薬剤師法の後半、業務のパートです。
このパートには、読む前に決めておくとよい軸があります。それは「例外があるか、ないか」です。マインドマップにもわざわざ「例外あるかないか」という枝が立ててあるくらい、ここが問われます。国試の引っかけはほとんどこの一点を突いてくるので、1項目読むごとに「これは例外あり?なし?」と自分に聞きながら進めてください。
記事の後半では、医師法を薬剤師法と比較しながら整理します。医師法は単体で覚えるより、薬剤師法と並べたほうが圧倒的に速いです。
この記事は、もともと解説授業の動画で話している内容を記事に起こしたものです。読むより耳から流し込みたい人は、解説授業のページに無料のサンプル動画があるので、先に雰囲気を確かめてみてください。
Contents
マインドマップで見る「薬剤師法(業務)」

左側が業務の枝です。中央に「例外あるかないか」と書いてあるのが、このパートの読み方そのものです。
先に結論 ─ 例外ありと例外なしの一覧
細かく見る前に、全体を1枚で押さえてしまいましょう。
| 項目 | 例外 |
|---|---|
| 調剤権(薬剤師でない者は調剤してはいけない) | あり |
| 調剤応需義務 | あり |
| 調剤の場所 | あり |
| 処方箋による調剤 | なし |
| 疑義照会義務 | なし |
| 情報提供・薬学的知見に基づく指導 | なし |
| 調剤録の作成・保存 | なし |
前半3つは例外あり、後半4つは例外なし。 この並びで頭に入れておくと、選択肢を見た瞬間に判断できるようになります。
例外があるもの
調剤権
原則として、薬剤師でない者は調剤してはいけません。薬剤師の業務独占にあたる、一番大事な条文です。
ただし、残念ながら例外があります。
医師、歯科医師、獣医師が、自己の処方箋を自ら調剤するとき。
患者(または看護にあたる者)が医師からの交付を希望した場合などが該当します。「調剤は薬剤師の独占業務」と丸暗記していると、この例外を落とします。
調剤応需義務
薬剤師は、正当な理由なく調剤を拒んではいけない。
これが調剤応需義務です。そして、これにも例外があります。正当な理由にあたるものとして、
- 薬剤師が不在のとき
- 処方医に疑義が確認できないとき
などが挙げられます。これらにあたる場合は、調剤しなくても構いません。「拒んではいけない」の裏に「正当な理由があれば別」が必ず付いてくる、と覚えてください。
調剤の場所
原則は薬局です。こちらにも例外があります。
| 例外 | 内容 |
|---|---|
| 病院等の調剤所 | 院内処方箋の調剤 |
| 災害等、特別な理由がある場合 | ― |
| 患者の居宅で一部OK | 比較的最近の改正で認められた |
最後の「患者の居宅」は一部というところが要注意です。何でもできるわけではありません。
- 監査…OK
- 疑義照会…OK
- 薬剤交付…OK
- 残薬調整…処方医の同意があればOK
残薬調整だけ条件が付いている、という点を落とさないようにしてください。
例外がないもの
ここからは例外なしです。そのぶん、条文をそのまま覚えて構いません。
処方箋による調剤
薬剤師は、医師等の処方箋によらなければ、調剤してはならない。
例外なしです。しっかり覚えましょう。
あわせて無断変更の禁止があります。
処方箋を交付した医師等の同意を得た場合を除き、変更して調剤してはならない。
変更してはいけない、ではなく「同意を得れば変更できる」という形である点に注意してください。
疑義照会義務
処方箋の内容に疑わしい点があれば、問い合わせて確認してからでなければ調剤してはいけません。これも例外なしで、実務上も国試でも非常に重要なところです。
情報提供・薬学的知見に基づく指導
必要な情報の提供と、薬学的知見に基づく指導。これも例外なしで行います。
調剤録
調剤録は作成し、3年間保存します。これも例外なしです。
書類まわりの細かいルール
調剤した薬剤の表示(薬袋)
薬袋に何を書くか。ここはよく出るので、5つそのまま覚えてください。
- 患者の氏名
- 用法・用量
- 調剤年月日
- 調剤した薬剤師の氏名
- 調剤した薬局または医療機関等の名称・所在地
「患者・用法用量・日付・薬剤師・場所」と、5つのリズムで口に出して覚えるのがおすすめです。
処方箋への記入等
記入事項はいろいろありますが、押さえるべきはこの2つです。
