広域市町村レベル。日常の行動範囲などを考慮して設定 | 地域医療支援病院 |
| 三次医療圏 | 都道府県の区域を単位に設定 | 特定機能病院 |
図のとおり、大きな三次医療圏の中に、二次医療圏がいくつも入っている入れ子構造です。日常の入院医療は二次医療圏で完結させ、そこでは対応できない高度な医療が必要になったときに三次医療圏へ、という流れになります。
国試的に一番大事なのは、二次医療圏の定義です。第111回では「二次医療圏とは、特殊な医療を除く入院医療を提供する地域的単位である」が正しい選択肢として出題されました。「特殊な医療を除く」という限定がついているのがポイントで、その特殊な医療を引き受けるのが三次医療圏です。
参考: 医療法施行規則の上では、二次医療圏が第一号区域、三次医療圏が第二号区域と呼ばれています。過去15年の国試では「号区域」という表現で問われたことはないので、余力があれば、という程度で構いません。
基準病床数
医療圏が決まると、その医療圏ごとに「病床はこれくらい必要だ」という基準病床数を設定できるようになります。実際の病床数が基準に足りなければ増やす方向に、多ければ抑える方向に働く、というコントロールの土台です。
医療圏の設定が先、基準病床数はその上に乗るという順番を押さえておくと、流れとして理解できます。
病床機能報告制度
最後が病床機能報告制度です。これは、病院・有床診療所が都道府県知事に病床の機能を報告する仕組みです。
報告する機能の区分は次の4つです。
- 高度急性期
- 急性期
- 回復期
- 慢性期
報告を受けることで、都道府県は「この二次医療圏には高度急性期が何床、急性期が何床あるのか」を把握できます。そのデータをもとに基準病床数と突き合わせ、足りない機能を増やす判断ができるようになる、という位置づけです。
報告先は都道府県知事である点と、4つの区分を押さえておいてください。
まとめ
- 厚生労働大臣が基本方針、都道府県が医療計画。市町村ではない
- 基本方針の内容は、施策の基本・機能の分担と業務の連携・医療従事者の確保など
- 医療計画の項目は、情報提供の推進・居宅等における医療の確保・医療圏の設定・基準病床数・医療従事者の確保。薬局数は定められていない
- 医療圏は、一次=かかりつけ医、二次=広域市町村レベル(地域医療支援病院が中心)、三次=都道府県単位(特定機能病院が中心)
- 二次医療圏は「特殊な医療を除く入院医療を提供する地域的単位」
- 基準病床数は医療圏ごとに設定され、病床機能報告制度(高度急性期・急性期・回復期・慢性期を都道府県知事へ報告)がその判断材料になる
これで医療法は終わりです。次は法規で最大のボリュームを持つ薬機法とは?国試対策のための全体像・学習の順番ガイドに進みます。ここからが法規の本丸です。
法規を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。
法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。