微量元素とは??
人体は酸素、炭素、水素、窒素の4種類の元素で約96%を占めます。この4種類を主要元素といいます。これに加えて、1日に100mg以上必要な元素である
- 硫黄(S)
- マグネシウム(Mg)
- カルシウム(Ca)
- リン(P)
- ナトリウム(Na)
- 塩素(Cl)
- カリウム(K)
を必須元素(准主要元素)と言います。
覚え方は
イオウな、マグカップカレー塩カレー
- イオウ:S
- マグ:Mg
- カ:Ca
- プ:P
- 塩:Na、Cl
- カレー:K
一方、体内ではイオン化傾向が大きいために、多くがイオンの形で存在する元素が無機質(ミネラル)です。1日の必要量は100mg以下で不足すると欠乏症が出るものを必須微量元素といいます。
覚え方は
私はどうしても黒柳徹子に会えません
- 私:I
- どう:Cu
- も:Mo
- 黒:Cr
- 鉄:Fe
- 子:Co
- に:Ni
- 会え:Zn
- ま:Mn
- せん:Se
必須元素
Mg マグネシウムはクロロフィルにいる
Mgはクロロフィル(葉緑体)に含まれることを覚えておきましょう。
Ca カルシウムはビタミンDと蜜月関係
Caは活性型ビタミンDで発現するCa結合蛋白により腸から吸収されます。カゼイン(乳製品)はCaの可溶化作用で、吸収を高めます。逆に阻害因子としてシュウ酸やフィチン酸があります。
体内では、ほとんどがヒドロキシアパタイト(リン酸Ca塩)として骨か歯にあります。
血液中にも少し存在しますが定常状態では細胞内は細胞外に比べて非常に低い濃度に保たれているのが特徴です。
Caの欠乏症はくる病、骨軟化症です。これはビタミンDの欠乏症と同じです。
ビタミンDとCaの関係は密接なのでよく確認しておきましょう。
P リンはカルシウムとほぼ同じ
リンはCaとほとんど同じです。
リンはビタミンDにより吸収が促進されます。体内分布もヒドロキシアパタイト(リン酸塩)として骨や歯に存在します。
欠乏症もやはり、くる病や、骨軟化症などの骨関連になります。
NaとKは腎臓で共排泄
Naは塩(NaCl)の成分なので、過剰摂取では高血圧のリスクになることはイメージできると思います。
NaとKは腎臓で一緒に排泄されるので、Kは高血圧の予防に重要で、目標量が設定されています。
新鮮な野菜や果物に多く存在しています。
必須微量元素
銅
銅は
- セルロプラスミン(銅輸送)
- シトクロムオキシダーゼ
- ヘム合成
に利用されます。
不足するとウィルソン病(銅の排出障害)やメンケス病(消化管吸収障害)になります。
銅の少腸からの吸収は亜鉛の摂取により阻害されることも知っておきましょう。
Crは苦労に耐える
Crで知っておきたいのは欠乏すると耐糖能異常が起こるということです。
苦労(Cr)に耐える(耐糖能異常)で覚えましょう。
Zn
亜鉛は様々な場所で機能します。
- 1つ目はインスリンの構成成分ということです。
- 2つ目が細胞増殖(褥瘡などの治療)に必要
- 最後が様々な酵素の成分で有ることです。
具体的には
- 炭酸デヒドラターぜ
- アルコールデヒドロゲナーゼ
- カルボキシペプチド
- スーパーオキシドジスムターゼ
です。
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)は活性酸素を除去する反応に関わる酵素です。活性酸素は別のページでまとめますが具体的には
2O₂-→H₂O₂+O₂
の反応に関わります。
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)に関わる元素は亜鉛以外にもいくつかあるのでゴロで覚えましょう。
スーパー鉄道マニア、セグウェイかして
- すーぱー:SOD
- 鉄:Fe
- 銅:Cu
- マニ:Mn
- ア:Zn
- セ:Se
- グ:グルタチオンペルオキシダーゼ
- か:カタラーゼ
- て:Fe
亜鉛の欠乏症は味覚障害と創傷治癒遅延です。
Fe
鉄は非ヘム鉄(殆どがFe³+)とヘム鉄(ヘモグロビン、ミオグロビンに含まれるFe²+)があります。ヘム鉄のほうが吸収されやすいので、非ヘム鉄は胃液による酸性条件下でビタミンCなどの還元剤でFe²+になることで吸収が促進されます。
機能は幅広く
- トランスフェリン(体内輸送)
- フェリチン(体内貯蔵)
- ヘモグロビン
- ミオグロビン
- CYP
- シトクロムオキシダーゼ
- カタラーゼ
の成分として必要になります。
不足すると鉄欠乏性貧血になります。病態とあわせて鉄の動きについて確認しましょう。
I 病態と一緒に確認するがよし
ヨウ素は海藻や魚介類から摂取できます。
- チロキシン(T4)
- トリヨードチロニン(T3)
の成分です。
不足するとクレチン症、甲状腺腫、甲状腺機能低下症になりま。
逆に過剰症ではバセドウ病、甲状腺腫になります。
甲状腺ホルモンの作用と生合成はこちらにまとめています。
バセドウ病
甲状腺機能低下症
Se カッチャンぐるぐる
Se(セレン)は必要量と耐用上限量が近いので摂取量には注意が必要です。
作用としては活性酸素除去に関わるグルタチオンペルオキシダーゼの構成成分で、抗酸化作用です。
亜鉛のところで紹介したゴロのセグウェイの部分です。
不足すると心筋障害である克山病になります。
Mn パピーはマン
Mn(マンガン)は糖新生で必要なピルビン酸カルボキシラーゼの成分です。
過剰症にはパーキンソン病様症状があります。
覚え方は、パピーはマン(男)
- パ:パーキンソン病様症状
- ピー:ピルビン酸カルボキシラーゼ
- マン:マンガン
Mo
Moはキサンチンオキシダーゼ(プリン塩基代謝)の成分です。
Co
Co(コバルト)はビタミンB12の構成成分です。