販売業まで来たので、ここからさらに川上、製薬企業の側に入ります。
このパートには製造販売業・製造業・製造販売承認という、似た名前が3つ並んで出てきます。ここで混乱する人がとても多いので、まず3つの関係をはっきりさせてから、この記事では製造販売承認を扱います。製造販売業許可と製造業許可は、続く2本の記事で1つずつ整理します。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
マインドマップで見る「製造販売業・製造業・製造販売承認」

右が製造販売業、中央下が製造業、左が製造販売の承認等です。この記事は左側を扱います。
まず、3つの関係を押さえる

図の左端から読んでください。
- 製造販売業者は、イメージとしては製薬メーカーです。自社で工場を持つこともありますが、製造業者に委託して薬を作ってもらうこともあります
- 製造業者は、実際に薬を作る工場です
- 薬の流れは、製造業者 → 製造販売業者 → 卸売販売業者 → 薬局・医療機関・店舗販売業など → 患者
そして、必要になる許可・承認は次のように対応しています。
| 誰が/何が | 必要なもの |
|---|---|
| 会社(製薬メーカー) | 製造販売業許可 |
| 製造所(工場) | 区分ごとに製造業許可 |
| 薬(品目) | 製造販売承認 |
「会社に業許可、工場に業許可、薬に承認」。この3点セットが揃ってはじめて、薬を世に出せます。
「製造販売」とは何か
用語そのものの定義も押さえておきましょう。
製造販売とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品を製造し、又は輸入した者が、その製品を市場に出荷し、販売等を行うこと
分かりにくい言葉ですが、要するに自社の製品を市場に供給することです。日常語の「製造して販売する」とはズレるので、そこだけ切り替えてください。
製造販売承認とは
医薬品等の品質、有効性及び安全性の審査を経て、品目ごとの製造販売を法律上認めること
ポイントは2つです。
- 品目ごと(個別の薬ごと)に受ける
- 厚生労働大臣の承認である
そしてここが業許可との決定的な違いなのですが、
業許可には更新(有効期間)があるが、製造販売承認には有効期間がない
例外は再生医療等製品の条件及び期限付き承認だけです。「許可は更新、承認は一度きり」と覚えておくと、数字の暗記がぐっと減ります。
承認が要るもの、届出でいいもの
| 対象 | |
|---|---|
| 承認 | 医薬品・医薬部外品(原則) 再生医療等製品(原則) 高度管理医療機器・管理医療機器 |
| 届出 | 化粧品(原則)、一般医療機器 |
医療機器がリスク分類で分かれているのが面白いところです。高度管理・管理は承認、一般は届出。リスクの高いものほど厳しい、という当たり前の構造になっています。
再生医療等製品の条件・期限付き承認
再生医療等製品には、条件及び期限を付した承認という特別な仕組みがあります。これは「ほぼ有効と考えられるけれど、患者数が少ない・データが十分でない」といった場合に、条件と期限を付けていったん承認する制度です。
第105回の必須問題では「法律において、条件及び期限付き承認の仕組みが規定されているのはどれか」が出題されました。答えは再生医療等製品です。この制度は再生医療等製品だけ、と覚えてください。
承認拒否事由
承認されない理由は、1つでも当てはまればアウトです。大きく「体制の話」と「薬そのものの話」に分かれます。
体制の話
- 製造販売業の許可を受けていない
- 製造所が、申請品目の製造業許可を受けていない
- 製造所における製造管理・品質管理の方法が、GMPに適合していない
会社が業許可を持っていない、工場が業許可を持っていない、という段階でそもそも土俵に上がれません。3つ目のGMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)が、ここに出てくる点は要チェックです。
薬そのものの話(3つの基準)
| 基準 | 拒否されるケース |
|---|---|
| 有効性の基準 | 申請した効能・効果を有すると認められないとき |
| 安全性の基準 | 効能・効果に比して著しく有害な作用を有し、使用価値がないと認められるとき |
| 品質等の基準 | 性状又は品質が保健衛生上著しく不適当なとき |
有効性・安全性・品質の3つ。総則で見た法の目的(品質・有効性・安全性の確保)が、ここでそのまま基準になっています。
第108回では「医薬品の製造販売の承認拒否事由に該当するのはどれか」が出題され、正解は「申請者である企業が製造販売業の許可を受けていないとき」と「申請に係る医薬品が効能又は効果を有すると認められないとき」の2つでした。
このとき、誤りの選択肢にうまい引っかけが仕込まれています。
申請に係る医薬品の製造所における製造管理又は品質管理の方法が、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」に適合していると認められないとき
「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」はGCPです。製造所の製造管理・品質管理は「GMP」。ここを入れ替えるのが定番の出題パターンなので、GxPの略語は正式名称とセットで覚えておいてください。
また第105回では「承認拒否事由として適切でないのはどれか」が出題され、答えは「効能・効果に比して著しく高価格であるとき」でした。値段は承認の審査対象ではありません。(価格は薬価基準制度の話で、社会保障制度のパートで扱います。)
審査のプロセス
新医薬品の承認審査は、次のように進みます。

