医薬品医療機器等法(薬機法)

GCP省令「治験の準備に関する基準」を整理(治験薬概要書・事前交付禁止)【薬剤師国家試験】

GCP省令は時系列で「準備」「管理」「実施」の3つに分かれている、という話を前回のハブ記事でしました。ここからはその中身を1つずつ見ていきます。最初は「治験の準備に関する基準」です。ここはまだ治験が始まっていない段階の話で、やるべきことはすべて治験依頼者(製薬会社など)に課されています。「誰が・いつ」という視点を持ったまま読み進めてください。

この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。

マインドマップで見る「治験の準備に関する基準」

GCP省令の全体像マインドマップ(治験の準備に関する基準・治験の管理に関する基準・治験を行う基準)
GCP省令の全体像マインドマップ(治験の準備に関する基準・治験の管理に関する基準・治験を行う基準)

その前に:治験の計画は届出から30日待つ

GCP省令に入る前に、薬機法本体に書かれているルールを1つ確認しておきましょう。

治験の計画を厚生労働大臣に届け出た日から起算して30日を経過した後でなければ、治験を依頼し、又は自ら治験を実施してはならない。

つまり、届け出たその日からすぐに治験を始めることはできません。国家試験では「届出の日から直ちに治験を依頼することができる」という形で誤りの選択肢が作られます。30日という数字はそのまま覚えてしまってください。

「治験の準備に関する基準」は誰のためのルールか

ここで定められているのは、治験依頼者が治験を始める前にやっておかなければならないことです。以下、国家試験に出やすいものだけを順に見ていきます。法令にはもっとたくさんの規定がありますが、試験対策としてはこの6つを押さえれば十分です。

①業務手順書等の作成

治験依頼者は、治験の依頼及び管理に係る業務に関する手順書を作成しなければなりません。これは「治験薬概要書や治験実施計画書をどういう手順で作るか」をあらかじめ決めておく文書、というイメージです。

あわせて、この項では医師・薬剤師などの専門家を確保しておくことも求められています。

②毒性試験等の実施

これは前回までに学んだ非臨床試験をきちんと終わらせておいてね、という規定です。条文の中身を見ると、

被験薬の品質・毒性・薬理作用に関する試験、その他治験を依頼するために必要な試験を終わらせておくこと

となっています。動物実験レベルの安全性が確認できていないのに人に投与するわけにはいかない、という当たり前の話ですが、GCP省令の中にきちんと書かれているという点が大事です。

③治験実施医療機関・治験責任医師の選定

どこの医療機関で、どの医師に治験をお願いするかを選ぶのも、治験依頼者の仕事です。医療機関の側から手を挙げる形ではない、という順番をイメージしておきましょう。

④治験薬概要書の作成

②の毒性試験等の結果や情報に基づいて、治験依頼者が治験薬概要書を作成します。記載事項のうち国家試験で問われるのは、ほぼここだけです。

  • 被験薬の化学名または識別記号

そのほか、非臨床試験の結果や、すでに他で治験が行われていればその臨床試験の結果なども記載事項として定められていますが、出題頻度は高くありません。まずは「化学名または識別記号」を押さえてください。

⑤治験実施計画書の作成

治験をどのように行うかを記載した文書が治験実施計画書(プロトコル)です。治験の目的、観察項目、被験者の選択基準などが書かれています。これも作成するのは治験依頼者です。

⑥治験薬の事前交付禁止【最頻出】

ここが準備基準の中で一番よく出ます。

治験の契約を締結する前に、実施医療機関に治験薬を交付してはならない。

「契約が先、治験薬は後」という順番です。フライングで薬を渡しておくことはできません。短い規定ですが、国家試験ではそのまま問われるので、確実に得点したいところです。

国試ではこう問われる:「誰が作るのか」のすり替え

準備基準で作られる文書は治験薬概要書と治験実施計画書の2つですが、国家試験では「作る人」をすり替えた誤りの選択肢がよく登場します。実際に、

  • 「治験責任医師に治験実施計画書の作成を依頼した」
  • 「治験薬管理者に治験薬概要書の作成を依頼した」

といった形で出題されたことがあります。どちらも治験依頼者が作るものなので誤りです。治験責任医師や治験薬管理者は、このあと出てくる「治験を行う基準」(医療機関側)の登場人物で、準備段階の文書作成には関わりません。

準備段階でやること 担当
業務手順書等の作成 治験依頼者
毒性試験等(非臨床試験)の実施 治験依頼者
実施医療機関・治験責任医師の選定 治験依頼者
治験薬概要書の作成 治験依頼者
治験実施計画書の作成 治験依頼者
治験薬の交付 契約締結後でなければ不可

見てのとおり、準備段階は全部「治験依頼者」です。逆に言えば、ここに医療機関側の人が出てきたら、その選択肢は疑ってかかってよい、ということになります。

まとめ

  • 治験の計画は厚生労働大臣に届け出てから30日を経過しないと依頼・実施できない
  • 「治験の準備に関する基準」でやるべきことは、すべて治験依頼者の義務
  • 業務手順書等、毒性試験等の実施、実施医療機関・治験責任医師の選定、治験薬概要書、治験実施計画書の作成
  • 治験薬概要書の記載事項は被験薬の化学名または識別記号が最頻出
  • 治験薬の事前交付禁止(契約締結前に実施医療機関へ交付してはならない)は必ず得点する

次はGCP省令「治験の管理に関する基準」を整理(治験薬の表示・モニタリング・監査・記録の保存)を読んでみてください。

法規を、1枚の地図として頭に入れませんか

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-医薬品医療機器等法(薬機法)

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