Contents
勉強のポイント
緑内障は眼房水の産生抑制、流出促進させることが治療になります。
使用薬剤がどちらの薬理作用を示すのかを整理しながら学びましょう。
病態は開放型と閉鎖型の違いを確認していきましょう。
緑内障の病態 開放型と閉鎖型の違いは??
緑内障とは、眼房水の産生と流出のバランスが崩れることで、眼圧が上昇することに起因します。結果、視神経が傷害され、視野狭窄や視力低下が起こります。
正常な眼圧は10~20mmHgですが、眼圧が正常な値にも関わらず緑内障になる場合もあります。
これを正常眼圧緑内障と言います。
日本人の緑内障患者の過半数は正常眼圧緑内障と報告されています。
分類
緑内障には原発性、続発性があります。
原発緑内障は原因不明なものです。
他疾患や薬剤性によるものを続発性緑内障と言います。具体的には糖尿病であったり、ステロイドにより誘発されることがあります。
更に、開放型と閉鎖型に分類することができます。
開放型
開放型緑内障は繊維柱帯が閉塞することで、シュレム管から眼房水が排出されなくなることが原因です。
そのため治療には房水流出促進作用、房水産生阻害作用のある薬を使用します。
閉鎖型
閉塞型は虹彩が隆起することで隅角が閉塞し、シュレム管からの房水流出経路が閉じてしまうことで眼圧上昇が起こります。
虹彩の器質的な異常が原因となるため、第一選択は外科的治療です。
閉塞性で注意したいのが、併用禁忌薬が多いことです。レボドパ製剤やBZ系の薬剤は禁忌です。
緑内障に対して禁忌の薬は抗コリン作用を持つものが多いです。抗コリン作用のものと緑内障の組み合わせが来たら要チェックです。
治療薬
ジピベフリン
ジピベフリンはアドレナリンのプロドラッグです。
α、β受容体刺激薬で、血管のα1受容体を刺激することで血管を収縮させて、眼房水の産生、供給を抑制しています。
具体的に言うと輸入動脈が収縮することで血流量が減少し産生抑制になります。
アプラクロニジン
アプラクロニジンは毛様体上皮細胞のα2受容体を刺激することで眼房水の産生を抑制します。
β受容体遮断薬
β受容体遮断薬は~ロールという名前がついています。
- チモロール
- カルテオロール
- レボブノロール
- ニプラジロール が該当します。
毛様体に入っていく輸入動脈血管上のβ₂受容体を遮断し、血管を収縮することで眼房水の産生を抑制します。
炭酸脱水素酵素阻害薬
毛様体上皮細胞の炭酸脱水素酵素を阻害することで房水の産生を抑制します。
H2CO₃↔H2O↓+CO2
H2Oができるのを阻害するということです。
具体的には
- アセタゾラミド
- ドルゾラミド
- プリンゾラミド が該当します。
プラスタグランジ系
プロスタグランジン系薬剤は、眼圧効果作用が強く、全身性の副作用が少ないことから、緑内障治療の第一選択薬の位置づけになっています。
PGF2α誘導体であるラタノプロストはPGF2 受容体を刺激することで、ぶどう膜強膜流出路から房水の排出を促進します。
ぶどう膜強膜からの流出経路を副経路といいます。
一方PGF2αの代謝物誘導体であるイソプロピル ウノプロストンは副経路以外にも、
- BKチャネル活性化(大コンダクダンスCa依存性チャネル)
- 主経路(シュレム管経由での房水排出)
という薬理作用もあるとされています。
プロスタグランジン系の共通する副作用として、色素沈着と、まつげが長く太くなるといった症状があります。
点眼後によく拭き取ったり、顔を洗うなどの対策をします。
ブナゾシン
ブナゾシンは眼のα受容体を遮断することでぶどう膜強膜流出路からの排出促進をします。
ブナゾシンのブとぶどう膜のブで覚えましょう。
血管に働くジピベフリンは刺激なので注意しましょう。
コリン作動薬
コリン作動薬は
- ピロカルピン:M3受容体刺激
- ジスチグミン:ChE阻害
を押さえましょう。
M3受容体が刺激され毛様体が収縮します。結果シュレム管が開き、眼房水の排出が促進されます。
コリン作動薬で注意したいのは瞳孔括約筋の収縮により縮瞳を起こすことです。
縮瞳をすることで副作用として暗黒感を感じることがあります。
浸透圧系
浸透圧系には
- グリセリン
- マンニトール
- イソソルビド
があります。
高張液により水分を引き出し、眼球の容積を減少させて眼圧を下げます。