前回の「治験の準備に関する基準」は、治験が始まる前に治験依頼者がやっておくことでした。今回の「治験の管理に関する基準」は、治験が動いている間に治験依頼者がやらなければならないことです。主役は引き続き治験依頼者のままで、時間軸だけが「準備中」から「実施中」に移る、とイメージしてください。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
マインドマップで見る「治験の管理に関する基準」

治験薬の表示:書いてはいけない3つがカギ
治験薬に関するルールは、前回の「事前交付禁止」と並んで国家試験の頻出ポイントです。治験薬の容器または被包について、書いてはいけないことと書かなければならないことの両方が決まっています。
記載してはいけない3つ
- 予定される販売名
- 予定される効能または効果
- 予定される用法または用量
3つとも「予定される」で始まるのが特徴です。治験はまだ有効性も安全性も確定していない段階なので、あたかも製品として決まっているかのような情報を書いてはいけない、という趣旨です。
記載しなければならないこと
- 治験用である旨
- 化学名または識別記号 など
試験で問われやすいのは化学名または識別記号、次いで治験用である旨です。「書いてはいけない3つ」と「書かなければならないもの」を、セットで整理しておきましょう。
| 治験薬の表示 | 内容 |
|---|---|
| 記載してはいけない | 予定される販売名/予定される効能・効果/予定される用法・用量 |
| 記載しなければならない | 治験用である旨/化学名または識別記号 など |
モニタリングの実施
治験依頼者はモニター(CRA、モニタリング担当者)を指名し、治験が適切に行われているかを監視させなければなりません。
モニターは、治験がGCP省令または治験実施計画書に従っていないことを確認した場合は、治験責任医師に告げなければならない。
「気づいたら黙っていてはいけない」という義務規定です。誰に告げるのか(治験責任医師)まで含めて覚えておくと、選択肢の言い換えに対応できます。
監査の実施
治験依頼者は、必要に応じて監査担当者を指名し、治験の品質を監査させます。ここでのポイントは1つだけです。
監査担当者は、モニタリングを担当する部門に属してはならない。
理由はシンプルで、自分たちがやった仕事を自分たちでチェックしたら、客観的な評価にならないからです。国家試験では「モニタリング担当者が当該治験の監査を実施した」という形で誤りの選択肢が出たことがあります。モニタリングと監査は別の人がやる、と覚えてください。
記録の保存等:「いちばん遅い日」まで
治験依頼者は、治験に関する記録を適切に保存しなければなりません。保存期間の決め方が独特なので、ここも出題ポイントです。
次のうちいちばん遅い日まで保存する。
- 製造販売承認を受ける日
- 治験の中止または終了の後3年を経過した日
「3年」という数字だけを覚えていると、「承認を受ける日」のほうが後になるケースで間違えます。2つを比べて遅いほうという決まり方であることを、そのまま押さえておきましょう。
「準備」と「管理」の対比で覚える
ここまでで、治験依頼者の義務が2つの時期に分かれて整理できました。
| 時期 | 基準 | 治験依頼者がやること |
|---|---|---|
| 治験が始まる前 | 治験の準備に関する基準 | 業務手順書等/毒性試験等の実施/実施医療機関・治験責任医師の選定/治験薬概要書/治験実施計画書/治験薬の事前交付禁止 |
| 治験の実施中 | 治験の管理に関する基準 | 治験薬の表示/モニタリングの実施/監査の実施/記録の保存 |
どちらも治験依頼者の義務なので、混ざりやすいところです。「文書を作るのが準備」「動いているものを見張るのが管理」というイメージを持っておくと、迷ったときに切り分けられます。
まとめ
- 治験薬の表示で記載してはいけないのは「予定される販売名・効能効果・用法用量」の3つ
- 記載しなければならないのは治験用である旨と化学名または識別記号など
- モニターは、GCP省令や治験実施計画書に従っていないことを確認したら治験責任医師に告げる
- 監査担当者はモニタリングを担当する部門に属してはならない
- 記録の保存は「製造販売承認を受ける日」と「治験の中止・終了後3年を経過した日」のいちばん遅い日まで
次は治験実施医療機関の基準と治験関係者(CRO・SMO・CRC・IRB)の役割整理を読んでみてください。ここまでの治験依頼者側から、いよいよ医療機関側に視点が移ります。
法規を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。
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