- 調剤済みの旨
- 調剤済みにならなかったときは、その調剤量
保存期間は「3年・3年」
| 書類 | 保存する人 | 期間 |
|---|---|---|
| 調剤済み処方箋 | 薬局開設者 | 3年間 |
| 調剤録 | ― | 3年間 |
3年・3年とセットで覚えてしまいましょう。法規では後々、法律ごとに異なる保存期間が次々出てきます。まずは薬剤師法の「3年」を基準にしておくと、ほかの法律との違いが際立って覚えやすくなります。
医師法を薬剤師法と比較して覚える
医師法も薬剤師法と同じ身分法です。薬剤師国家試験なので、医師法を単体で追いかけるのではなく、薬剤師法と比較しながら関係するところだけ押さえるのがコツです。
任務 ─ 文言は薬剤師法と同じ
医師法の任務は、国民の健康な生活を確保すること。これは薬剤師法とまったく同じ文言です。医師も薬剤師も同じゴールを目指している、という作りになっています。
業務 ─ ここが違う
| 薬剤師法 | 医師法 | |
|---|---|---|
| 業務独占 | 調剤権。例外あり(医師・歯科医師・獣医師が自己の処方箋を自ら調剤) | 医業の独占。例外なし |
| 応需義務 | 調剤応需義務(正当な理由なく拒めない) | 診療応需義務(正当な理由がない限り拒めない) |
| 正当な理由の例 | 薬剤師不在、処方医に疑義が確認できない | 医師が不在、専門外の診療で対応できない |
| その他 | ― | 無診察治療等の禁止、処方箋の交付義務(原則、必要なら交付する) |
一番重要なのは業務独占の違いです。 薬剤師の調剤権には例外がありましたが、医師の医業の独占には例外がありません。比較問題で狙われるのはまずここです。
応需義務のほうは、薬剤師法の調剤応需義務とまったく同じ構造になっています。「正当な理由がなければ拒めない/正当な理由があれば拒める」という枠組みは共通で、中身の例だけが職種によって変わる、と理解しておけば十分です。
そして処方箋の交付義務は、薬剤師の仕事に直結する条文です。医師は原則として、必要であれば処方箋を交付しなければなりません。ここが医薬分業の入り口にあたります。
なお、ほかにも歯科医師法や保健師助産師看護師法がありますが、国試ではあまり出ません。薬剤師法は絶対、医師法もここまで、という優先順位で臨んでください。
まとめ
- 業務編は「例外があるかないか」を軸に読む
- 例外あり:調剤権(医師・歯科医師・獣医師が自己の処方箋を自ら調剤)、調剤応需義務(薬剤師不在・処方医に疑義が確認できない など)、調剤の場所(病院等の調剤所、災害等、患者の居宅で一部)
- 患者の居宅でできるのは監査・疑義照会・薬剤交付、残薬調整は処方医の同意があればOK
- 例外なし:処方箋による調剤、疑義照会義務、情報提供・薬学的知見に基づく指導、調剤録
- 無断変更の禁止…処方箋を交付した医師等の同意を得た場合を除き変更して調剤してはならない
- 薬袋(調剤した薬剤の表示)の5項目…患者氏名・用法用量・調剤年月日・調剤した薬剤師の氏名・調剤した薬局または医療機関等の名称と所在地
- 保存期間は調剤済み処方箋3年・調剤録3年
- 医師法の任務は薬剤師法と同じ文言。ただし医業の独占には例外がないのが最大の違い
- 医師法では無診察治療等の禁止と処方箋の交付義務も押さえる
これで身分法は終わりです。次は、病院や診療所といった「医療を提供する場」を定めた医療法に進みます。薬剤師が「医療の担い手」として法律に書き込まれた改正の話から入っていきましょう。
法規を、1枚の地図として頭に入れませんか
この記事の冒頭に載せたマインドマップは、法規という科目のほんの一区画です。実際には、薬機法の総則から薬局・製造販売業・医薬品の取扱い、そして社会保障制度までが、1枚の地図としてひと続きにつながっています。
解説授業は、その地図を端から端まで、実際にたどりながら話していく全26回・約5時間34分。「この省令は誰に向けた基準なのか」「さっき出てきた登場人物が、どこで再登場するのか」が、条文の羅列ではなく流れとして入ってきます。バラバラに覚えていた制度が、1本の線になる感覚です。
法規のマインドマップPDF+解説授業セットは¥9,450。無料のサンプル動画とサンプルPDFがあるので、この「たどる」感覚が自分に合うかどうかは、先に確かめられます。