COPDとは??ポイントは不可逆
COPDは、長期間の喫煙などが原因で慢性気管支炎や肺気腫をおこし、不可逆的な気流閉塞をおこす病態です。
結果、労作性呼吸困難や、咳・痰が持続します。
病態を詳しく理解するために、肺気腫と慢性気管支炎を詳しく見ましょう。
肺気腫は壁の崩壊
疫学的に肺気腫は中年以降の男性に多く見られます。
また、肺気腫と慢性気管支炎は併発していることが多いです。
肺気腫はタバコなどの原因物質を長期に吸入することで、肺胞壁が破壊されることが原因です。
肺胞壁が壊れると
- 気管支狭窄
- 肺胞の拡大
- 血管床の減少
がおきます。
血管床とは血管との接触面のことです。通常なら肺胞壁の周りに毛細血管が囲むようにありますが、壁が壊れて肺胞が拡大し形が変わることで血管との接触面が減ります。
参考
喫煙以外にも環境汚染感染やα₁アンチトリプシン欠損症も原因になります。
α₁アンチトリプシン欠損症は遺伝的要因です。
理由は覚える必要はありません。
が、説明すると
アンチトリプシンは好中球エラスターゼ抑制因子のことです。
エラスターゼは肺胞壁を構成するタンパクであるエラスチンを分解します。
そのためアンチトリプシン欠損症ではエラスターゼ活性が増強しエラスチンが分解されます。そのため肺気腫の要因になります。
慢性気管支炎は線毛消失
慢性気管支炎は気管支の分泌物が増えて咳と痰が長期間持続している状態です。
上の図にあるように喫煙などの刺激により粘液を産生する杯細胞が増加します。
長期にわたり持続すると線毛が使われすぎて消失します。
結果、痰が排泄されず貯留してしまうので感染が起こりやすくなります。
また分泌物が溜まったり粘膜が腫脹することで気管支閉塞状態になります。
原因は肺気腫と同じで喫煙や大気汚染等があります。
検査は肺の形に着目
検査項目では肺気腫による肺の形の変化に着目しましょう。
呼吸機能検査では1秒率(FEV1%)とピークフローの低下が見られます。
これは気道が狭窄しているためです。
COPDでは肺胞の壁が壊れて肺胞が拡大している状態なので残気量が増加します。
動脈血の所見は呼吸困難などによりPaCO2が上昇して呼吸性アシドーシスの所見が見られることがあります。
X線検査では肺野の透過性が亢進します。つまり肺が薄くなり、X線の吸収量が低下している状態です。
また肺胞の拡大により形が変化し横隔膜が押し下げられ低位になります。
治療 ファーストラインは長時間作用性抗コリン薬
COPDは不可逆性の閉塞性疾患なので基本的に対症療法です。
呼吸苦などを改善するためにLAMAやLABAといった気管支拡張薬を使用します。
以前まではLAMAとLABAの位置づけに優先順位はなかったのですが、LAMAを第一選択薬として使用するようにガイドラインでも推奨しています。
ですが、LAMA(もしくはLABA)というように記載があるので第一選択として使用も可能です。
近年LAMA/LABAの合剤が増えておりLAMA,LABAの単剤療法からのステップアップ治療として推奨されています。
抗菌薬は細菌感染に使用されます。
特にマクロライド系の少量長期投与はびまん性汎細気管支炎に使用されます。
COPDは喘息との比較が大切です。
COPDは喘息と一緒に学びましょう。