薬局の次は、医薬品・医療機器の販売等です。薬局から少しだけ川上に上がって、ドラッグストアや卸売業者の世界に入っていきます。
扱うのは3つです。①医薬品の販売業(3種類)、②医療機器の販売業、③その他(医薬部外品・化粧品)。それぞれ「許可が要るのか、届出でいいのか、何も要らないのか」という軸で整理すると、頭の中がすっきりします。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
マインドマップで見る「医薬品、医療機器の販売等」

まず全体の位置関係を見ておく
この記事で扱う販売業が、流通全体のどこにいるのかを図で確認しておきます。

右側の緑の部分、卸売販売業から先が今回の範囲です。左側の製造業・製造販売業は、この次の記事から扱います。
医薬品の販売業 ── 基本ルール
条文の原則はこうです。
原則として、薬局開設許可を受けた者、又は医薬品販売業の許可を受けた者でなければ、業として医薬品を販売し、又は授与してはならない
ここから導かれる大事な結論が1つ。
薬局開設許可があれば、医薬品販売業の許可は不要
薬局はすでに許可を取っているので、その中でOTC医薬品を売るために改めて販売業の許可を取る必要はありません。
医薬品の販売業は3種類
| 種類 | ざっくり言うと |
|---|---|
| 店舗販売業 | ドラッグストアなど |
| 配置販売業 | 置き薬 |
| 卸売販売業 | 卸 |
そして、3種類とも都道府県知事が許可を与え、6年ごとに更新です。薬局開設許可と同じ、販売系は6年のルールがここでも効いています。
店舗販売業
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 販売品目 | 要指導医薬品・一般用医薬品を店舗で販売できる |
| 管理者 | 店舗管理者(薬剤師又は登録販売者) |
| 特定販売(ネット販売) | 可。ただし要指導医薬品は不可 |
ネット販売のときの注意点がもう1つあります。第一類医薬品は、薬剤師が勤務しているときのみ販売可能です。
そして、店舗販売業が絶対に扱えないものがあります。薬局医薬品(医療用医薬品・薬局製造販売医薬品)です。第104回の必須問題では「店舗販売業において販売できないのはどれか」が出題され、答えは処方箋医薬品でした。要指導医薬品・第一類〜第三類医薬品は売れるけれど、処方箋医薬品は売れない。調剤をしない店舗販売業には、医療用医薬品は流れないという整理です。
陳列のルールは医薬品の分類の記事で扱ったとおりで、第1類・第2類・第3類の区別で陳列、指定第二類は情報提供カウンターから7m以内、第一類は購入者が直接手に触れられない場所に置きます。
配置販売業
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 販売品目 | 経年変化しにくい一般用医薬品を、配置により販売できる |
| 要指導医薬品 | 販売不可 |
いわゆる置き薬です。薬箱を利用者の家に置いておき、使った分だけ後から代金を払ってもらう、という販売形式。薬が家に置かれたまま時間が経つので、経年変化しにくいものに限られます。
要指導医薬品が扱えない理由も明快です。要指導医薬品は薬剤師が対面で指導しなければならないのに、配置販売では薬箱を置いてくるだけで指導ができません。だから不可。「要指導だから指導が要る、置き薬では指導できない」とつなげて覚えてください。
卸売販売業
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 販売先 | 薬局開設者等(病院・診療所、他の販売業者など) |
| 小売販売 | 禁止。一般の消費者には直接販売できない |
| 管理者 | 医薬品営業所管理者は原則薬剤師 |
第101回の必須問題では「専ら薬局開設者等に医薬品を販売するのはどれか」がそのまま出題され、答えは卸売販売業でした。
卸売販売業には、もう1つ大事な制限があります。相手が売れるものしか売ってはいけない、というルールです。たとえば店舗販売業に医療用医薬品を卸すことはできません。店舗販売業は医療用医薬品を扱えないのだから、そこへ卸すのもダメ、という当たり前の話です。制限を個別に暗記するより、この一文で理解しておくほうが応用が利きます。
薬局(復習)
薬局は薬局開設許可があれば医薬品を販売できる、そして6年ごとの更新でした。
医療機器の販売業
医療機器は、総則の記事で見たリスク分類と特定保守管理医療機器の2軸が、そのまま規制に効いてきます。
| 対象 | 必要な手続き |
|---|---|
| 高度管理医療機器、特定保守管理医療機器 | 販売業・貸与業の許可(販売系なので6年ごとに更新) |
| 管理医療機器 | 届出でOK |
| 一般医療機器 | 規制なし |
ここで思い出してほしいのが、特定保守管理医療機器はリスク分類とは別の軸だという話です。管理医療機器の中にも、一般医療機器の中にも特定保守管理医療機器はあります。一般医療機器だから規制なし、と即断すると間違えるのはこのためです。メンテナンスが必要なものは、リスク分類が低くても許可が必要になります。
そして薬局に関する例外がもう1つ。管理医療機器は、薬局開設者であれば届出不要です。薬局開設許可を受けた時点で届出をしたものとみなされます。だから薬局は管理医療機器を売ることができます。
その他の販売(医薬部外品・化粧品)
手続き不要。誰でも売れます。
総則の記事で見たとおり、医薬部外品・化粧品は人体に対する作用が緩和なものなので、販売にあたって許可も届出もいりません。第111回でも「医薬部外品を店舗で販売するには販売業の届出が必要である」が誤りの選択肢として出ています。
まとめ
- 薬局開設許可があれば、医薬品販売業の許可は不要
- 医薬品の販売業は店舗販売業・配置販売業・卸売販売業の3種類。都道府県知事が許可、6年ごとに更新
- 店舗販売業:要指導医薬品・一般用医薬品を販売。管理者は薬剤師又は登録販売者。ネット販売可(要指導は不可)、第一類は薬剤師の勤務時のみ。処方箋医薬品は販売できない
- 配置販売業:経年変化しにくい一般用医薬品のみ。要指導医薬品は不可(指導ができないため)
- 卸売販売業:販売先は薬局開設者等で小売販売は禁止。管理者は原則薬剤師。相手が売れるものしか売れない
- 医療機器は、高度管理・特定保守管理=許可(6年)、管理=届出(薬局開設者は届出不要)、一般=規制なし
- 医薬部外品・化粧品は手続き不要
次は製造販売承認とは?承認と届出の違い・承認拒否事由・審査プロセスを整理です。いよいよ川上、製薬企業側の話に入っていきます。
動画で学びたい人へ
この内容は、YouTubeの講義動画でも解説しています。該当箇所から再生されます。
法規を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。
法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。