- 申請者(製薬メーカーなど)が、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に承認申請する
- PMDAと申請者の間で照会・回答のやりとりが行われる
- PMDAが厚生労働省に審査報告を上げる
- 厚生労働省が薬事審議会の意見を聴く
- 厚生労働大臣が承認する
実際に審査を回しているのはPMDA、承認するのは厚生労働大臣。この役割分担を押さえてください。
薬事審議会の意見聴取
厚生労働大臣は、承認申請された医薬品等が、既に承認されている医薬品等と有効成分・分量・用法・用量・効能・効果等が明らかに異なるときは、あらかじめ薬事審議会の意見を聴かなければならない
この薬事審議会は、2024年(令和6年)4月1日に「薬事・食品衛生審議会」から改称されたものです。第109回までの過去問は旧名称で出題されているので、古い問題集を解くときは読み替えてください(詳しくは薬機法の総則の指定薬物の項にまとめてあります)。
「明らかに異なる」=既存の薬と違う新しいもの、ということです。新しいものほど専門家の意見を聴く、という自然な話なので、条文の形で覚えるより理屈で押さえたほうが楽だと思います。
優先審査
厚生労働大臣が特に必要性が高いと認める医薬品等(希少疾病用医薬品など)は、他の医薬品等より優先的に審査することができる
希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)が代表例です。総則で見た法の目的の3本柱のうち、③研究開発の促進に必要な措置が具体化されたもの、という位置づけになります。
なお近年は、特定用途医薬品という区分も出題されています。第109回では特定用途医薬品の指定要件が問われ、正解は「その用途に関し、特に優れた使用価値を有すること」と「厚生労働大臣が指定する区分に属する疾病の治療等であって、その用途に係る需要が著しく充足されていないと認められる物であること」でした。患者数の要件(5万人未満)は希少疾病用医薬品のほうの話なので、混ぜないよう注意してください。
まとめ
- 会社に製造販売業許可、工場に製造業許可、薬に製造販売承認。3点セット
- 製造販売=自社の製品を市場に供給すること
- 製造販売承認は品目ごとに厚生労働大臣が与える。業許可と違って有効期間はない(再生医療等製品の条件・期限付き承認を除く)
- 承認:医薬品・医薬部外品・再生医療等製品・高度管理医療機器・管理医療機器/届出:化粧品・一般医療機器
- 条件及び期限付き承認は再生医療等製品だけ
- 承認拒否事由は、製造販売業許可なし/製造業許可なし/GMP不適合と、有効性・安全性・品質等の3基準。GCPとの入れ替えに注意。価格は審査対象外
- 審査はPMDAが実施し、厚生労働大臣が承認。既承認品と明らかに異なるときは薬事審議会の意見を聴く(2024年4月に薬事・食品衛生審議会から改称)
- 希少疾病用医薬品などは優先審査
次は製造販売業許可の種類とGQP・GVP・QMS基準です。承認を受ける前提になる、会社側の許可の話に進みます。
動画で学びたい人へ
この内容は、YouTubeの講義動画でも解説しています。該当箇所から再生されます。
法規を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。
法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。