医薬品医療機器等法(薬機法)

製造販売業許可の種類とGQP・GVP・QMS基準【薬剤師国家試験】

前の記事で、薬を世に出すには会社の許可・工場の許可・薬の承認の3点セットが要る、という話をしました。この記事ではそのうちの会社の許可=製造販売業許可を扱います。

ここは許可の種類・有効期間・基準・責任者と覚えることが多いパートですが、「製造販売業はもともと製造業から派生した制度である」という1点を最初に押さえておくと、数字もルールもかなり素直に入ってきます。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。

マインドマップで見る「製造販売業許可」

薬機法 製造販売業許可のマインドマップ(定義と経緯・医薬品医薬部外品化粧品・医療機器及び体外診断用医薬品)
薬機法 製造販売業許可のマインドマップ(定義と経緯・医薬品医薬部外品化粧品・医療機器及び体外診断用医薬品)

右が医薬品・医薬部外品・化粧品、左が医療機器及び体外診断用医薬品、下が定義と経緯です。この2つの系統は基準も更新も少しずつ違うので、分けて見ていきます。

なぜ「製造販売業」という業種ができたのか

製造販売業は、2005年にできた比較的新しい制度です。

それ以前は製造業しかありませんでした。製造業者が製造の承認を取り、そのまま販売も担っていたのですが、この形だと市販後の責任の所在があいまいになります。副作用が出たとき、誰が情報を集めて、誰が回収を判断するのか。そこがはっきりしない。

そこで市販後の責任を重視して、「市場に出す責任を負う業種」として製造販売業が切り出されました。

この経緯から、次のことが素直に理解できます。

  • 製造販売業は製造業から派生したので、有効期間も製造業と同じ5年
  • 許可の基準に製造販売後安全管理の基準(GVP)が入ってくるのも、市販後の責任を負う業種だから

製造販売とは

製造販売とは、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品を製造し、又は輸入した者が、その製品を市場に出荷し、販売等を行うこと

前の記事と同じ定義ですが、自社の製品を市場に供給することという理解で大丈夫です。

医薬品・医薬部外品・化粧品の製造販売業許可

許可の種類と有効期間

医薬品等の種類と製造販売業許可の種類・有効期間の一覧表(処方箋医薬品は第1種5年、処方箋医薬品以外は第2種5年、薬局製造販売医薬品は6年、医薬部外品・化粧品は5年)
医薬品等の種類と製造販売業許可の種類・有効期間の一覧表(処方箋医薬品は第1種5年、処方箋医薬品以外は第2種5年、薬局製造販売医薬品は6年、医薬部外品・化粧品は5年)
医薬品等の種類 許可の種類 有効期間
処方箋医薬品 第1種医薬品製造販売業許可 5年
処方箋医薬品以外の医薬品(薬局製造販売医薬品及び体外診断用医薬品を除く) 第2種医薬品製造販売業許可 5年
薬局製造販売医薬品 薬局製造販売医薬品の製造販売に係る許可 6年
医薬部外品 医薬部外品製造販売業許可 5年
化粧品 化粧品製造販売業許可 5年

基本は5年。例外は薬局製造販売医薬品の6年だけです。

なぜ薬局製造販売医薬品だけ6年なのか。薬局の開設許可が6年ごとの更新だからです。薬局は薬局製造販売医薬品を作っていますが、開設許可が6年、製造販売の許可が5年だと、更新のタイミングがどんどんズレていきます。それではさすがに大変なので、薬局に合わせて6年にしている、という話です。理由まで押さえれば忘れません。

みなし規定は「ない」

第1種医薬品製造販売業許可を持っていても、処方箋医薬品以外の医薬品を製造販売することはできません。 これをみなし規定がないと言います。

「上位の許可を持っていれば下位もカバーされる」というルールが、医薬品にはない。ここが医療機器との最大の違いです(医療機器にはあります。後述)。

第100回では「第一種医薬品製造販売業の許可を受ければ、すべての医療用医薬品を製造販売することができる」が誤りの選択肢として出題されています。一方、第106回では「第一種医薬品製造販売業の許可を受ければ、処方箋医薬品の製造販売を行うことができる」が正しい記述として出ています。第1種=処方箋医薬品まで。それ以外までは広がらない。

許可の基準 ── GQPとGVP

次のいずれかに適合しないときは、許可を与えないことができます。

基準 正式名称
GQP 品質管理の基準(Good Quality Practice)
GVP 製造販売後安全管理の基準(Good Vigilance Practice)

GQPは品質、GVPは市販後の安全。製造販売業は「市場に出す責任」を負う業種なので、この2つがセットで要求されます。

総括製造販売責任者と製造販売三役

製造販売業者は、総括製造販売責任者を置かなければなりません。

総括製造販売責任者・安全管理統括部門(安全管理責任者・GVP)・品質保証部門(品質保証責任者・GQP)の関係図
総括製造販売責任者・安全管理統括部門(安全管理責任者・GVP)・品質保証部門(品質保証責任者・GQP)の関係図

