前回の毒薬・劇薬に続いて、「医薬品等の取扱い」の後半です。今回は医薬品の容器に何を書かなければならないか(表示事項)と、2021年から本格的に切り替わった添付文書の電子化=注意事項等情報を扱います。表示事項は医薬品と医薬部外品で決まりが違うので、分けて考えましょう。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
マインドマップで見る「表示事項」

医薬品の表示事項(法第50条)
薬機法第50条は、直接の容器または直接の被包に記載しなければならない事項を定めています。国家試験に出やすいものだけを抜き出すと、次のとおりです。
①製造販売業者の氏名・名称・住所【最頻出】
ここは引っかけの定番です。書くのは製造販売業者であって、製造業者ではありません。
理由を理解しておくと間違えません。医薬品について最終的な責任を負うのは製造販売業者だからです。実際に工場で作っている製造業者ではなく、市場に出す責任主体の名前を書く、という発想です。
②製造番号または製造記号
いわゆるロット番号です。なお、容器が非常に小さい場合などには、記載を省略できる特例があります(この省略ができないケースが次回の生物由来製品で出てきます。ここは伏線として覚えておいてください)。
③日本薬局方の文字(局方品の場合)
日本薬局方に収載されている医薬品は、「日本薬局方」の文字を記載します。ただしアンプルのように記載面積が狭い場合は、「日局」や「JP」といった略号でもよいとされています。
局方に収載されていない医薬品の場合は、有効成分の名称およびその分量などを記載します。
④厚生労働大臣の指定する医薬品の使用期限
厚生労働大臣の指定する医薬品にあっては、その使用期限。
「指定する医薬品」とは、アスコルビン酸のように経年変化(品質の劣化)が起こりやすいものです。すべての医薬品に使用期限の記載義務があるわけではない、という点が意外と問われます。
⑤要指導医薬品・一般用医薬品のリスク区分表示
要指導医薬品と一般用医薬品は、リスク区分がひと目で分かるように表示します。

| 区分 | 表示 |
|---|---|
| 要指導医薬品 | 枠で囲んだ「要指導医薬品」 |
| 第一類医薬品 | 枠で囲んだ「第1類医薬品」 |
| 指定第二類医薬品 | 枠で囲んだ「第②類医薬品」または「第2類医薬品」(2を丸または四角で囲む) |
| 第二類医薬品 | 枠で囲んだ「第2類医薬品」 |
| 第三類医薬品 | 枠で囲んだ「第3類医薬品」 |
指定第二類医薬品の「2」は、丸で囲んでも四角で囲んでもよいとされています。意味の違いはなく、どちらかで表示すれば足ります。
リスク区分そのものの整理は医薬品の分類(要指導医薬品・一般用医薬品・医療用医薬品)を国試レベルで整理で扱っているので、あわせて確認してみてください。
注意事項等情報(添付文書の電子化)
2021年に大きな改正があったところです。ここは近年の国家試験でも繰り返し問われています。
注意事項等情報とは
用法用量その他使用および取扱い上の必要な注意など、もともと添付文書に書かれていた内容。
つまり、中身は従来の添付文書と同じです。名前と提供方法が変わりました。
なぜ変わったのか
医療用医薬品には、箱の中に紙の添付文書が同梱されていました。しかし同じ内容の紙が箱の数だけ入ることになり、資源の無駄が大きいうえ、改訂があっても手元の紙は古いままという問題がありました。そこで、電子的に最新版を参照できるようにする方針に切り替わったわけです。
医療用医薬品:容器等への符号の記載
(医療用)医薬品は、注意事項等情報を入手するために必要な番号・記号その他の符号を記載しなければならない。
具体的にはQRコードなどです。薬剤師がスマートフォンで読み取って最新の情報を確認する、という運用になりました。紙の添付文書は、原則として同梱されなくなっています。
あわせて、製造販売業者にはPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)のホームページで注意事項等情報を公表する義務があります。符号を読み取った先に最新の情報が必ずある、という仕組みを法律が担保している形です。第109回でもこの公表義務が問われています。
一般用医薬品・要指導医薬品:従来どおり紙媒体
一般用医薬品と要指導医薬品は、従来どおり紙の添付文書を同梱します。購入するのは一般の消費者で、その場ですぐ読める形になっていることが重要だからです。
| 区分 | 注意事項等情報の提供方法 |
|---|---|
| 医療用医薬品 | 容器等に符号(QRコード等)を記載。紙の添付文書は原則同梱しない。PMDAのホームページで公表 |
| 一般用医薬品・要指導医薬品 | 従来どおり紙媒体を同梱 |
ここは「医療用も一般用も電子化された」と思い込んでいると落とします。電子化されたのは医療用だけです。国家試験でも「要指導医薬品については、符号を記載した場合は紙の添付文書を同梱する必要はない」という誤りの選択肢が出題されています。
生物由来製品の特例
注意事項等情報については、生物由来製品にさらに上乗せの決まりがあります。これは次回の生物由来製品・特定生物由来製品の特例と再生医療等製品との比較でまとめて扱います。
医薬部外品の表示事項
医薬部外品は、正直なところ出題頻度は高くありません。書かなければならないのは次の文字です。
| 区分 | 表示 |
|---|---|
| 防除用医薬部外品 | 「防除用医薬部外品」の文字 |
| 指定医薬部外品 | 「指定医薬部外品」の文字 |
| 上記以外 | 「医薬部外品」の文字 |
「該当するものはその区分名、それ以外は単に医薬部外品」と覚えておけば十分です。
まとめ
- 容器に書くのは製造販売業者の氏名・名称・住所(製造業者ではない)
- 製造番号または製造記号、局方品は「日本薬局方」(狭ければ「日局」「JP」)
- 使用期限の記載義務があるのは厚生労働大臣が指定する医薬品(アスコルビン酸など)
- 要指導・一般用はリスク区分を枠で囲んで表示。指定第二類の2は丸でも四角でもよい
- 注意事項等情報=もともとの添付文書の内容。2021年改正
- 医療用医薬品は符号(QRコード等)を記載+PMDAで公表、一般用・要指導は紙媒体を同梱
次は生物由来製品・特定生物由来製品の特例と再生医療等製品との比較です。今回学んだ表示事項が土台になるので、続けて読むのがおすすめです。
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