いわゆる製造販売三役の関係です。

役職 所属部門 担当する基準
総括製造販売責任者 全体を統括 ―
安全管理責任者 安全管理統括部門 GVP
品質保証責任者 品質保証部門 GQP

許可の基準がGQPとGVPなのだから、それぞれを担当する責任者がいて、その2人を束ねるのが総括製造販売責任者、という構造です。基準と組織がそのまま対応しているので、図ごと覚えてしまうのが早いと思います。

そして薬剤師国家試験的に一番大事なのが、

医薬品の製造販売業では、総括製造販売責任者は原則として薬剤師

という点です。

総括製造販売責任者は頻出で、直近2年でも出題されています。

第111回では「正しいのはどれか」が問われ、正解は「医薬品の品質管理及び製造販売後安全管理に関する業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有する者でなければならない」と「医薬品の品質管理を公正かつ適正に行うために必要があるときは、製造販売業者に対し、意見を書面により述べなければならない」の2つでした。

誤りの選択肢には、

  • 設置について厚生労働大臣の承認を受けなければならない
  • 品目ごとに設置しなければならない
  • 製造所に勤務する従業者を監督し、製造所の構造設備及び物品を管理しなければならない

が並んでいます。3つ目は製造管理者(製造業側)の役割を持ってきた引っかけです。総括製造販売責任者は会社側、製造管理者は工場側。この区別を意識してください。

第102回では「誤っているのはどれか」として「厚生労働大臣が指定する医薬品を製造する場合に置かなければならない」「選任にあたり必要とされる資格要件はない」が出題されました。指定医薬品のときだけ置くものではないし、資格要件はある(医薬品では原則薬剤師)ということです。

なお、意見を書面により述べるというフレーズは、薬局の管理者の義務にも出てきました。「責任者は書面で意見を述べる」は法規全体で繰り返し出るパターンなので、まとめて覚えておくと得です。

医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売業許可

許可の種類と有効期間

医療機器等の種類と製造販売業許可の種類・有効期間の一覧表(高度管理は第1種、管理は第2種、一般は第3種、体外診断用医薬品、いずれも5年)
医療機器等の種類と製造販売業許可の種類・有効期間の一覧表(高度管理は第1種、管理は第2種、一般は第3種、体外診断用医薬品、いずれも5年)
医療機器等の種類 許可の種類 有効期間
高度管理医療機器 第1種医療機器製造販売業許可 5年
管理医療機器 第2種医療機器製造販売業許可 5年
一般医療機器 第3種医療機器製造販売業許可 5年
体外診断用医薬品 体外診断用医薬品製造販売業許可 5年

全部5年です。こちらには6年の例外がありません。

みなし規定は「ある」

医療機器では、上位の許可を持っていれば下位もカバーされます。

第1種医療機器製造販売業許可を受けていれば、第2種・第3種の対象(管理医療機器・一般医療機器)も製造販売できる

リスク分類が一番高い高度管理医療機器の許可が一番厳しいのだから、それを通っていれば下位も大丈夫、という素直な発想です。

医薬品にはみなし規定がなく、医療機器にはある。 ここは対比で問われやすいところなので、セットで覚えてください。

許可の基準 ── QMS体制とGVP

医療機器側では、GQPの位置にQMSが入ります。

基準 内容
QMS体制 品質管理監督システム(Quality Management System)。医療機器における品質管理の基準
GVP 製造販売後安全管理の基準。こちらは医薬品と共通

医薬品はGQP+GVP、医療機器はQMS体制+GVP。 変わるのは品質側だけで、安全管理側は共通です。

まとめ

  • 製造販売業は2005年に、市販後の責任を明確にするため製造業から派生してできた制度。だから有効期間も製造業と同じ5年
  • 医薬品等の許可は第1種(処方箋医薬品)・第2種(処方箋医薬品以外)など。有効期間は原則5年、薬局製造販売医薬品だけ6年(薬局の開設許可6年に合わせるため)
  • 医薬品にみなし規定はない。第1種を持っていても処方箋医薬品以外は作れない
  • 許可の基準はGQP(品質管理)とGVP(製造販売後安全管理)
  • 総括製造販売責任者は製造販売業者が設置。医薬品では原則薬剤師。下に品質保証責任者(GQP)と安全管理責任者(GVP)がいて、あわせて製造販売三役
  • 総括製造販売責任者は必要があるときは製造販売業者に書面で意見を述べる。製造管理者(工場側)と混同しない
  • 医療機器は第1種〜第3種、すべて5年。みなし規定はある。基準はQMS体制(品質管理監督システム)+GVP

次は製造業許可の基本(外国製造業者の認定・原薬等登録原簿)です。会社の次は、実際に薬を作る工場側の話に進みます。

動画で学びたい人へ

この内容は、YouTubeの講義動画でも解説しています。該当箇所から再生されます。

法規を、1枚の地図として頭に入れませんか

この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。

解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。

法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。

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